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工藤鍼灸院・院長のひとりごと2

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舌痛症を考えてみた

2006年11月28日 20時19分22秒 | 鍼灸・東洋医学
今朝の新聞に載っていたのですが、文部科学省の大学設置・学校法人審議会で認可の答申が出たそうで、大学10校と短大2校、大学院11校、大学院大学1校の来春開校が認められたのだとか。

講義はネット上のみ 「サイバー大学」来春開校へ(朝日新聞) - goo ニュース

何だかすごい話になっているようで、ネット上の授業だけで単位を取れる大学ってのができるんだって。
すごいね、現代の科学の力ってのは。
それでですね、来春開学が認められた中には鍼灸学教育を行う大学院が2校(関西医療大学大学院日本伝統医療科学大学院大学)含まれているんです。今までは明治鍼灸大学にしか大学院はありませんでしたが、これで来春から鍼灸の大学院は3校となります。
こうして鍼灸を学問として学べる場が増える事は非常に喜ばしい事です。

でもね。

やっぱりどこの大学院も「鍼灸を科学的に・・・」っていうのを謳い文句にしているんだねぇ。ネットで大学卒業できる時代だもんな、これも仕方がない傾向のかなぁ。
鍼灸を科学するなら、ぜひ古典的治療の科学的解明をお願いしたいところですし、大学側にはそういう学問を専門にできる学生さんを育てて欲しいと願っています!!

・・・現実的には難しいんだろうけど。
ま、いいや。この話はお終い。



さて突然ですが、皆さんは舌痛症って知ってますか?
・・・いえね、午前中に治療をした患者さんのお母さんが舌痛症と診断されたって、そう聞いたんです。あんまり聞かない病名ですよね。
今日はですね、gooヘルスケアに記載されている項目を見ながら、東洋医学的な考察をしてみたいと思います。

・・・いやね、夜のご予約が全部明日以降にずれたもので、急に暇になっちゃったのよ(^^;)



<どんな病気か>
舌自体に炎症や悪性腫瘍(あくせいしゅよう)などがないにもかかわらず、舌の痛みを訴えてくる病気を舌痛症といいます。また、鉄欠乏性貧血や悪性貧血などの場合にも舌の痛みを伴うことがあり、貧血がないこともこの病気と診断される条件になります。
舌の痛みを訴える患者さんが多いわりには、それほどたくさんある病気ではありません。一般には、舌が痛ければ舌痛症と診断される傾向があります。

〔東洋医学からみると〕
舌の痛みは肝虚証・脾虚証・腎虚証から起こります。肺虚の舌痛がないのは陰の病(病が深い)だからで、難治性の疾患なのはそのためだと推測されます。
ただし舌痛症の診断には『貧血がない』という条件があるようですから、単純に考えると血虚を伴う肝虚による舌痛は除外されますね。



<原因は何か>
一般的に、心身症と呼ばれる病気の一群と考えられています。舌痛が起こる前やその経過中に、心理・社会的な要素が加わっているのが特徴です。

〔東洋医学的な原因は〕
前述の陰虚によって発生する心や心経の熱によるもの、中焦(主に胃腸)の熱によるもの、太陰経(肺経または脾経)の熱などが痛みの原因であると考えられるでしょうか。
熱の発生は陰虚によるものですから、あくまでも陰を補う治療がメインとなります。



<症状の現れ方>
痛みの特徴は患者さんの表現により違いますが、“ひりひり”とか“ぴりぴり”など慢性的な訴えです。また、その症状が発症してから何カ月~何年も経過していることがあります。

〔症状の現れ方から東洋医学的な病理状態を推測すると〕
脾虚によるものは症状の軽快と悪化を繰り返す事が多く、腎虚によるものはいわゆる慢性的な症状が多いものです。ここまでの情報だけで考えると、証としては腎虚証も脾虚証もどちらも十分考えられます。



