"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

『噺と三味線 五月雨のたはむれ』ご来場感謝

2008年06月16日 20時25分32秒 | 主催する催し

 旧五月十三日。梅雨の中休みが続き、満月に向けて徐々にポテッと丸くなる月を毎晩望むことが出来ます。それも今夜、明日の夜まででしょうか。
 土曜日の「岩手・宮城内陸地震」で被災された方には心よりお見舞い申し上げます。縁がある岩手県の町でも震度5強。情報が少ない中で3時間まったく連絡が取れない状況は強い不安に襲われました。幸い大きなダメージが無く皆無事でしたが、日頃から連絡を取り合う方法などを打ち合わせておく必要を痛感しましたね。皆さんもぜひこの機会に備えて下さい。

 6月14日土曜日“暮らしのリズム”のイベント『噺と三味線 五月雨のたはむれ』にはたくさんの方々にご来場頂きましてありがとうございました。
 立川志の吉さんの熱演による「死神」。スクイーズ☆ハジキーズの心地よい三味線の音色で聴かせる長唄の合方。居酒屋ニュー信州による山菜を始めとする季節の味覚。すべてが相まってとても暖かく楽しいイベントになったと思います。お越し頂いたお客様。イベントをサポートして下さった皆様に感謝しております。
0616sukhaji  この夜まず舞台に上がったのは松永鉄駒さん、松永鉄六さんのお二人からなるユニット、スクイーズ☆ハジキーズです。糸を一つ弾くと、適度な広さの空間の隅々にまでピーンっと音が響き、緊張感に包まれます。今宵の演目は長唄の間奏にあたる三味線演奏、合方(あいかた)を中心にした曲の数々でした。それぞれの曲に関して鉄六さんに解説して頂きましたので、一部を資料などにより補足・加筆してご紹介します。

一、「菖蒲浴衣」より 佃の合方
隅田川の流れを描写する手(メロディー)が入った、今の季節にぴったりの爽やかな曲です。隅田川の河口、佃島・住吉神社の祭礼囃子「佃囃子」から元になっています。
二、「都鳥」前弾
こちらも隅田川の情景を謳った曲で、その前奏部分です。長唄独特の“打ち合わせ”という技法の紹介として。本手(基本旋律)だけで弾いた時と、本手と替手(本手とは別の旋律)で弾いた時の雰囲気の違いの紹介しています。
三、童謡・唱歌「朧(おぼろ)月夜~花」
皆さんご存知の明治・大正時代の名曲です。歌詞を配りスクイーズ☆ハジキーズの三味線をバックに皆さん唄てくださいました。
四、水の流れ合方集
「雨の四季」などより、この季節に合った爽やかな合方を集めてみました。
五、「河」
スクイーズ☆ハジキーズの師匠である松永鉄九郎さんと、杵屋邦寿さんのユニット【伝の会】のオリジナル曲。夫婦鮭が互いに助け合いながら、海から河の上流をめざすという情景描写曲です。美しいメロディーですが手の細かい難曲になっています。
六(アンコール)、「チンチリレン」
「京鹿子娘道成寺」に使われるつなぎ(立方が着替えの為にそでに引っ込んでいる間、場を“つなぐ”)の合方です。
七、志の吉さんとのトークのおしまいで一曲「ツルンチチン」
「二人椀久」のタマ(演奏者が即興的に加えた原作にはない手)の一部です。

 舞台から降りたスクイーズ☆ハジキーズに代わって高座に上がる立川志の吉さんを送り出す出囃子は長唄「官女」の一節。スク☆ハジの三味線による生出囃子でした。「アンコールのあとに高座に上がったのは、落語家人生の中で初めてでございます」と軽妙なつかみです。志の吉さんの一席は『死神』。独自の現代的センス溢れるくすぐりが要所にあってとてもユニーク。笑い声も絶えません。
 少し休憩を挟んで最後は三人でのお話コーナーですが、少々時間も押し気味だったので、お客様からの質問コーナーに。これで第一部がおしまい。

 いつものイベントのように、素早い展開で舞台を片付け、テーブルをセットし、第二部酒宴のスタートです。0616warabi 三人の発声で乾杯するお酒は、居酒屋ニュー信州の店主、榎 慎一さんが釣った岩魚の骨酒です。続いてはお店のご厚意でお振る舞いの一品が登場。各テーブルには岩手県北上山地の「紫わらびのお浸し」(写真左)が運ばれました。肴のメニューには「天然わさびの醤油漬け」「ぜんまい煮」「姫竹とごぼうのきんぴら」「空豆」「天然岩かき」など、季節の味覚が並び、各テーブルを回る志の吉さん、鉄駒さん、鉄六さんを交え、話が弾み、笑い声が絶えませんでした。

 次は秋口の頃。何かイベントを開催しようと思っています。またよろしくお願いします。

 写真は後日アップします。