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「キャンペーン・左手でも写真が撮れるカメラを作ってください」について思うこと

2020-08-29 | 左利き
左利き仲間のガボちゃんから教えていただいた情報です。

2020年8月24日
もう少しで

「キャンペーン・左手でも写真が撮れるカメラを作ってください」
というのをやっているそうです。


 ●右利き(偏重/優先)社会への提言としてのキャンペーン

「キャンペーン・左手でも写真が撮れるカメラを作ってください」
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発信者:roberto celi 宛先:Canon、Nikon、Fujifilm、Olympus

現在販売されている写真撮影のための機材は、全て右利きの人に向けて作られています。そのため障害があって右腕や右手が使えない人は、仕事や趣味に関わらず写真を撮ることが難しい状況にあります。

大手のカメラメーカーでこの問題を解決しようとしている企業は、まだひとつもありません。プロ仕様や初心者向けなど、カメラの種類に関わらず左利き用のカメラは販売されていません。

左利きの人や左手しか使えない人がシャッターボタンを押したり、設定を変えるためのモードダイヤルを操作できるブラケット(補助具)さえも販売されていないのです。

私のパートナーは、レガッタ(ボート・レース)の写真家ですが、脳卒中により右半身が麻痺し動かすことができなくなってしまいました。彼女が情熱を注ぐ仕事続けられるよう、私がブラケットを作ってみたのですが、露出とフォーカスを自分で操作できるものはまだ作れていません。
https://imgur.com/a/0KENUs3

彼女の仕事は、こちらでご覧いただけます。
http://www.forevelspezia.it/

世界的なカメラメーカーであるキヤノンさん、ニコンさん、富士フイルムさん、オリンパスさんにお願いです。集まった署名に応えて、左利きの人や何らかの理由で左手しか使えない人が写真を撮れるような解決策をぜひ検討してください!

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一か月ほど前に始まったもので、すでに約5万人が賛同しています。

発信者および賛同者のコメントなど見ていましても、私には私なりに言いたいことが色々ありますねえ。

こういう左利きの存在を無視したような右利き偏重の社会のあり方に対する要求というものは、必要だし大切なことだとは思います。

ただ、どうもそれだけではない、割り切れない部分も私の中にはあるのです。
その辺の所はまた後ほど。


こういう意見――要望は過去にもありました。

例えば、昔ネット上の左利きの会「ジャパン・サウスポー・クラブ」というのがあり、そこで、私が左利きに目覚め、左利き活動を始めるきっかけとなったカメラ「京セラ・サムライ SAMURAI」の左手用「Z-L/Z2-L(廉価版)」を復刻しようという運動がありました。
結局、デジカメの時代になったということもあり自然消滅したようですが。

またネット上のいろんな掲示板等でもこういう要求といいますか、希望の表明は結構ありました。

それはそれでいいのです。
必要なことでもあるでしょう。

ただ私の思うに、この要望や賛同者のコメントを読んでいますと、私の心に痛い部分が見つかるということです。

それはなぜかといいますと――。


 ●私の心の痛い部分――メーカーの努力が報われていない部分もあるのでは?

それは、メーカーの努力が明らかにされていない点です。

キャンペーンの発信者のことばでも賛同者のコメントでも、メーカーさんが何もしていないように聞こえます。

実際のところ、メーカーもそれなりに努力をしてきた、という事実があります。
これだけは書いておかなければいけない重要なポイントだと思います。

このキャンペーンの要求の宛先に挙げられているカメラ・メーカーでも、いくつかの試みが行われていた、という事実です。

私が知っている範囲で書きますと(このブログで紹介してきました、下の参照欄)――
キヤノンでいいますと、これも私の持っている左右対称形コンパクト・カメラ「キヤノンPowerShot N」およびその次世代改良版「N2」がありました。
レンズのまわりに配置されたシャッター・リングを押すので、左右どちらの手でも使えます。
両手で構えても使えますし、小型なので片手でも撮れます。





