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50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

私の読書論164-私の年間ベスト3・2022年リアル系(後)『生きがい』他-楽しい読書333号

2023-01-01 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2022(令和4)年12月31日号(No.333)「私の読書論164-
私の年間ベスト3・2022年リアル系(後編)『生きがい』他」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和4)年12月31日号(No.333)「私の読書論164-
私の年間ベスト3・2022年リアル系(後編)『生きがい』他」
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 今年もいよいよラストになりました。
 やり残したこともたくさんありますが、
 まずは、やり遂げたこと、やり通せたことを思い返し、
 自分を褒めてやりたいものです。

 「私の年間ベスト3・2022年リアル系(後編)」です。

 その年、もしくは前年に私が読んだ本から
 オススメの「私の年間ベスト3」を選ぶという企画です。

 まずは、「リアル系」のその前編から。


 「リアル系」とは、いわゆる論文やエッセイ系の著作、
 実用書のような解説系のものも含めて、を言います。

 それに対して、小説や詩等の文芸作品は「フィクション系」。

 「フィクション」に対しては
 「ノン・フィクション」という言葉があります。

 でも「ノン・フィクション」というと、
 またそれで一つのジャンルのようになってしまうので、
 あえて、どなたかが使っていた
 「リアル系」という言葉を使っています。

 エッセイの中には、フィクションと見まがうような、
 ホラ話的な内容の境界線上の作品もありますけれど。

 まあ、ここでは、論文に準ずるような著作とお考えください。
 言わんとすることは分かりますよね。

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 - 人生を考え、哲学する人のための人生談義 -
  ~ 私の年間ベスト3・2021リアル系(後編) ~
 『生きがい』『哲人たちの人生談義』『「空気」を読んでも従わない』
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 ●まず候補から――『ロウソクの科学』

今年は本当に読んでいる冊数が少ないので、
いきなりですが、早速「ベスト3」を挙げてしまいましょう。

前回ラスト、候補を挙げておきました。

・『奴隷の哲学者エピクトテス 人生の授業』荻野弘之 ダイヤモンド社
・『生きがい―世界が驚く日本の幸せの秘訣―』茂木健一郎 新潮文庫
・『「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる』鴻上尚史
 岩波ジュニア新書
・『哲人たちの人生談義 ストア哲学をよむ』國方栄二 岩波新書
――(現在進行形で読書中の本ですが、入れておきます。)
・『ロウソクの科学』ファラデー 岩波文庫

古典的名著といえば、なんといっても最後の『ロウソクの科学』です。
これはやはり一度は読んでいて欲しい本といえましょう。

特に現代でも科学的思考のできない人が多いように思います。

例えば、新型コロナに関しても、
科学的思考から外れたような解説? 意見? を述べる
メディアのコメンテーターがいたりしました。

当初、全く正体不明な病気でした。
しかし、徐々にその真実の姿が明らかになってゆきました。
それでも分からないことがたくさんあり、
例えば、当初の従来種では、日本人の感染が少ないのとBCGの関係や、
人種の違いに原因があるのでは、とか色々言われました。
実際今でも分からないことが色々あります。

ワクチンに関してもそうです。
今私たちが接種しているワクチンは、
従来のものとは全く違う種類のワクチンです。
そういう意味ではもっと長いスパンでみていかなければ、
その影響がどのようなものとなるかは分からない、といえるでしょう。

しかし、これも科学的にみていかなければ、意味がありません。

では、科学的思考とはどういうものでしょうか。

それを教えてくれるのが、この『ロウソクの科学』です。
ロウソクの燃焼という日常的な題材で、
科学的にものを考えていくとはどういうことかを
順を追って紹介してくれます。


 ●人生論という哲学書

それ以外の候補は、基本的に人生論といったものです。

『奴隷の哲学者エピクトテス 人生の授業』と
『哲人たちの人生談義 ストア哲学をよむ』は、
ローマ時代の後期ストア派の哲学者たちの著作を扱ったものです。

特にエピクトテスを扱ったものが、近年、増えています。

『生きがい―世界が驚く日本の幸せの秘訣―』と
『「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる』は、
前者は、脳科学者からみた日本人の生き方論を英語で書いた小著の翻訳、
後者はジュニア向けの日本的な悩みの解消法を説いた生き方論です。