<検査と診断>
貧血の有無を確認する血液検査や、口腔の乾燥をみるための唾液(だえき)量の測定が行われます。心理的な要因が考えられる場合には、心理テストなどもあわせて行われます。

〔東洋医学からみると〕
腎は津液を蔵しているので、唾液が少なくなるのは腎虚による津液不足によるものと考えられます。また、脾虚で胃の実熱によるものも、熱の勢いが激しいために津液の乾燥が起こると考えられます。
一方、同じ脾虚でも胃の虚熱の場合は津液が乾燥するだけの勢いがないので、唾液が減る事はないと思われます。



<治療の方法>
舌に直接接触する金冠などの破損や不良な歯の噛(か)み具合を検査し、破損した部分の修正や歯石の除去が行われます。また、舌の炎症部位に口中のカビの一種カンジダアルビカンスによる舌炎が見すごされていることが多く、この際は抗カビ薬のうがいで比較的容易に治ります。この段階で回復したものは舌痛症とは呼びません。
心理・社会的な原因で生じた本物の舌痛症の場合では、心身症に準じた治療が行われます。

〔東洋医学からみると〕
アトピーの患者さんには腎虚によるカビ感染がみられる事があります。抗カビ薬で治る舌痛は舌痛症とは呼ばないのであれば、やはり脾虚による発症である可能性が高いでしょうか。
心理的要素が深く関係しているのであれば、「思えば脾を傷る」事からも、舌痛症は脾虚の病症だと考えてもいいのではないでしょうか。



<病気に気づいたらどうする>
心身症に準じた治療に入るものは少なく、まずは歯科を受診し、舌の局所的な原因の除去を徹底的に行います。これで、おおかたは治ります。
これでも治らない場合が舌痛症で、心身症を専門として心理学的な治療を行っている医療機関へ直接、もしくは紹介してもらって受診します。向精神薬や精神療法が行われますが、短期間で治ることは難しいようです。

〔鍼灸ではどう治療するか〕
どんな病気でも脈に随った治療をするのですが、脾虚証だったという前提で考えてみましょう。
まずは脾を補います。次に虚実にあわせて胃熱をとる治療を加えます。



こうして病理状態を推測する事で、誤治を防ぐ事ができます。
実際にはどうかわからないですけどね、どういう患者さんがお見えになっても脈に随った治療をするだけです。その時にまた考えよーっと。

治療経験のある方、何か情報下さいm(_ _)m
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12 コメント

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大学院大学 (hitomi)
2006-11-30 00:57:37
チョイスは明治鍼灸大学しかなかったのに、時代の流れと共にチョイスが増えてきますね!
工藤さんはコテコテの東洋医学よりですか?
実は大学院の博士課程(修士は建築の方で持っていますので)に進学しようと思っているのです。いろいろ相談したいと思っているので、工藤鍼灸院の方にメールしてもいいですか?質問コーナーに変な質問が行くかもしれませんが、それは私です。
そうそう、山田先生と北小路先生の話をしたときに、工藤さんのことも話したら、知ってられましたよ!一期生ですか?北小路先生のところで尿の研究をされていたとか?人違いでしょうか?細面の男前と言ってられました~。鍼灸大の話になると懐かしそうでした!
返信する
何でも聞いてください (院長)
2006-11-30 15:08:17
hitomiさん、お元気そうで何よりです。

>工藤さんはコテコテの東洋医学よりですか?
はい、100%東洋医学的な診方と治療しかやっていません。現代医学的な知識はそこそこありますが、それが臨床に直結する場面は皆無と言っていいと思います。
いろんな診方がありますし、それぞれに合ったスタイルを確立できればそれでいいと思っています。僕にはこの方法しかないわけで、これが一番楽しいんです。

それはそうと、大学院への進学をお考えとの事。僕でよければご相談にのりますので、いつでもご連絡ください。
僕自身は学生当時、ゼミの松本教授に「大学院に残れ」と言われたのを断った経緯があるんですよ(笑)。とにかく早く臨床に出たくて。あはは。

>山田先生と北小路先生の話をしたときに、工藤さんのことも話したら、知ってられましたよ!
山田先生・・・数人思い浮かびます(笑)。のっぽの先生?小さい先生?はげ・・・いや、髪の毛薄い先生(フォローになってない)?誰でしょ?