富士フイルムは、チェキというインスタントカメラで、《右手と左手で撮る写真は、きっと同じじゃない》というキャッチ・コピーで左右二つのシャッター・ボタンを装備した「instax SQUARE SQ10」を発売しています。
今も次世代機として、「instax SQUARE SQ20」があります。





オリンパスでは、左右共用一眼タイプ・スマホ利用カメラ「Olympus Air A01」というカメラが発売されました。







他にも、シャッター・ボタンを左右に装備したカメラというのを聞いたことがありますし、カメラ自体は右用でも、タッチ画面を採用し、左右どちらの手でも液晶画面を指でタッチすることでシャッターがきれるという機種もありました。


というふうに、必ずしも左利き専用ではないけれど、メーカーさんもまったく努力していないというわけではありません。
特にこの点を強調しておきたいものです。


確かに、現状では左利き対応カメラはほとんど存在していないかもしれません。

しかし、かつて何度も各社が工夫した製品を発売してきたという事実は、忘れてはいけないと思います。

決して発信者や賛同者の一部の人が言っているような、悲惨な状況ばかりだったわけではない、ということです。
それなりにメーカーさんも努力していたのです。

ところが、その努力に報いるだけの売り上げという実績を残せなかった、というのが現実でした。

誰が悪いのかはわかりません。
でも、結局、最終的に買わなかったのは、ユーザーとして期待されていたであろう左利きの人だと思うのです。

理由は色々あるでしょうけれど……。


*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』過去の【左利き対応カメラ】記事:
・2017.5.18
右手でも左手でも左右両シャッター新“チェキ”「instax SQUARE SQ10」5月19日発売予定

FUJIFILM ハイブリッドインスタントカメラ instax SQUARE SQ10 INS SQUARE SQ 10

FUJIFILM ハイブリッドインスタントカメラ instax SQUARE SQ20 マットブラック INS SQ 20 BLACK


・2014.10.20
左利きの憂鬱における左手・左利き用カメラの情報

【左右共用一眼タイプ・スマホ利用カメラ「Olympus Air A01」】
・2015.4.11
左手でも使えるシンメトリックデザイン一眼カメラOLYMPUS AIR A01

【オリンパス(OLYMPUS)】 オープンプラットフォームカメラ OLYMPUS AIR A01 (ボディー, ブラック)


【左右共用カメラ「PowerShot N/N2」】
・2015.3.18
左利きにも優しいシンメトリーデザイン・カメラCanon PowerShot N改良機PSN2

Canon デジタルカメラ PowerShot N2 自分撮りモード搭載 PSN2

・2013.5.15
届きました!左右共用カメラ・キヤノンPowerShot N
・2013.4.26
注文しました!左手でもシャッターを切れる!キヤノンPowerShot N
・2013.1.30
左利きも楽しめる新カメラ、キヤノンPowerShot N4月下旬発売
・2013.1.28
左(利き)右(利き)の手を選ばないカメラCANON PowerShot N

【左手用カメラ「京セラ サムライSAMURAI Z-L/Z2-L」】
・2004.8.5
今は昔 世界初左手用カメラ、京セラ サムライSAMURAI Z2-L



 ●左用が売れない理由とは?

何度も書きますが、考えには賛同しますが、もう一つ乗り気になれない自分がいます。

私自身、過去に左利き対応のカメラを買い(左手用カメラの京セラ・サムライSAMURAI Z2-L/左右どちらの手でもシャッターが切れるキヤノンパワーショットPOWERSHOT N)、今でも使っているのです。



私が左利きに目覚めたのも、この左手・左利き用のカメラ(京セラ・サムライSAMURAI Z2-L)との出会いがきっかけでした。

右用カメラを使うときの、ガラス越しにものを見るときのような隔絶した距離感、あるいは歯にものが詰まったときのような違和感もなく、初めて手にしたのに、長年使い続けていたかのような、フィット感がありました。