 ●<私の年間ベスト3・2021リアル系>

今年はとにかく本を読んでいませんので、
数少ないなかでのベスト3です。
でも、前回も書きましたように、まさに少数精鋭で、
ベスト3候補はみな、かなりのハイレベルの争いでした。


(3)『「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる』
 鴻上尚史 岩波ジュニア新書 2019/4/20
―まわりの「空気」に惑わされず、自分らしく生きる方法を説く。

「はじめに」にこうあります。

 《よりいい生き方を見つけ、楽になるために考えるのです。/
  ですから、あなたの生き苦しさのヒミツも考えるのです。》p.vi

日本では、まわりに合わせることを強要される、といいます。
「同調圧力」という言葉は、このコロナ禍でもよく聞きました。

だれでも人なら、まわりに、世間に決められたくない、
という思いがあるものです。
それでも、それを世間が許してくれない、というムードがあり、
そこで自分を失ってしまい、結果的に生き苦しくなってしまう……。

まあ、そういう状況から逃れるための方法を教えてくれる本です。

まずは、自分を大切にすることが大事です。
自分の人生を決めるのは、自分。

実際には、他人は自分が考えているほど、
自分のことを気にしてはいない、という事実があるのです。
「世間」も同じで、大半は自分の「思い込み」だといいます。

そうはいっても、「世間」はなかなか変わらないものでもあります。
そういう「世間」を変えるためには、
小さな戦いを続けていくしかないのです。

 《「世間」はなかなか変わらないと悲しむのではなく、
  変わらない「世間」のルールをうまく使って戦うのです。》p.139

そして、

 《あなたの戦いは、あなただけの戦いではない。(略)
  あなたの「世間」や「空気」との戦いを心から応援します。》p.189


私も、もう一つのメルマガにおいて、左利きの問題で戦っています。
小さな戦いですが、もう何十年か、
メルマガだけでも18年ぐらい続けています。

いつの日か、この戦いに勝利する日を夢見て!


(2)『哲人たちの人生談義 ストア哲学をよむ』國方栄二 岩波新書
2022/7/21
―近年の哲学者が話題にしない「幸福とは何か」を古代ストア派の哲学者
 ――エピクテトス、セネカ、マルクス・アウレリウス等の言葉から
 <よく生きる>を哲学する。

「序章」冒頭、
 《哲学者が幸福について語らなくなって久しい。》(p.2)
といい、
 《巷には幸福になるための自己啓発本が溢れかえっているが、
  現今の哲学者は概して幸福論を語りたがらない。》(同)
と続け、
三木清の『人生論ノート』の「幸福について」から引用しています。

この文章は昭和13年(1938)頃のもので、
今の哲学界においてもそれほど変わっていない、といいます。
しかし、
 《古代の哲人たちは人生談義を幸福論から始めることが多かった。》(同)
と。

 《幸福の追求は過去の多くの哲学の出発点であった。》(p.4)
とも。

こうして、ヨーロッパにおいて長きにわたって読み継がれてきた
ストア派の哲人たちの著作から人生論的な哲学思想を紹介しています。

 《古代の哲学を学びたい人は
  プラトンやアリストテレスの書物を読むだろう。
  しかし、人生論といえば、ローマ時代のストア派の哲人の書物を
  繙くことが多い。それはなぜかと言うと、
  哲人たちの言葉が私たちの心の琴線にふれるからであろう。》(p.208)
と。

例えば「死」について――

 《人びとを不安にするのは、
  事柄ではなく、事柄についての思いである。
  例えば、死はなんら恐るべきものではなく――そうでなければ、
  ソクラテスにも恐ろしいと思われたであろう――、
  むしろ死は恐ろしいものだという死についての思い、
  これが恐ろしいものなのだ。》『要録』5 [下巻 364頁](p.172)

