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任意保険会社からの治療費打切り要請にどのように対処するか

2021年11月24日 | 交通事故民事
(任意保険会社からの治療費の打ち切り通告)
交通事故の被害者として治療を続けていくと、加害者側の任意保険会社から、「そろそろ治療を終了してください」とか、「治療費を支払うのは来月くらいまでで、それ以降は出しませんよ。」等という連絡が来ることがあります。この治療費の打ち切り通告に対してどのように対処していけばよいでしょうか。

(任意保険会社が治療費を支払っている理由)
 任意保険会社が治療費を支払っているのは、法律上どのように考えられるかについて、まず押さえておきましょう。
 交通事故で被害を受けると、加害者に対して、損害賠償請求ができます。
 あくまでも、損害賠償請求できるのは、「加害者に対して」であって、任意保険会社に対してではありません。
 では、任意保険会社は、本来誰に支払いをするのかというと、「加害者に対して」です。
 加害者が被害者に対して損害賠償を支払い、それを保険会社に対して支払いを請求する(保険金請求)というのが、保険のもともとの発想です。
 しかし、加害者が一旦支払って、保険会社に請求するというのは二段階のプロセスを踏むことになります。また、加害者も被害者と交渉して損害の支払いをして、保険会社に請求するというのでは、非常に面倒です。そこで、保険会社が、加害者の支払う分を直接被害者側に支払ってしまうということが行われているのです。

(損害賠償として認められる治療費とは)
 このような直接払いをしていく任意保険会社は、「損害賠償として適正な治療費を支払うこと」を考えています。任意保険会社も営利事業ですから、できるだけ治療費を安く抑えたいということを考えている担当者もいるかもしれませんが、本来考えるべきは、「法律上適正な治療費」です。
 そこで、「法律上適正な治療費」とは何かということですが、覚えておいていただきたいのが、”後遺障害が残る場合は、原則として、症状固定前の治療費のみが支払われる”ということです。
 症状固定というのは、これ以上治療を加えても、改善が見込めないことをいいます。
 本当に生身の人間の体で、そんなことになるのかどうか、私は医者ではないのでよくわかりません。「症状固定」という考え方で損害賠償請求は考えられているのだということをおさえていただければよいでしょう。
この考え方からは、症状固定前は治療の対象となり、治療費を原則として支払うが、症状固定後は後遺症の問題であるから、治療は原則として必要ないという考えになります。
 つまり、治療費の支払いは、症状固定までであり、それ以降は、原則、法律上の適正な治療費ではないということになります。
 任意保険会社から見れば、症状固定時が治療費の打ち切りポイントであるのです。

(症状固定はどのように決まるか)
 症状固定となっているのかどうか、またその時期というのは、基本的には主治医の意見が尊重されます。
 ですから、任意保険会社の担当者は、主治医に被害者の症状固定の見込み時期を照会して、主治医の回答をもとに、治療費の打ち切りを通告するのが原則です。 
 もっとも、交通事故で多発するむち打ちについては、症状固定までの時期が3ヶ月~6ヶ月という医学的知見があって、任意保険の担当者もそのことを知っているので、むち打ちの場合は、主治医への照会をせずに、被害者側に治療費打ち切りを通告することもあるようです。

(任意保険会社からの治療費の打ち切り通告への対処方法)
 長々とお話をしてきましたが、要点をまとめると次のようになります。
①被害者側が請求できる治療費は、症状固定までのものであり、症状固定後は治療費は原則請求できない。
②症状固定時期は、基本的には主治医の意見が尊重される。
 このことから、打ち切り通告をうけたときの対処方法は次のようになります。
ア 主治医に自分の症状固定時期はいつごろと考えているのか、その理由を聞くべきです。
 また、その際、任意保険会社から症状固定時期について照会があったか、それにどのように回答したのかも聞いてください。   
イ 主治医が症状固定時期がまもなくであり、これ以上は後遺症の問題であるという説明であれば、後遺障害診断書を書いてもらうよう要請することになります。
ウ 主治医はまだ症状固定と考えていない場合
 ・任意保険会社の担当者が主治医に照会もしていなかったときは、担当者に、主治医の意見は、まだ症状固定ではないということであったので、その点を照会して治療費の支払いを継続してほしいと要請することになります。
・任意保険会社の担当者が主治医に照会をしていたときは、主治医の考えと任意保険会社側の考えが食い違っていることになります。なぜこの食い違いが生じたのかを任意保険会社側に聞くべきでしょう。どのような食い違いが生じているかにより、対処方法が異なってきます。

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