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習熟度別指導は子どもを差別化し、副作用が心配

2013-03-19 23:50:53 | 教育・子ども

足立区議会予算特別委員会で針谷みきお議員が学力向上対策と「教育次長」制度、学校統廃合について質問しました。以下、その要旨を紹介します。

○質問ー学力向上対策について聞く、区民評価委員会から学力テストの平均正答率が「前年度よりアップしていない状況は問題である」と指摘してされてるが、学力調査の正答率の目標を引き上げよと言うのか。
●答弁ーそのように受け取っている。
○質問ーなぜ、学力向上対策として学カテストの正答率という数字目標を設定したのか。
●答弁ー子どもの学力をどういう成果があるかを見る適切な項目として学力テストの正答率での評価でみている。
○質問ー学カテストの目標を数字で追うとどうなるか、かつて不正事件を思い出すが、副作用の方が多くなるため、やめたはずではなかったのか。
 区教委の学力対策は「習熟度別指導」とか「過去の試験問題を繰り返し行う」などが方針になっているのか。
●答弁ーその通り。

習熟度指導の効果なしーアメリカ・英国で実証ずみ

 

東京大佐藤学教授のブックレット(岩波書店)

○質問ー習熟度別指導は教育学の分野で批判がある指導方法で、小学校の低学年からできる子、できない子に分けて授業をすすめるとできない子を見下す値向が出てくる。できない子のグループでは自分たちは劣等生という気持ちが植えつけられる。おのずと自己肯定感情が欠如したり、いじめが起きたりする。学力向上の成果を期待して行ったことが 副作用として教育上、逆の問題を発生させる。これが習熟度別指導の問題点ではないか。
●区長答弁ー私も子どもの頃、出来ない下位のクラスに入って、クラス別に張り出され惨めな思いをしたが、自分のペースで分かるようになり低クラスに入れてもらってよいかったと思っている。習熟度別指導が自己肯定感の否定につながるとは考えていない。
○質問ー区長も嫌な思いをしたといっているが、習熟度別授業が固定化していくと、様々な副作用がでることは間違いないことだ。ところで、区長の経験は私学の時代の話ではないか?
●区長答弁ー私学の経験です。
○質問ー習熟度別授業というのは、「カリキュラムの一部」で、学習塾では効果がある手法です。それは、すでに本人の希望(親の了解)のもとに目的がはっきりしているからです。
 私学や塾では受験対策や英才教育という目的のもとに選ばれている子どもたちに施すものと、公立学校を混同してはならない。 
 公立学校では、人格の完成を目指し、平和で民主的な社会の形成者として必要な資質を備えるために行われるもの。すべての児童・生徒を対象にして習熟度授業を行うと、こどもの差別化による弊害が生まれることを認識しなければならない。公教育の「塾化」がすすんでいるために起きている問題点のひとつであるといえる。

少人数学級と教育環境の整備(教員の多忙解消)こそ

 学力向上のためには教育関係者の声をくみ上げ、少人数学級や学校施設の改善・教員の多忙化解消(雑務の解消、提出書類の簡素化)自主的な研修の充実など教育環境の整備こそ区教委がすべきことだ。もし、特別に遅れている子どもに対する指導をするなら、選択科目、部活動、授業以外の指導で対応すべきだ。

年末に緊急学力テストの指示ー学校に混乱

 次に、昨年の12月27日に区教委から突然の通知で「中学校3年生全員に土曜授業数学テスト」を実施するという。これによって、学校現場は疑問と混乱が生まれた。なぜ、この時期にテストを実施しなければならないのか。
●答弁ー日曜ゼミで同じものやった。各中学校の生徒からこのテーマではやっていないことが分かり、2月都立高校入試に影響があるだろうと考え、弱点補強するにはあのタイミングでやらないと間に合わなかったので指示した。
○質問ー学校は1月に学級計画あって生徒の個別指導を始めている時期で学校現場では新たな指導で混乱を招いたと思うがどうか。
●答弁ーテストをやった学校の3分の1から感謝の声があった。学校間の温度差はあるが混乱招いたとは思っていない。

