革新都政をつくる会から都知事選への出馬要請を受諾した小池晃元参議院議員が「いつでも元気」全国民医連月刊誌に「財政危機は社会保障のせいじゃない」と題する記事が掲載されました。
日本の借金、20年で3倍
「政府の借全って大変なんでしょ。やっぱり増税は仕方ないのでは?」というもの。みなさん、ご自分のくらしだけでも手いっぱいのはずなのに、さんざんムダ使いしてきた日本政府の台所まで心配して、なんて心やさしいのでしょう。でも、確かに心配ですよね。
今年度末の三月には、日本の国・地方をあわせた長期債務は、対GDP(国内総生産)比で180%になると言われています。これは、戦争中の1944年に対GNP(国民総生産)比で200%を超えたことを除けば、史上最高の水準です1945年はGNPの統計が不明)。欧米諸国が60%前後であるのと比べても、とびぬけて異常です。
実は1990年には日本の借金も対GDP比65%程度で今のアメリカと大差なかったのですが、20年で約3倍にも増えたのです。
借金増は他の国も同じ
いったいなぜ?多くの方は「高齢化が進んで、医療や介護、年金の費用が増えたからでは」と、自分たちの責任であるかのように胸を痛めていらっしゃいます。しかし胸に手を当てていただければ、この20年間は医療も介護も年金も、削減につぐ削減だったことを思い起こしていただけるでしょう。
実は、政府の借金が増えているのは日本だけではありません。債務残高を。対GDP比ではなく実際の金額で比較すると、他の国も日本と同じように増えています。イギリスやフランスなどは、日本よりも伸びています。
ところが、数字を対GDP比に置き換えると、日本の借金だけが飛びぬけてしまうのです。いつも政府やマスコミが使うのはこのグラフです。日本の経済の規模や体力からみて、あまりに借金が多くなるのは大問題です。でも、原因を正確にとらえなければ。
国民のくらし、あたためてこそ
原因ははっきりしています。この二〇年間に、欧米諸国は程度の差はあれ、経済成長をとげてきました。ところが日本だけが「成長の止まった国」になってしまったのです。借金が増えただけでなく、経済が伸びなくなったために、日本経済の規模から見た借金の大きさが急激にふくらんだのです。
「成長が止まった」ことは、社会保障の責任ではありません。政府の失政が繰り返された結果です。今までの政府は「大企業を応援するのが一番。そうすれば、いずれ国民のくらしにも恩恵がまわる」と言い続けてきました。しかし、実際には強い企業がもうけを増やしただけで、国民の家計は苦しくなるばかり。この10年間でみても、大企業の内部留保は100兆円も増える一方で、サラリーマンの給与は30兆円も減りました。これが「成長が止まった」最大の原因です。
財政危機打開のカギは、経済政策を転換して国民のくらしを直接あたためることです。労働者の雇用を安定させ、下請け中小企業や農業を本気で応援すること。医療や介護、年金をたてなおし、権利としての社会保障を確立すること。そうしてこそ日本の経済を立て直せるし、財政危機打開の展望も開けます。
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