レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

私の読書論157-読むのは内容か文章か-『HMM』[本の話]第4回から-楽しい読書318号

2022-05-16 | 本・読書
 ―第318号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2022(令和4)年5月15日号(No.318)
「私の読書論156-読むのは「内容」か「文章」か
―『ミステリマガジン』連載コラム[本の話]第4回から」


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         ― 読書で豊かな人生を! ―
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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和4)年5月15日号(No.318)
「私の読書論157-なぜ本を読むのか
―『ミステリマガジン』連載コラム[本の話]第4回から」
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 前回に引き続き、私の愛読誌の一つである
 『ミステリマガジン』(早川書房)に連載されている
 湯川豊さんのコラム[本の話]の連載第4回「なぜ本を読むのか」から、
 <読むのは「内容」か?「文章」か?>について紹介しましょう。

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 - 私の読書論157 -
  ◆ 本の価値 ◆
  ~ 読むのは「内容」か?「文章」か? ~
  ――『ミステリマガジン』連載コラム[本の話](湯川豊)
  第4回「なぜ本を読むのか」から
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 ●文章が好き!――渡辺京二「命のリズムを読む」

湯川豊さんの『ミステリマガジン』連載コラム[本の話]の
第4回「なぜ本を読むのか」(HMM2021年7月号(no.747))に
こんな話が出てきます。



「なぜ本を読むのか」というやっかいな問いかけへの答えとして、

 渡辺京二「命のリズムを読む」
 (『万象の訪れ――わが思索』2013年刊 所収)

の一節が紹介されています。

 《――省みれば、音楽や絵が好きという人とおなじく、
  文章というものが好きなのだと思う。
  「読む」というのは、文章を読むのだと思う。
  なにを当たり前なというなかれ。
  読むのは内容じゃなく文だと言っているのだ。》


湯川さんはこの文章に出会って、
《目を見張り、まさに共感した》といいます。

そしてこの後に続く説明の文を読み、さらに共感を深めた様子です。

 《というのは、経験から言って、「読む」とは、
  その読む文のリズムが自分のからだに染みつくことだからだ。
  それがなければ、とても文など読めはしない。
  自分のからだに、おなじことだが自分のこころに、
  ある場合には心地よい、
  ある場合には戦くような反応が生じてきて、
  自分自身の生を一瞬照らし出し、拡張したり凝縮させたりする。》


湯川さんは、

 《この人も、自分に染みつくような文章に出会ったとき、
  それが自分の血肉になるように読んでしまうのだ》

と。


というのは、湯川さんが一年ほど前にある人からの
「須賀敦子の本はなぜこんなに長く、熱心に読まれるのでしょう」
という問いに、

 《「良い文章を読みたいという人がいるからでしょう。
  良い文章を読んで、良い気持ちになるのを求めている人が」》

と答えた経験があったそうです。

言いたいことは、「内容じゃなく」という意味で。

もちろん「文章は良いが内容はダメ」とか、
「内容がないけれど文章は良い」ということはあり得ないが、とも。

*参考:
『ミステリマガジン』2021年7月号(no.747) 早川書房 (2021/5/25)


 ●スラスラ読める文章

音楽を聴くときに、(詞等の)内容より曲先行という場合もあります。
あるいは、単純に「音」の良さに聞き惚れるようなこともあるでしょう。

それを本に当てはめれば、
こういう「文章」の持つリズム等の良さに惹かれて、
読んでしまうこともあり得るでしょう。

よく「名文」とか言われます。

なにが「名文」なのかというのも難しい問題ですが、
音読する名作の本といったものが一時期流行りました。

そういう本をみますと、「名文」の基準の一つとして、
音読したときに心地よいもの、というのがありそうに思われます。

例えば日本語には七五調という独特の調子があります。

和歌とか短歌とか、俳句だけでなく、
時代劇の映画やドラマのナレーションなどで、多用されています。
演歌等の歌詞でもよく使われていますよね。

七五調もそうですが、
音読したときの心地よさ、というものには、
そういう文章の一定のリズムという存在があると思います。

この文章の持つリズムといったものも、名文の条件の一つでしょう。

読んでいてスラスラと読める。
つっかえずに読み進めることができる、というのは、
確かに一つの名文の証でしょう。


ただ、このリズムも人によりけりです。
自分に合うリズムというものがあるのかもしれません。
それにより、ある人には読みやすい文章であっても、
他の人には読みづらい文章となることもあるかもしれません。

