みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

AFVクラブのチャーチルMk.3 その23

2008年12月30日 21時37分29秒 | AFV(英・チャーチル)
 さて、エンジンハッチのつっかい棒ですが、以前作ったタミヤのMk.7がどうなっていたか、あまり記憶にない。ってことは、それほど細かくできてはいなかったのかな。書籍やネット上の写真を見ても、なかなかこの部分がはっきり写っている写真は少ない。それに博物館の保存車輌は、こうした部品が失われていることが多いので、せっかっくエンジンパネルが写っていても、ロッドが見あたらないことも。
 Osprey Modellingの『Modelling the Churchill Tank』や、古いタミヤの『チャーチル写真集』も引っ張り出してきましたが、今ひとつはっきり写っている写真がありません。Hugh G. Henry著『Dieppe, Through the lens of German Photographer』(After the Battle)は、ディエップ上陸時の悲惨な写真が多数掲載されていまして、作戦に参加したチャーチル一台一台の状況が記録されています。そのことが不謹慎ながら初期型チャーチルの細部を見るためのよい資料ともなるのですが、残念ながらこのエンジンパネルは写っていませんでした。他にも『パンツァー』誌のバックナンバーや『世界の戦車イラストレイテッド・チャーチル歩兵戦車』なども見てみました。結局一番参考になるのは、前回挙げた『Mr. Churchill's Tank: The British Infantry Tank Mark IV』と、ポーランドのAJ Pressの『CHURCHILL vol.1』(GUN POWER 26)でしょうか。
 それらを見ての結論から言うと、どうも└─┘この形のロッドが多いようなのです。そしてその装着の向きは、
└───┘
┌───┐
が基本のように見えます。
 ところがです。写真一番上の左は『Mr. Churchill's Tank』に載っているMk.2の写真なのですが、これを見るとロッドは┌─┘の形で、その装着の向きは、
┌───┘
┌───┘
のように見えるんですね。さらに写真一番上の右はAJ Press『CHURCHILL vol.1』に載っているARV Mk.2なんですが、これを見るとどうも、ロッドは┌─┘と┌─┐が両方使われていて、
┌───┘
┌───┐
であるように見えるんです。ちなみに写真手前に見えるのは、回収型のダミー砲塔に搭載される対空用二連装ブレンガンです。
 左写真は初期型のMk.2、右写真は回収型のARVだから、それぞれ仕様が異なるのかも知れませんが、考えるにこれは決して複雑な部品ではなく、詰まるところ単なる鉄の棒を曲げたものに過ぎません。結局└─┘も┌─┘も両方使われたのではないか。また行動中に失われて、現地の修理で曲げ方の異なる部品が取り付けられた可能性もある。この二枚の写真ではいずれも真ん中の菱形の押さえの部品は取り付けられていませんが、後にこれを含めた改修が行われるにつれて、異なる形のロッドも使われたということも考えられます。
 で、悩んだあげく、結局どちらでもよい、という可能性が濃厚となりました。図面では『Mr. Churchill's Tank』もAJ Press『CHURCHILL vol.1』も
└───┘
┌───┐
説を採っていますので、今回はこれに従うことにしましょう。
 ならばAFVクラブの┌─┘のパーツを使わずに、プラ棒か真鍮線で┌─┐のロッドを作るのが早いのですが、今回はあくまでキットのパーツを使うという方針なので、却って面倒なのですが、キットのパーツの頭をまっすぐ切り落とし、180度向きを変えて再度接着するという方法を採ってみました。二番目の写真が加工したロッドを装着したところ。一番下の写真がそれに菱形の押さえ部品を取り付けたところです。

 一応これで、書籍の図面のようにキットを修正できました。その上で考察するに、はてこの菱形の部品がどういう機能を果たすのか。一番下の写真ではロッドの頭がそれぞれ外側を向きますから、この押さえの部品とは縁がありません。でもロッドの頭がそれぞれ内側を向くならば、この押さえの部品の下に入ることになります。この菱形の部品はロッドが不用意に外れないように押さえているのではないのでしょうか。エンジンルームの天板についている留め具でロッドは一応止まっているのですが、それが外れて飛び出さないように押さえている屋根が、この菱形の部品なのだと考えられます。この菱形の屋根はロッドの高さぎりぎりではなく、ロッドを持ち上げて手前に引き出せるくらいに高さがつけてあることも、その推測に合致します。
 多分、初期はこの菱形の部品はなかった。天板の留め具に止めているだけだった。だからロッド先端はどちらを向いていてもよかった。しかしこの留め具は外れやすかった。だからその頭が飛び出さないよう上から押さえるために、菱形の押さえ部品を取り付けた。だからそれ以降は、ロッドの頭がこの部品の下にもぐるように、ロッドの先端の向きは
──┐
──┘
でなければならなくなった。とまあこういう事情だったのではないのでしょうか。
 ならば、AFVクラブのパーツでも正しかったんだな…。ロッドが平行にならなかったのは、単に先端が長すぎただけだったのでは…。しまった、もうこの形に接着しちゃちゃったぞ。まあ写真ではこういう止め方もあったらしい。結局ロッドはリングを通っているだけで、どっち側にでも回せますから、装着の向きは変えられるんですよね。ってことで二輌目以降はAFVクラブのパーツのままで、先端を少し切りそろえた上で使ってみることにしましょう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