身体に合った道具がいかに使いやすいものであるかを、実感させられました。
「左利きは左利き用を(使うべきだ)!」と。

ホームページやブログ等でも機会のある限り宣伝してきました。
自分の持っている機種だけでなく、それ以外にもいくつかのカメラを紹介してきました。

用途は必ずしも「左手専用・左利き用」ではないかもしれませんが、右でも左でも使えるタイプのカメラは、プロ用といいますか、本格的な一眼カメラでは発売されていないようですが、コンパクトカメラやそれに類した中級機?では、いくつかのメーカーから色々と発売されてきました。

ところが、いつの間にか販売中止(製造中止?)になっているのです。
需要があるはずなのに、実際には売れないので切られてしまう、というのが実情です。

もちろん商業ベースに乗る「売れる」の実数がどの程度なのかはわかりませんが、現実に「買わない」左利きの人が多いのも実情でしょう。
仮に全人口の10%が左利きとして、右利き用の少なくとも9分の1ぐらいは売れるか、というと疑問です。

今回の場合も、賛同者数がどれぐらいになろうと、それだけ売れるとは限りません。

「賛同したら買わなければならない」ということはありませんし、賛同するのと買うのは別でしょう。
しかし、「賛同するなら買えよ」という気持ちにはなりますよね。

賛同者が多いので、実際に作ったらやっぱり売れなかったとなると、どうでしょうか。
これからもメーカーとしては、左利き対応製品に関しては、作るとしてもかなり絞った数字しか出せないでしょう。

もし上記のカメラのうち一つでも、ベストセラーになっていたら、また違った展開になっていたのではないでしょうか。


これは過去のあらゆる左利き用品にいえることです。

「十人に一人は左利きと聞き、要望も多いので作ってみたけど、思いのほか売れなかった」という話はよく聞きます。

この「十人に一人は左利き」という部分が誤解を生んでいるのかもしれません。
単純に「右用の十分の一は売れる」と皮算用を決め込むと、足下をすくわれることになるということでしょう。

左利きの人のすべてが左使いとは限りませんし、右用で満足している人も少なくないのです。

左利きの人の意識そのものが変わらなければ、また、左利きの人を取り巻くまわりの環境(一般の人の意識や社会のあり方)も変わらなければ、左利きの人が自分の身体に合った左用を使うようにはならないのです。


 ●賛同したから買わなければならない、ということはないけれど……

ただ、「賛同することと買うこと」とは別の次元の事柄です。
言ってみれば「思想と処世は違う」というのと同じことでしょう。

賛同することはそれでいいと思います。
ただできることなら、発売されたときには「実際に買う」という行動で支持していただきたいと思いますね。


もちろん、昔より、左手左利き用品への注目度、普及度も上がっていると思います。
そういう意味では、昔よりは売れる可能性は高まっていることでしょう。

しかし、左利きの人には、右利き社会である現状を当然のこととして受け入れてしまっている人も多く、「カメラとは右手で構えて右手でシャッター・ボタンを押すものだ」と思い込んでいる人も多いようです。

また「慣れたら一緒」という人もいます。
それはやはり左用カメラを実際に使った経験がないので、いうのだと思います。
実際は、利き手に合った道具は慣れる必要はないのです。

あるいは「一眼カメラも楽器もパソコンのキーボードなども、両手を使うから、利き手は関係ない」という人もいます。
しかし、両手を使うといっても、それぞれに役割や重要さに違いがあります。
カメラでいえば、レンズの絞りやピント合わせが得意でも、シャッター・ボタンを押さなければ写真は撮れません。
ギターやバイオリンで、弦を押さえるのが巧みでも、弦を弾かなければ演奏はできません。
ピアノでも左は伴奏で右は主旋律で、伴奏が巧みでもそれだけで人の心は魅了できません。
パソコンもEnterや打ち間違ったときによく使うBackSpaceやDeleteなどは右手側にあります。
第一、電源ボタン自体が、右手をさっと伸ばせばよい位置――右側にあります。