『要録』とは、
奴隷の子に生まれた元奴隷で、のちに解放され哲学者となった
足の悪いエピクテトス(後50年年頃-135年頃)、
その弟子のアリアノス(後86/90頃-175頃)が残した著作の二点のうち、
講義の内容を著作にまとめたものが『語録』と呼ばれ、
その思想の要約の方が『要録』と呼ばれるもので、その後者をいいます。

 《エピクテトスが哲学に求めたのは、
  「人はいかにして精神の自由を得ることができるか」
  という問いに尽きている。》

それは『要録』の冒頭にある、

 《物事のうちで、あるものはわれわれの力の及ぶものであり、
  あるものはわれわれの力の及ばないものである。(略)
  そして、われわれの力の及ぶものは本性上自由であり、
  妨げられも邪魔されもしないが、われわれの力の及ばないものは
  脆弱で隷属的で妨げられるものであり、本来は自分のものではない。
  『要録』1 [下巻 360頁]》(pp.101-102)

この一文に集約されます。

自分の力でコントロールできるものとできないものに分けて考えろ、
というのです。

多くの人が言い、実践していることです。

*エピクテトス『人生談義』(上下) 國方栄二/訳 岩波文庫
(上巻=『語録』第一・第二巻
 下巻=第三・第四巻、断片、『要録』を収録)
『エピクテトス 人生談義 (上)』岩波文庫 2020/12/17
『エピクテトス 人生談義 (下)』岩波文庫 2021/2/18

*参照:『要録』に関して、「ベスト3」候補の一冊――
『奴隷の哲学者エピクトテス 人生の授業
 ――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために』荻野弘之
  かおり&ゆかり/漫画 ダイヤモンド社 2019/9/12
―漫画と共に、元奴隷の哲学者エピクテトスの哲学を解説する。



(1)『生きがい―世界が驚く日本の幸せの秘訣―』茂木健一郎
 恩蔵 絢子/訳 新潮文庫 2022.5.1
―脳科学者が英語で世界に向けて出した日本人の生き方をめぐる小著。

西欧でブームになっていたという<IKIGAI>を
日本人から説明して欲しいと、
茂木健一郎さんが英語での本をオファーされ、
2017年にロンドンで出版された

 THE LITTLE BOOK OF IKIGAI:
  THE ESSENTIAL JAPANESE WAY TO FINDING YOUR PURPOSE IN LIFE

の日本語訳の文庫版。

日本の本質を知るためには、一度日本を離れ外から見る必要がある、
英語で書くことはその一つの方法である、というのです。

こうして書かれた内容は、寿司、大相撲、雅楽、伊勢神宮、コミケ、
アニメ、ラジオ体操といった、現代日本の様々な日常を取り上げながら、
<生きがい>という概念を分析、それらを通して見える、
日本人の生活と文化といった日本らしさと、
日本人の生き方について追求し、幸福に生きる方法を考える本。

冒頭に<生きがい>に大事な五本柱として、

 柱1:小さく始める 
 柱2:自分を解放する
 柱3:持続可能にするために調和する
 柱4:小さな喜びを持つ
 柱5:<今ここ>にいる

 《それぞれの柱は、<生きがい>が花開くための支えとなり、
  <生きがい>の基礎を作るもの》(p.12)

だといいます。

<生きがい>についての研究論文(曽根ら『日本における、
生きるに値する人生の感覚(IKIGAI)と死亡率の関係:大崎研究』2008)
によりますと、

 《<生きがい>を持っていることは、
  幸せで活動的な人生を築くことができる
  と感じる精神状態にあることを指す、と言えそうだ。》(第一章p.24)

といいます。

 《<生きがい>は、あなたに頑張る力をもたらし、
  あなたの人生に目的を与えるものである。》(同p.25)

と。

<生きがい>は、自分の専門分野で成功をおさめている人でなくても
使うことのできる言葉であり、《どんな人にも開かれている》もので、
《生き方の多様性を讃美している、とても民主的な概念》だ(p.19)、と。

 《<生きがい>とは、自分にとって意味がある、人生の喜びを発見し、
  定義し、楽しむということにつきる。》(p.29)

この本で自分の人生を見直し、<生きがい>が与えてくれる
健康や長寿についてのヒントを得られる、と。

以下の二つの質問に答えることで、

 《もっと幸せで、もっと実り多い人生にするために、
  あなた自身の<生きがい>を見つけよう。》(同p.30)

・あなたが心の中で一番大事にしているものは何か?
・あなたに喜びを与える小さなことは何か?


