ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

城南海の”夜明け前”

2009-08-19 05:03:43 | 奄美の音楽


 ”城南海~女性シンガー デビューへの軌跡~”

 奄美出身の新人歌手、城南海ちゃんの話です。という事は当然、ミーハー乗りの内容となります。お許しを。
 今、BSフジで放映された”城南海~女性シンガー デビューへの軌跡~”を見終えたところです。
 南海ちゃんのデビュー当時に製作され、鹿児島ローカルでだけ放送されたという、”城南海~女性シンガー デビューへの軌跡~”なる、1時間弱のドキュメンタリー番組があると知り、ずっと気になっていたんだけど、さきほどBSフジで再放送がなされて、やっと見ることが出来た。いや、すっきりした!

 内容はタイトル通りの、新人歌手の経歴紹介やらレコーディングやライブ活動など、デビューに向けての新人歌手の日々を紹介するといったもの。
 当然ながら、奄美の文化に興味があったり、島唄が特別好きだ、なんてマニアな人のための作りはされていないから、特に突っ込んだ内容となっていない。
 まあ、それは初めから予想のつくことであったし、こちらだって南海ちゃんへの興味のベクトルがこのところすっかりアイドル方向に傾き、モーニング娘の番組を見るのとあんまり変わらない視線で画面を眺めているのだから、あんまり偉そうなことは言えない。

 それでもいくつかの新発見はあり、たとえば彼女がピアノに打ち込む少女であり、高校はその専門のところに通っていた、なんて事実。それは、今日まで城南海ウォッチングを続けて来た私も分からなかった。彼女の言動にも音楽性にも、その種の専門教育の面影は感じ取れなかったのだが。
 その一方、これはすでに一部知っていたことだが、城南海は子供の頃から島唄の世界に生きて来たわけではなく、高校時代に兄の影響で島唄に興味を持ち、ほとんど自己流でマスターしたとの事実。

 以前、中村とうよう氏がミュージックマガジン誌上で批判していたように、相当に形式の遵守に厳しいらしい奄美島唄の世界のことである。”奄美島唄大賞受賞→歌手として認められる”という”正統”の道を歩まなかった城南海のような歌手は、奄美を離れた鹿児島の地でなければ認められるチャンスもなかったと考えていいのだろうか?

 だから番組の終盤、”思いがけなくも奄美の先輩唄者たちが、デビューをひかえた南海のために集まってくれた”の場(まさか中村瑞希たちが、ほんの一瞬にしろ、画面に登場するとは思わなかった!)など、その1シーン1シーンの”そのまた裏”が気になって仕方なかったのだ。先輩たちは城南海を迎え、歓迎の唄遊びお始めたのだった。
 奄美ですごした子供の頃は島唄に興味はなく、鹿児島に移り住み高校に通い出してから歌いだしたという”我流”の城南海の島唄は、だからこそ私などには斬新なスリルと創造性を孕んだものと受け取れるのだが、先輩たる彼ら彼女らにとって納得の行く出来合いのものだったのだろうか?
 そして先輩たちを変則的な形で追い越して”メジャー・シーン”にまだ10代の身を投じようとしている城南海にどのような感想を抱いているのか?

 番組は、「先輩たちは暖かく城南海を受け入れてくれて、寄り合いの席はまるで彼女のデビュー祝いの宴席となり、唄は次々に飛び出し、人々は次々に立ち上がり、踊り出した。島の人々はいつもの通りに暖かかった」と言う方向に”まとめ”に入って行ったのだが・・・
 先輩方は、「言いたい事もあるが、盛り上げてくれた」のだろうか、「番組制作サイドからの要望があったからそのように振舞った」のだろうか。それとも、こんな勘ぐりは私の性格の歪みゆえで、あの暖かい島の人たちの新人の壮行をかねた集いは、掛け値なしに本物だったのだろうか?

 と、まあ、こんな事をふと考えてしまった次第であります。屈折しててほんとにすみません。しかし可愛かったね、城南海ちゃんは。




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