厚生労働省は食品中の放射性セシウムの新たな基準値が4月1日から適用される。
Q 新基準値はどのように決まったのか
A 食品の国際規格を決めるコーデックス委員会の食品基準を踏まえた。その結果、基準値の基になる放射性セシウムの年間許容上限を、現在の年5ミリシーベルトから国際基準の年1ミリシーベルトに引き下げた上で計算した。
Q 食品の分類で乳児用食品が新設されたが、一般食品を使って離乳食を作る家庭もある
A 一般食品も乳児にとって十分に安全な数値で設定している。乳児は体が小さく食事量そのものが非常に少ない。厚労省は「一般食品を食べさせても安全は十分確保される」と説明している。
Q もしも基準値上限の食品を一定割合(飲料水、乳児用食品、牛乳、コメは汚染割合100%、一般食品は同50%)で1年間食べ続けた場合の被曝(ひばく)量は
A 厚労省は最大で0.94ミリシーベルトと推計している。もっとも、基準値上限の食品を食べ続ける状況は考えにくく、実際の被曝線量はもっと小さくなる。
Q では実際の食事からどのくらい被曝しているのか
A 厚労省が昨秋、東京、宮城、福島の1都2県で実際に食品を購入して放射性物質を測定し、平均的な食生活を行った場合の年間被曝量を推計したところ、放射性セシウムによる被曝は東京0.0026ミリシーベルト▽宮城0.0178ミリシーベルト▽福島0.0193ミリシーベルトだった。
一方、食品にはもともと放射性カリウムなど自然放射性物質が含まれている。カリウムによる被曝は東京0.1786ミリシーベルト▽宮城0.2083ミリシーベルト▽福島0.1896ミリシーベルト。セシウムによる被曝よりカリウムによる被曝のほうがはるかに多い。
Q コメなど一部の食品は、なぜ経過措置が設けられたのか
A コメや大豆は収穫が年に1回で、牛肉はいったん冷凍保存した後に出荷したりする。こうした事情から混乱が起こらないよう配慮した。
Q 乾燥で濃縮され、高い数値の放射性セシウムが検出されてきた茶や乾物などはどうなる
A 茶は茶葉をお湯に入れた状態で飲料水として検査する。乾燥シイタケやワカメなど水戻しを行う食品については原材料の状態と水戻しを行った状態、ノリや煮干し、干しブドウなど乾燥させたものをそのまま食べる食品は、乾燥加工された状態で、一般食品として検査する。
Q 検査はきちんとできるか
A 現在、検査には精密に測定できる「ゲルマニウム半導体検出器」と、簡易型の「NaIシンチレーションスペクトロメータ」が使われている。新基準値でも簡易型を使うことができるが、基準値が厳しいため、測定にはより長い時間を必要とする機器も出てくるとみられる。厚労省は自治体が検査機器を購入する際には購入費用の一部補助を決定した。自治体では効率よく検査できるよう検査計画の見直しを進めている。