さて、あなたにとっての<生きがい>とは何でしょうか。

私の場合は、このメルマガ(ともう一つのメルマガ)でしょうか。

とにもかくにも、このメルマガが300号超、もうひとつの方がが600号超、
10年以上続けています。

何かしら自分に「生きる力」を与えてくれています。
(これもひとえに、読者の皆様の存在のお陰ですけれど。)
「自分のために、(かつ)誰かのために」という。



 ●私の年間ベスト3・2021年〈フィクション系〉ベスト1――

今年のベスト1は、やはりこれでしょう。

小著にこそ価値がある、といいますと、言い過ぎな感じですが、
簡潔にまとめるという面からいいますと、
やはり小著が優るという気がしませんか。

小説より詩、詩の中でも短詩系の究極的な短歌や俳句となりますと、
簡潔にズバリとポイントを押さえている表現になります。

で、一見そのようでありながら、
一語一語に創造力の広がりがある表現にもなっています。
読む人それぞれに受け止め方が変わってきます。
自分で想像する余地も生まれてきますよね。

小著には、そういう部分もあります。
要点を押さえながらも、
読者自身が過去の経験に照らして、読み取れる部分が。


うすっぺらい本だと何かしら頼りない印象があるでしょうね。
分厚い本で活字がぎっしり詰まっている本は、
確かに充実感があり、頼りがいがあるように思えます。

しかし、その分読み終えるのに、ハードルが高くなります。

どんなにいい本でも、最後まで読み終えなければ、価値は半減します。

一冊通して書かれたものですから、
部分だけでは理解できなくても当然でしょう。

ポイントだけ拾い読めばいいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、どこを読めばいいのか、などということは、
実際に読み込んでみないと分かりませんよね。
どこに大事なことが書かれているか、読んでみないと分かりませんから。


なにしろ、小著には、まず一番に、
とにかく、早く読み終えられる、という利点があります。

多少読みづらく感じても、一息ガマンするだけで読み終えられます。
読み終えてみれば、あれこれいいところが見つかり、読んでよかった、
という気になれるでしょう。

ムダな文章が少なく、
ポイントだけを取り上げて書かれていることが多いので、
要点を取りやすい、というのも小著の利点です。

例を挙げて説明するのは、一見わかりやすそうに思えますが、
ポイントのずれた例だったりすると、マイナスにしかなりませんし、
適切な例でなければ、話がまわりくどくなったり、
冗長になってしまうこともあります。

念のためにと例外事項まで羅列した結果、
ムダに話の展開が間延びすることもあります。


要点だけを順序よくまとめられた小著を読むのが、
一番手っ取り早いものです。

物事を初めて勉強するときも、
微に入り細を穿つような、すべてを網羅したゴッツイ教科書より、
ますは、小著を読んでみましょう。
ポイントだけをコンパクトに押さえた本で、
全体像のイメージを知ってから個々の部分に進んで行くのがベストです。


そこで、この『生きがい』という、
薄っぺらい本を
「私の年間ベスト3・2021年〈フィクション系〉ベスト1」
に挙げておきましょう。


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 (1)『生きがい―世界が驚く日本の幸せの秘訣―』茂木健一郎
      恩蔵 絢子/訳 新潮文庫 2022.5.1

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 ★創刊300号への道のり はお休みです

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本誌では、「私の読書論164-私の年間ベスト3・2022年リアル系(後編)『生きがい』他」と題して、今回も全文転載紹介です。

今年はとにかく数を読んでいないので、まさに少数精鋭の中からの「ベスト3」ですので、意外にレブエルは上がっているようです。

騙されたとおもって一度読んでいただきたいものです。

で、今号で創刊以来333号となりました。
東京タワー到達です。
次は、スカイツリーの634号を目指します!

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論164-私の年間ベスト3・2022年リアル系(後)『生きがい』他-楽しい読書333号
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