文章の相性というものもありそうです。
自分のリズムに合うということを、
湯川さんも書いていらっしゃいましたよね。


しかし、私の場合、
スラスラ読めるのはいいのですが、上っ面をなめるだけで、
意味を取れないまま、右から左へ言葉だけが抜けていく、
なんてこともあります。

そういう意味では、読みやすい文章、かならずしも名文に非ず、
かもしれません。


 ●読むのは内容か文章か

ここでもう一度「読むのは内容か文章か」について考えて見ましょう。

私の場合は、基本的には「内容」派ですが、
これはあくまでも情報を入手することを第一義にしているからです。

湯川さん同様、内容もあり文章も良い、というのは
当然のことですけれど、単にそれだけではなく、
文章がそれほどでなくても、内容が傑出していれば、
その辺は、自分なりに解釈しながら頑張って読み進むことができます。

要するに、本を読む行為というものは、
内容を知りたいという興味が動機になっているからでしょう。

多少の文章の稚拙さも気にならない、というケースです。


一方で、文章を楽しむという行為もありそうな気がします。
上にも書いたように、音楽を文字通り音として楽しむ姿勢と同じです。

文章を音読する楽しみのようなものです。
内容より文章のもつ言葉の響きなどを純粋に楽しむ姿勢ですね。

そういう本の読み方もアリな気がします。


本を読むのが好きだ、という人の中には
そういう人も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

 ・・・

あなたの場合はいかがでしょうか?

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 ★創刊300号への道のり(16) 2021(令和3)年7-12月(14年目後半)

(下段URL:ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』、
 goo版『レフティやすおの新しい生活を始めよう』
 掲載【別冊 編集後記】)

298.
2021(令和3)年7月15日号(No.298)
「私の読書論146-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(9)
ハヤカワ文庫の50冊(7)拾遺・蔵書以外の名作傑作・
ミステリ編(2)サスペンス他」
2021.7.15
私の読書論146-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(9)
ハヤカワ文庫の50冊(7)拾遺ミステリ編(2)-楽しい読書298号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/07/post-6f1005.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ac35cb4854a3b92851db545567f9d4a1

299.
2021(令和3)年7月31日号(No.299)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(1)準古典」
2021.7.31
新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(1)
-「楽しい読書」第299号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/07/post-38536e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/872fb55a4a5a78d989b58cf7878bc188

・【角川文庫】『走れメロス』太宰治 
・【新潮文庫】『さぶ』山本 周五郎

300.
2021(令和3)年8月15日号(No.300)
「創刊300号記念号(放談)それでもやっぱり本が好き!」
2021.8.15
それでもやっぱり本が好き!-「楽しい読書」第300号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/08/post-2ca533.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/1f45afce518bb16b6042ad18ea72819a

301.
2021(令和3)年8月31日号(No.301)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)新顔作家」
2021.8.31
新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)新顔作家
-「楽しい読書」第301号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/08/post-709d62.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/76ed255eb712153d96e6ef9ca568633c

・【集英社文庫】『作家の秘められた人生』ギヨーム・ミュッソ/著
吉田 恒雄/訳 2020/9/18

302.
2021(令和3)年9月15日号(No.302)
「私の読書論147-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(10)
ハヤカワ文庫の50冊(8)最終回/拾遺・蔵書以外の名作傑作・SF編」
2021.9.15
私の読書論147-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(10)
ハヤカワ文庫の50冊(8)拾遺SF編-楽しい読書302号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-91bb0c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d5177990812901e6a5ec1c80293ea30a

