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”Songs Composed by HM the King of Thailand”
タイのプミポン国王が相当なジャズ音楽好き、それも自分で演奏してしまうミュージシャン体質のファンであらせられるのをご存知の向きもあろうかと思います。
故・景山民夫の小説中で、ジャズクラブのライブにサックス抱えて乱入する若き国王の姿が活写されていたことなど、記憶に残っていますが。
まあ、上に挙げた写真をご覧ください。ベニー・グッドマン楽団に加わって演奏をするプミポン国王の姿であります。これをはじめて見た時はコラ写真かと思ってしまったくらいで。こんなのありかよ~。サックス奏者としてのアルバムさえリリースしている国王陛下であります。
で、今回取り上げるのは、そんなプミポン国王が作曲されたポピュラー音楽集という次第で。タイの一流歌手たちが入れ替わり立ち代り、心を込めて歌い上げています。
形式はルークトゥンというかの国の歌謡曲、という事になっているのですが、ジャズや時にはラテン音楽の要素が大幅に導入されて、めちゃくちゃに洒落た音楽になっています。あたかも南国タイの熱気はらむ夜空に映し出されたハリウッド・ドリーム!みたいな夢の世界が展開されている訳で。
この、アジア歌謡+ちょっと前のジャズという図式は、なんだか昭和30年代の我が国の”都会調歌謡曲”をも連想させるものがあります。私なんぞは聴いていると初めて聴く曲ばかりなのに懐かしさで胸が一杯になってきますな。
全盛期のフランク永井に歌わせてみたいような。あるいはちあきなおみなどに、昭和歌謡の埋もれた名曲再発掘など行なうのと同じ配慮の元に、日本語詞など付けて歌ってみて欲しいとも思えますね。
ほんと、そんな感じの切なく暖かい旋律を持った良い曲を作るの、この王様は。
それにしても、ねえ・・・ここまで音楽好きで、かつ、確実に人に抜きん出た才能を持っていながら、でも生まれが生まれであって、まあ、よりによって一国の国王にならねばならなかった人って、世界中探してもそう多くもないとは思うけれど、どんな気持ちで毎日を送っているのだろう?
時に国王は、寝覚めの夢に見るのでしょうかね、”しがないバンドマン”として、食って行くために場末のクラブで演奏したり、安いドサ廻りに出かけたりするご自身の、”ありえたかもしれないもうひとつの姿”などを。