ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

BMWのカーシェアリング、会員の38%が「車を売った」

2015年06月29日 | ITS

BMWが2011年からドイツとイギリス、一部アメリカで事業を展開しているカーシェアリング「Drive Now」は現在45万人、すでに収益は黒字化しているという。車両はミニとBMWの1シリーズ。1分31セント(1時間3000円程度)。決められたスペースに駐車されている空き車両はスマホで検索でき、街の中にある駐車スペースならどこでも乗り捨て自由、ガソリン代込。駐車中予約をキープする場合の料金は1/3程度に設定されている。

我が国のカーシェアリングであるTimesと比べるとかなり高い設定だが、乗捨できるから実際に乗っている時間だけの課金となり欧州の道路事情を考えれば街の中の移動は1000円程度で済むのではないか。

BMWの発表によれば、会員の38%が所有していた車を売却したという。これではカーメーカーにとってむしろマイナスなのではないかと思うが、BMWの顧客は50代以上、Drive Nowの会員はもっと若く、競合しないという。

路上駐車スペースに乗り捨てが自由にできる交通環境であれば、こうしたカーシェアリングが圧倒的に合理的であり今後さらに拡大していくだろう。BMWやベンツ、また他の報道によればFORDもこの市場に参入するのは何故か?

サードパーティーに主導権を持たれれば、カーシャアリングにBMWやベンツといった高級車が採用されることはない。普通に考えれば故障しない日本車か、安い韓国車が選ばれる。それこそカーメーカーに取っては悪夢でしかない。

将来を見据えれば間違いなく拡大するマーケットであれば、自ら参入して流出を食い止めようという考え方だろう。

今までこのブログで車+通信に市場なんてないと言い続けて来たが、このビジネスこそは車載の通信ユニットがあって初めて成立する。スマホが普及したことで、今後爆発的に拡大する可能性すらある。

基本的に路上駐車ができず、公園などの公共駐車場もほとんどない日本にいては想像もつかないビジネスであり、それがゆえか日本車メーカーでこれに参入するという話は聞かない。今後出てくるであろうサードパーティーが経営するカーシェアリングに車両を売り込むビジネスしかできず、それは極めて利益率が低い商売にしかなりえない。ここで後塵を拝すのは痛いんじゃないかと思うけどね。