みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

「長空雄鷹」に見るMiG-15 その13

2010年09月18日 00時08分10秒 | 映画
 映画の中で計器パネルがちらっと写るシーンがあります。これがその一つなんですが、MiG-15だけに当時の典型的なアナログ計器が並んでいます(当たり前か)。で、パネルに「300立升」と書いてありますよね。うちの掲示板の常連さんに尋ねてみたら、この「立升」というのは「公升」(公はメートル法であることを示す)とも書き、容積の単位「リットル」のことだそうです。ということは、燃料計の注意書きだと考えられますね。
 MiG-15は中国国内では生産しておらず、すべて旧ソ連からの供与のはずです。中国が自力生産を始めるのはMiG-17から。映画自体は70年代の撮影で、軍の余剰機を使って撮影されたと考えられますが、しかしMiG-17や19を自分のところで生産しているのに、わざわざMiG-15の追加生産をするとも思えません。するとこの映画に出演している実機のMiG-15はソ連生産だということになります。しかし注意書きは当然中国語。小さなパネルくらい自分らで簡単に貼り付けられますし、機外の要所要所に書かれている注意書きも中国語になっています。パイロットや整備員みんながロシア語読めないもんね。

 ところでこの「300リットル」というのは何を示す数字なのでしょうか。文林堂の「世界の傑作機」によると、MiG-15の機内タンクはコクピット後方(タミヤのクリアバージョンMiG-15で加えられたパーツのやつですね)とその後ろ、二個所にあって容量は合計1,410リットルだそうです。あれ?するとこの「300リットル」というのと合いません。そこでもうちょっと調べてみると、主翼下の増加タンクが300リットル入りなんですね。主翼に密着するスリッパ型のものが250リットル入り、投棄可能なタンク型の増槽が300リットル入り。するとこのパネルは、現在本機は300リットル入りの増槽をつけているよと、とパイロットに示すためのものだと考えられます。もちろん小型のものをつけたり、或いは増槽無しだったりすれば、その都度この表示を付け替えたんだと思われます。
 こういうところが写っているのを見ると、やはりいろんなシーンで軍の実機を撮影に使っているんだなと分かります。張りぼてのセットならこんな細かいところまで再現する必要はありませんから。