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「戦後」覆す壊憲立法を許すな

2015-05-15 23:52:56 | マスコミ・報道

安倍晋三内閣が「戦争法案」の閣議決定を強行しました。同法案は、(1)米国が世界のどこであれ戦争に乗り出せば自衛隊は「戦闘地域」で軍事支援をする(2)戦乱が続く地域で自衛隊が武器を使って治安維持活動を行う(3)集団的自衛権を発動して米国の無法な戦争に自衛隊が参戦する―という憲法破壊の大問題があります。いずれも、戦争放棄を掲げる憲法9条の下で歴代政府が曲がりなりにも設けてきた「歯止め」をことごとく投げ捨てるものです。戦後日本の歩みを根底から覆す法案を絶対に許してはなりません。

9条の「歯止め」次々外す 「戦争法案」は、米国の世界規模の戦争で自衛隊が従来は活動が禁止されていた「戦闘地域」で補給や輸送などの支援活動ができるようにします(国際平和支援法案、重要影響事態法案)。

毎日新聞より

政府はこれまで、米国によるアフガニスタン戦争やイラク戦争で自衛隊を派兵した際、「非戦闘地域」でしか支援活動はできないという「歯止め」を設けていました。憲法9条が武力の行使を禁じており、補給や輸送などの支援活動であっても、他国の武力行使と一体化する活動は許されないという考えに基づくものです。

「非戦闘地域」は、(1)現に戦闘行為が行われておらず(2)そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる―という要件を満たす地域とされてきました。政府は「他国の武力行使との一体化の問題が生じないことを制度的に担保する仕組み」と説明していました。

ところが今回の法案は、「非戦闘地域」の後者((2))の要件を撤廃し「現に戦闘行為が行われている現場」以外ならどこでも支援活動ができるようにしました。従来の「非戦闘地域」ではその地域全体でそもそも戦闘の発生が想定されませんでしたが、今度は自衛隊が活動する場所で戦闘が行われていなければ、近くで戦闘があろうが、いつどこで戦闘が起こってもおかしくない地域(戦闘地域)であろうが、活動を可能にしたのです。

 憲法9条に抵触しないとした「制度的担保」は捨て去られ、自衛隊員は「殺し、殺される戦地」に投げ込まれることになります。

 自衛隊の支援活動では、政府がこれまで「憲法上の適否について慎重な検討を要する」としてきた「弾薬の提供」や「戦闘作戦行動に発進準備中の航空機に対する給油や整備」も行えるようにします。同様に、「憲法との関係で慎重な検討が必要」としていた治安維持活動など任務遂行のための武器使用も解禁します(国際平和協力法案)。

 加えて法案は、歴代政府が長年積み重ねてきた憲法9条解釈を踏みにじり、これまで違憲としてきた集団的自衛権の行使、海外での武力行使さえ可能にしています(自衛隊法改定案、事態対処法案)。絶対に憲法と両立するはずがありません。

安保政策を百八十度転換

 「戦争法案」の閣議決定は、戦後日本の安全保障政策を百八十度転換させようとする歴史的暴挙に他なりません。「戦争法案」反対、「9条守れ」の国民の声は大きく広がっています。国民共同のたたかいを空前の規模で発展させ、日本を「戦争する国」に造り変えようとする安倍政権の企てを必ず打ち破るために、日本共産党は国民の大運動を呼びかけています。

中東の戦争から帰還した米兵は53%が精神疾患

イラク戦争やアフガニスタン戦争から帰還した米兵は約280万人ともいわれます。退役軍人でつくる団体のアンケート調査によると、53%が心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患に苦しんでいます。

自殺を考えたことがある人は31%。自殺した帰還兵の知人がいる人は40%にも。米国では深刻な社会問題になっています。

そんな元兵士と家族らの姿を追ったノンフィクション『帰還兵はなぜ自殺するのか』(亜紀書房)が話題です。著者は、米紙ワシントン・ポスト記者を23年間つとめ、ピュリツァー賞の受賞経験を持つジャーナリストです。

描かれている一人ひとりの体験が壮絶です。ある帰還兵は帰国後、イラクで3歳くらいの少女を殺したことを何度も家族に告白。悪夢で目が覚めると、「そこらじゅうに子どもたちの姿が見える」と。結局、彼は自ら命を絶ちました。1歳の娘を残して。

イラク戦争は「イラクの大量破壊兵器保有」という大ウソで当時のブッシュ米政権が始めました。侵略されたイラク国民とともに、戦争に駆り出された米国の若者の心身も壊しました。作家の保阪正康氏はこう評しています。「今の日本でもっとも読まれるべき書」と。

安倍政権は、日本を「海外で戦争する国」につくりかえる戦争法案を閣議決定しました。先立つ与党の最終合意(11日)を米軍準機関紙「星条旗」は伝えています。「この国の平和主義政策の重大転換」。そんな転換を許してはなりません。