トップダウンで命令・監督する区教委の異常な体質

○質問ー3分の2は混乱させたものだ。この事件は教育次長制度がもたらす、問題点を先取りしたといっても過言ではない。東京新聞に「各学校がそれぞれの現場で取り組んでいる授業内容に介入する必要があるのか」など現場の校長から批判の声があがっている。「トップダウン」で、現場を無視し、区教育委員会の方針を徹底させるのは、命令監督による競争教育の押し付けだ。まさに教育のあるべき姿に反する重大な誤りであり、「教育次長」の組織を新設することは撤回すべきと思うがどうか。
●答弁ー「教育次長」は各学校の経営計画の点検、チェックしながら課題を明確にし、校長とともに運営していくもので区教委の権限の範囲内で行うもので撤回は考えていない。

○質問ー教育次長のもとで、職務を与えられる校長OBは現在決まって人数は何人か? 退職校長は何人いて、次長組織に何人入るのか。断られた人は何人か。
●答弁ー今年度の退職校長、副校長は13人で、6人が辞退し、2名は他区へ就職した

○質問ー8名はは断っている。おかしいと思っている校長が多いことの証明だ。

次に区の学校管理規則では教育課程編成権は、校長をはじめ学校にあり、教育目標、指導の重点、学年別授業日数及び授業時数の配当、学校行事をつくり、区教委に届けるとなっているが、教育長の命をうけた校長OBは学校長に対して指導、助言はするが、監督・命令はしないということなのか。
●答弁ー教育課程編成は校長、教育委員会は教育課程編成の管理する権限があるので、校長OBも教育委員会の職員として同等の職務があると考える。

教育次長制度は戦前の視学制度に逆戻り

○質問ーもし、命令・監督をするというのであれば、教育基本法で定められている教育は不当な支配に服することなく、法律の定めるところにより行われるべきものという精神にも反することになる。地方教育行政に関する法律(地教行法)では、指導主事は、戦前の視学制度を否定して設けられたもの。戦前の視学制度は、教育内容と人事・身分を行政機関が権力的に監督したのに対し、戦後教育の指導主事は助言と指導を与える専門職として位置づいている。学校教育に対する教育委員会の助言や指導は、この法制度の趣旨に照らして行うべきではありませんか。
●答弁ー教育委員会に認められた権限は法の趣旨に則って行使し、実行していく。
○質問ー次に統廃合計画について聞く。区は「江北・鹿浜エリア」の8つの小・中学校を統廃合する計画を発表した。統廃合を強行した千寿第五小学校の保護者、地域住民から違法性があると裁判が起こされ、裁判が終了しないうちに、次のエリアを発表することは区教委に対する不信を更につのらせるものでしかない。待機児解消アクションプランでは0歳から5歳までの区内人口は平成20年と24年の対比では約1400名増えている。1400名がそのまま小学校に入学するとすれば、少なくとも3~4学校は増えることになるのではないか。
●答弁ーたしかに、年齢別では一時的に増の傾向だが、14歳までの児童は減年し、過去5年間で1千人減っている。
○質問ー来年度中学1年生は35人学級が実現し、足立区でも14クラス程度増えるとしてきたが、義務教育すべてで35人学級が実施された場合に、相当数の学校で教室不足が予想される。区教委としてさらに人口減少に歯止めをかける問題でもあり、35人学級で教室不足、推定しているか。
●答弁ー21年ガイドラインで示したが小学校60校、中学校29校で35人学級15クラスで十分対応できる。
○質問ー文京区、江東区、新宿区などでは、統廃合計画を凍結・中止をした。文京区では統廃合計画のあるすべての学校や住民説明会を開催して、区民意見を集約し、統廃合計画を撤回した。足立区でも自治基本条例にのっとり、全住民を対象とする説明会を開くか、住民投票で是非を問うよう求めて質問を終わる。

 

 


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