人は自分の身体(利き手/利き側)に合った道具を使うべきなのです。

そのためには、左右の別のある道具や機械では、右利き用と左利き用の両方があるべきなのです。
左右で実数には差ができるでしょうけれど、あえてそれを甘んじて受け入れる。
それこそが多様性の容認ということなのです。


 ●私の言いたいこと――「賛同するなら買ってくれ」

ここで私の言いたいことを改めてまとめておきましょう。


1)考えには賛同する―(多様性の時代においては)「左右は平等である」
――左右の別のある道具・機械には、それぞれ右用・左用を作るべきです

2)行動で応えての欲しい―(消費者も)「賛同するなら買ってくれ」
――過去に、左用のカメラあるいは左右両用のカメラがいくつか製造販売されたが、結局期待ほど売れず販売中止になっている
  そこで、今後もしそういう製品が作られたのなら、賛同する人はまず買って使ってほしい(文句を言うのはそれから!)


もちろん、考えに賛同することと実際に物を買うこととは次元の異なる問題でしょう。

しかし、過去の左利き用品のケースを考えましても、多くの場合、欲しいと賛同する人はいても、実売がなかなか伴わないケースが多いというのが現実でした。
結果として、いつの間にか製造・販売が中止されてしまう。

メーカーの考える採算ベースそのものに過大な評価があり、そこに問題があったのかもしれません。

あるいは、単純に宣伝広報が足りなかったのかもしれません。
買ってくれそうな人、必要としている人に情報が届いていなかったということもあったかもしれません。

根本的に製品に欠点があった、というケースもあったでしょう。
左利きの人が求めている水準に届かないものだったのかもしれません。
もしくは、利き手の違いが持つ微妙な感覚の違いが理解されていなかったのかもしれません。


詳しい理由はわかりませんが、メーカーが製品を製造・発売しても、それらの製品がほとんど活用されることなく、消えてしまっているケースがあったように思います。

そこで、その解決策として、もし左利き用の製品が誕生したら、とにかく買って使ってみて欲しいということ。
その上で、どこが良くてどこが行けないのか、を明らかにすること。
それが次世代製品の改良や進化につながるのですから。


まあ、5万人の賛同者がいても実際に買うのは、せいぜい0.1%ぐらい(50人)ではないでしょうか。
最大値でも1%ぐらい(500人)でしょう。

なぜなら今の時代、専用機としてのカメラの存在は、プロもしくはそれに準ずる一部愛好家の必需品に過ぎないからです。

一般の人は写真はスマホで撮る時代でしょう。

いかに左利き専用機ができたといっても、それをわざわざ買う人はまれです。

左用カメラの商品としての条件は、プロ向けの一眼カメラを除けば、左用ハサミよりも厳しいと思います。
ハサミですら、切れたらいい、という人が少なくないのですから。
(今のハサミは刃のかみ合わせが良くできているので、右手用を左手で使ってもある程度切れます。逆も同様。)

カメラはハサミよりも価格が高いですから、「どんなものか試しに買ってみるか」という一般の人は少ないでしょう。
私のように、スマホを持っていないとか、左利きライフを極めたいという人でもない限り、プロ以外で購入に踏み切る人は少ないでしょう。

以上、水を差すようですが、そんな気がします。

 ・・・

ぐだぐだと書いてきましたが、最後にもう一度書きますと――

本当に必要としている人はいるでしょう。
そういう意味でこのキャンペーンには賛同します。

でも、賛同者の方々には、もし製品が誕生した暁には、責任を持って“支持”していただきたい、という思いがあります。
“支持”するとは、まず買うこと、そして使ってみること、その上で感想を述べること、です。

私は過去にもフィルムカメラもデジカメも買ってきましたし、次も買いたいと思います。

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
「キャンペーン・左手でも写真が撮れるカメラを作ってください」について思うこと
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