ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETC 駐車場運用の限界

2018年03月01日 | ITS
ETC2.0普及促進研究会は昨年来ETCによる駐車場ノンストップ決済の実験をしている。
ETC2.0普及促進研究会が行っているものの、これはETC2.0限定ではなく通常のETCでも対応可能。

ETC2.0の宣伝文句には様々な決済に使えるようになるとあるが、ドライブスルーとかガソリンスタンドは現実的でない。
しかし駐車場ノンストップ決済は確かに便利なので実現の可能性は十分に有ると思う。
従来ETCカードは高速料金決済にしか使えず、車載機器のID番号とETCカードとは別のクレカをひも付けるというやり方で実験が行われてきたが、これは全く普及しない。
クレカ紐付け申請が必要で、わざわざそこまでして使おうというユーザーがいなかったということだ。

それを受け、ネットワーク型ETC決済という仕組みが開発された。詳細の説明は省くが、従来のETCとETCカードをつかい路側ポストによる課金が可能になったので、ハードルはかなり下がったといえる。

しかし、それでも駐車場での利用が拡大してくという気配はない。なぜか?

まず、当然駐車場側に投資が発生する。ETCでノンストップ決済が可能になるとその投資を回収する売上増もしくはコストダウンが見込めるか?という単純な経済の問題だ。
ノンストップで払えるから遠いけど駐車しよう、という人はいない。2軒並んでいたらノンストップを選ぶ人はいるだろうが、まあその程度の需要増。また完全に無人化できないのでコストダウンもあまり期待できない。

次に問題となるのは商業施設との連携による割引処理。
それをしようとするとノンストップではできない。事前精算機に車両情報(つまりは駐車券)と割引券を入れる等の手間が必要となる。
商業施設のレジと駐車場をオンラインで結び、登録ナンバーやETCカード等の情報を支払い時に伝えて割引処理をする方法もあるが、設置費用がかかりユーザーも面倒。

唯一ノンストップで割引できる方法は、ETCカードの親カードで買い物をし、請求額から割り引くということしかない。
しかし、ETCカードの親カードを通常の決済に使っている人は限られるのでこれもあまり好まれない方法だろう。

ということで、理屈では絶対に普及しそうなETCによるノンストップ支払いもかなりのハードルがある。
駐車場のノンストップに関しては、ナンバー読み取りとスマホ連動による支払い、割引処理のほうが導入コストが安い(実際中国では始まっている)と思われ、ETCの将来はあまり明るいものとは言えないようだ。

とは言え、商業割引等がない空港など公共施設の駐車場ではどんどん採用して欲しいと思う。
また中国を引き合いに出して申し訳ないけど、中国では北京、上海等の空港駐車場はETC決済対応となっている。

いずれにしても、計画からすでに20年。その間にスマホが普及し専用車載器をつかう必要はどんどんなくなってきている。
とくにドライブスルーなど、スマホで十分だろう。
ETCの商業利用は普及する前に新しい技術が出てきてしまったわけで、もうきっぱりと高速道路料金支払専用で生きていく方がいい。


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