南斗屋のブログ

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弁護士の特定任期付職員の採用と給与

2021年12月22日 | 地方自治体と法律
(自治体内弁護士)
 自治体内で働く弁護士は徐々に増えているといわれております。
 日弁連では、「自治体内弁護士」と呼んでいますが、弁護士としての登録をしていない方もいます(弁護士は弁護士会に登録しないと、「弁護士」を名乗れません)。

 自治体が弁護士を採用する場合には、
①常勤職員として採用する
②特定任期付職員として採用する
③任期付短時間勤務職員として採用する
④会計年度任用職員として採用する
と様々な手法があるようです。
 この中では、②が一番採用例が多いとされています(日弁連ホームページ)。

(特定任期付職員としての採用)
 地方公共団体の特定任期付職員の根拠は、条例にあります。
 千葉県ですと、「任期付職員の採用等に関する条例」というものがあり、「任命権者は、高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有する者をその者が有する当該高度の専門的な知識経験又は優れた識見を一定の期間活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事させる場合には、職員を選考により任期を定めて採用することができる。」と規定しています(2条1項)。
 この条文により採用される職員が「特定任期付職員」です。
 国にも同様の制度があり、任期付職員法(一般職の任期付職員の差異よ及び給与の特例に関する法律)で定められています。
 人事院のホームページでは、同法を制定した趣旨を次のように説明しています。
「行政の高度化、多様化、国際化などが進展する中で、これらの変化に的確に対応して、国民の期待する行政を遂行していくには、行政を担う公務員について、新規学卒者等の採用・部内育成を基本としながらも、部内育成だけでは得られない優位な部外の人材を活用していくことが求められています。
 このような観点から、民間人材の採用の円滑化を図るため、公務に有用な専門的な知識経験等を有する者を人気を定めて使用し、高度の専門的な知識経験などを有する者については、その専門性等にふさわしい給与を支給することができるよう、平成12年11月に一般職の任期付職員の差異よ及び給与の特例に関する法律(任期付職員法)が制定されました。」

(特定任期付職員の給与))
 特定任期付職員の給与ですが、日弁連ホームページでは、「弁護士を任期付職員として採用する場合、年収ベースで概ね800万円程度となっているケースが多いようです。」と記載しています(日弁連ホームページ)。
 地方自治体の場合、給与は条例によって決まり、千葉県の場合は、「任期付職員の採用等に関する条例」で特定任期付き職員に適用される給料表が規定されています(7条)。この給料表は、任期付職員法にある俸給表と同じ金額です。
1号給 37万5000円
2号給 42万2000円
3号給 47万2000円
4号給 53万3000円
5号給 60万8000円
6号給 71万円
7号給 83万円
 特定任期付職員の号給は、その者の専門的な知識経験又は識見の度並びにその者が従事する業務の困難及び重要の度に応じて決められますが、自治体内弁護士の場合、4号給又はそれ以下となることが多いようです。
 4号給の場合、
 53万3000円 ×12=639万6000円
となりますが、これに期末手当、地域手当が加算されます。
 期末手当というのは、いわゆるボーナスのことで、これも地域差がありますが、全国でそれほど差があるわけではありません。
 差が大きいのは、地域手当です。
 東京都特別区は、1級地で号給月額の20%がつきますが、地域手当がないところはその加算がありません。
 先ほど紹介した「年収ベースで概ね800万円程度となっているケースが多いようです」という日弁連の記載は、地域手当加算がない場合を念頭に置いているのではないかと思われます。
 なお、特定任期付職員には、扶養手当、住居手当、勤勉手当の支給はありません。

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