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ダンダリン101「労基署物語」

2013-12-17 23:55:07 | 労働・雇用

全労連の月刊誌に掲載されていた「ダンダリン一〇一」の書評が掲載されていました。書いているのは全労働省の労働組合委員長の森崎巌さん。大変良かったので紹介することにしました。

本書は、日本テレビで13年10月から放映されたドラマ『ダンダリン 労働基準監督官』の原作である。 ドラマは、様々な労働事件をめぐって、労働基準監警官の段田凛(竹内結子)が、ブラック企業を相手にやや暴走ぎみに活躍する。個性豊かな上司・同僚監督官だちとのコミカルなやりとりもこのドラマの魅力である。
 しかし、原作である『ダンダリン一〇一』は少し趣きが違う。そこには、限られた権限や体制の中で苦悩する「等身大の労働基準監督官」の姿を描こうという思いが感じられる。

 なぜ、「労働基準監督官」なのか。この点を原作者である田島隆さん(本作ではとんたにたかしさん名義)にお聞きしたことがある。
「実は、労働基準監督官にお世話になったことかあるのです」。その経験は「人生の一つのきっかけを与えてくれた」とも語ってくれました。
 作画にも驚かされる。署内のレイアウド、掲示物、様式書類等が実に精密に描かれている。行政内部でしか通用しない用語(「キョロ監」など)まで飛び出し、りアリティを高めている。この点も尋ね
てみたが、作画家の方と何度も監督署に足を運び、[監督官の表情の変化]まで観察したとお聞きし、制作現場の苦労とともに、その出来映えに合点がいった。

 各章には、それぞれテーマ(名ばかり管理職、過重労働、セクハラ、賃金不払い、不当解雇等)が設定されており、今日の労働者が抱える困難を様々な角度から描き出している。そして、関連法令を分かり易くまとめた「はたらくまめちしき」が載っており、そのまま「労働法の入門書」にもなっている。

 最終章のテーマは「監督官の人員不足」。 監督官の権限は、あくまで労基法等の「最低基準の確保」に向けたもの。しかも、その最低基準は穴だらけである。体制面でも、第一線で日常的に臨検等に従事する監督官は全国でわすか1500人程度。深刻な人員不足は政府の総人件費削減方針の影響である。

労働組合なくして、ダンダリンの苦悩は終わらない

 労働行政の体制強化が待ったなしだが、それだけで問題のすべてが解決されるわけではない。そこに暗示されているのは、労働組合の必要性ではないだろうか。すべての職場に対等な労使関係を構築する労働組合の存在なくして、人間らしい労働を実現することはできない。
 さて、原作のタイトルにある「一○一」は、何を表しているのか、ずっと疑問だった。この点も田島隆さんに尋ねてみた。

「労働基準法第101条(労働基準監督官の権限)に由来します」。 「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる」(第1頂) まさか、この条文を教示してもらうことになるとは…。元監督官として赤面の至りであった。