1月末の大寒波の時に自宅の水道管が凍結。そして一日おいて市域の断水。
水道水が出ない時に活躍したのが母屋の井戸。
その井戸水を汲み上げる釣瓶。
もし、今使っている釣瓶を手が滑ったりロープが切れたりして井戸に落としたら代わりの釣瓶はどこに売っているだろうかと言う思いが頭をよぎりました。
さっそく数日前、買い物に出掛けた時にホームセンターに寄って店員さんに聞いてみました。
「釣瓶は置いてありますか?」
女性の店員さん「?」
今の時代、さもありなん。釣瓶が分からないらしい。
「井戸水を汲むバケツのようなもの。バケツじゃないんですよ。バケツのように上と底の径が違うのじゃなくて、筒型に近いもの。取っ手は曲がって無く、真っ直ぐになっているんだけど」手ぶりで説明するが通じない。
その店員さんは社内連絡用の携帯電話で問い合わせしているがよく分からないみたい。
そして、「有るとすれば、ここです」とバケツの並んだコーナへ案内される。
やはりそこには青や黄色のプラスチックバケツが並んでいるだけ。
お店を出て、さてどこに行ってみようか。
思いつくのは、昔賑わっていたが炭坑の閉山と共にシャッター通りになってしまった商店街の金物屋さん。
行って見たが、やはりお店には錆びたシャッターが下りている。人通りも無い。
やっぱり。
思案していると横で女房が
「ほら、あそこに無いかしら。灯油屋さんの先の信号を左に曲がったすぐの所にある、あのお店。」
私もそれらしいお店だなと思い、行って見ると店は開いているが人気がない。
お店の前には、ポリバケツ、たらい、マツバ箒、ビニールホースなどが時間を忘れたように並べて置いてある。
中に入って「ごめんなさい」。
店と続いた住まいらしい廊下から奥さんが出て見えた。
「釣瓶、置いてありますか? 井戸の水を汲む」
奥さん「?」
と、奥さんは奥に向かって
「お父さん!井戸水を汲む釣瓶、あったかしら。お客さんが」
奥からご主人が出てきて、「釣瓶ですか、釣瓶ねえ~」
埃の被っていそうな店の奥の商品棚を探していたが、少しして釣瓶を手に私達の所へ。
私達「あった~」
ロープも一緒に買い求め、銀ピカの釣瓶を手に店を出る。
女房と相槌「あって、良かったねー」
今、釣瓶と言えばタレントの笑福亭釣瓶。
身の回りの道具から姿を消した今、『つるべ』は死語なのでしょう。
この釣瓶、井戸のないこの時代、世の中から無くなるのは時間の問題。
早く探し歩いて良かったと思います。
多分、この町でも最後の1個をゲットしたのでしょう。
かまど、練炭、薪割鎌・・・古民家に行って探すしか
ないでしょうね。