303.
2021(令和3)年9月30日号(No.303)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(12)
特別編-中島敦「山月記」より」
2021.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(12)特別編-中島敦「山月記」より
-楽しい読書303号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-0666dc.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/01e422e6e9e18417a82bd6713f662e3f

304.
2021(令和3)年10月15日号(No.304)
「私の読書論148-本は<読む>もの?<見る>もの?」
2021.10.15
私の読書論148-本は<読む>もの?<見る>もの?-楽しい読書304号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/10/post-a887cc.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/f87a5a4441366c4942a89a1fd0ebf613

305.
2021(令和3)年10月31日号(No.305)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)李陵と蘇武 」
2021.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)李陵と蘇武
-楽しい読書305号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/10/post-0dd04c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/156f20ec8874a78841b7bb8cfe311a79

306.
2021(令和3)年11月15日号(No.306)
「私の読書論149-今年も読めない!?」
2021.11.15
私の読書論149-今年も読めない!?-楽しい読書306号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/11/post-92e47c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/c4cc501456a7fc1a66046a6ca5fa0729

307.
2021(令和3)年11月30日号(No.307)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(11)-2021-
「パーティー族」ドナルド・E・ウェストレイク」
2021.11.30
クリスマス・ストーリーをあなたに~(11)-2021-「パーティー族」
-楽しい読書307号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/11/post-89135b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/18c776f043925c645747d63c43d02f2c

・ドナルド・E・ウェストレイク
 『<現代短篇の名手たち3> 泥棒が1ダース』
 木村二郎/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2009/8/21 収録

308.
2021(令和3)年12月15日号(No.308)「私の読書論150-
私の年間ベスト3・2021年リアル系(前編)岡本太郎他」
2021.12.15
私の読書論150-私の年間ベスト3・2021年リアル系(前)-楽しい読書308号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/12/post-6520fd.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/00d4199074d690a9a06614e57c97d6f5

~ 私の年間ベスト3・2021リアル系 ~
(1)『自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか』
岡本太郎 青春出版社・青春文庫<新装版> 2017/12/9
(2)『対極と爆発 岡本太郎の宇宙1』岡本太郎
 椹木野衣/編 ちくま学芸文庫 2011/2/8

309.
2021(令和3)年12月31日号(No.309)「私の読書論151-
私の年間ベスト3・2021年リアル系(後編)岡本太郎他」
2021.12.31
私の読書論151-私の年間ベスト3・2021年リアル系(後)-楽しい読書309号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/12/post-ceb6fd.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/b171098bc2132d4d4f7e6cd2a77c3dcd

~ 私の年間ベスト3・2021リアル系 ~
(3)『ギリシア・ローマ ストア派の哲人たち
 セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレリウス』
 國方栄二 中央公論新社 2019/1/9

 ・・・

2021年後半7-12月分です。

この年の月末「古典紹介編」は、古代中国の文芸「漢詩を読む」編は
漢代の詩を取り上げています。

この年も、7月8月は恒例の「夏の文庫フェア」を、
11月末の<クリスマス・ストーリーをあなたに>では、ウェストレイクの
<天才的犯罪プランナー・ドートマンダー>シリーズの短編から。

「創刊300号記念号」では、記念放談「それでもやっぱり本が好き!」を
お届けしました。

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本誌では、「私の読書論157-読むのは「内容」か「文章」か―『ミステリマガジン』連載コラム[本の話]第4回から」をお届けしています。

今回は全文紹介です。
といっても、特にどうという内容ではありませんでしたね。

「内容で読ませる心地よいリズムの文章を書く」
ことを理想とする私ですが、それができているかどうかは……
読者のみなさまのご判断にゆだねたいと思います。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論157-読むのは内容か文章か-『HMM』[本の話]第4回から-楽しい読書318号

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