ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

純正ナビの進化?

2007年11月19日 | ITS
今朝の日経新聞に「純正ナビの進化」という記事が載っていた。
要はG-BOOKなど、トヨタ、日産、ホンダ各社のテレマティクスのことだ。
ナビが先行して普及したわが国ではテレマティクスという概念は判りにくく、単に「ナビが進化した」という捕らえ方になるのは当然だと思う。

この記事でちょっと意外だったのは、各社の会員数。トヨタG-BOOK、日産CARWINGS、ホンダインターナビとも、大体60万人くらい。全部あわせて200万人弱ということになる。私の予想以上に少なかった。

さらに、記事中の記載では「実際に通信接続しているのはこのうち半数」で、「使用頻度にも差がある」とあり、結局のところはテレマティクスを活用しているユーザーはまだ100万人弱、日本には6000万台の車があるので、ほんの一握りであることは間違いない。

「いずれは当たり前の装備になる」というe-Toyotaの友山氏の談話を引用し、課題は携帯通信料である、ということで記事は締めくくられているが、果たしてそうなのだろうか?

第一、第二、第三世代と、カーメーカーはかれこれ7-8年テレマティクス普及に苦労している。
日本を代表する大企業が相当の力をかけて商品開発・宣伝して、プロモーションもかけ、年会費などを無料にしても結局のところこの程度ということは、そもそも言うほどユーザーニーズはない、と考えるのが自然だろう。

私もかつてはプローブによる渋滞予測と経路誘導はキラーコンテンツになるのではないか、と見ていたが、さほどマーケットは反応していないようだ。
使い勝手や精度に改善の余地があるのかもしれないが、そもそもそれほどのニーズがないんじゃないかと思い始めている。
渋滞を回避して「数分」早く到着する(インターナビの実例では平均1時間あたり5分)ことに対価を払う人が思ったほど多くない、ということではないか?

かねてから主張している通り、渋滞予測以外のコンテンツは初めからキラーにはなり得ない。

最初からナビの付加価値アップであると割り切っていたホンダは別にして、トヨタと日産は「テレマティクスをやらなければ負けるかもしれない」という強迫観念でスタートし、結局は中途半端な数の会員を抱えてやめるにやめられない、という状況に陥ってしまっているように見える。

11/26 誤字訂正 脅迫→強迫