>北小路先生のところで尿の研究をされていたとか?人違いでしょうか?
あ~、たぶんですね、正しくは「北小路先生が排尿障害の研究をしている最中に研究室で再・再・再試験を受けてた工藤」でございます(笑)。北小路先生は冬休み中ずっと、僕が合格するまでテストに付き合ってくれました。たった一人のためにテストを何度も繰り返してくださって・・・。感謝してもしきれません。

僕の所属ゼミは『老年鍼灸医学教室』というところで、ただひたすら臨床に出て治療するという変なゼミでした。卒業式の前日まで毎日臨床に出てましたよ。

>細面の男前と言ってられました~。
山田先生大好き。
返信する
gerontology (hitomi)
2006-11-30 23:14:04
クリスマスに雰囲気が変わりましたね!主婦にとっては超忙しい季節ですが、来週末から3泊4日香港旅行で、鍼体験してきます。香港で鍼を受けられたことありますか?
山田先生は以前、コメントで話題になった方で「年齢は45歳ぐらいで、めがねをかけていて、いつもケーシーを着ておられます。」ということでご存じだったと思っていたので…
http://www.kyoto-eisei.ac.jp/department/health-acup/student.shtml
山川先生、新井先生、鈴木先生ともに明治鍼灸大学出身で、新井先生は現在博士課程にで戻って在学中のそうです。
山田先生が「工藤君に色々教えて貰ったらいい!」とおっしゃっていましたので、宜しく御願いします!
返信する
ビンゴ! (院長)
2006-12-01 08:27:22
あ、やっぱり思っていたとおりのはげ・・・じゃないやメガネの山田先生です(笑)。お久しぶりのご対面(写真でだけど)でございます。
くれぐれもよろしくお伝えくださいませ。工藤は元気でやってますと。

香港旅行、楽しんできてくださいね。お灸を買うなら香港は安いかも(笑)。
帰国後のお話、期待してます!
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びっくり!! (えつ)
2006-12-01 10:09:09
hitomiさんの↑リンク(っていうのかな?)を見たら雅雄さんが!!
あ~~~、超びっくりした。
今は講師をしてはるんですね~。
もうベースは弾いてないのかな?ぷぷ♪
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ご存じなんですか? (hitomi)
2006-12-02 00:24:52
雅雄さんという親しげな書き方をするえつさんは、鈴木先生の何時の時代を知っておられるのでしょう?博士課程を終えられてから、岐阜大の東洋医学講座で呼吸器を専門にされ、今は京大の医学部大学院で研究員をされているようです。私の専門学校の方では「医学各論の内科疾患」を教えておられ、自分の鍼灸臨床の体験談などが聴けるので、なかなか興味深いです~
ベースを弾いておられたんですか?想像しがたいです!ベースギター?それともコントラバス?
返信する
雅雄さん! (院長)
2006-12-02 07:50:03
僕もよくご存知ですよ。うちの副院長も驚いてました(笑)。
返信する
はい。 (えつ)
2006-12-04 09:29:02
>hitomiさん
鈴木さんの大学時代を知っております。
後輩だったんですよ。
雅雄さんは軽音部に所属しておりまして、私もそこに所属しておりました。
ばりばりのベースギタリストで凶器のような音をさせていました、上半身脱いで(笑)。すごくうまかったですよ。今度聞いてみて下さい♪
学生時代からまじめに勉強してはる方でした。
懐かしいなぁ。
返信する
舌痛症の治療 (ゆったん)
2012-03-28 01:11:40
はじめまして、舌痛症歴4年の50代の主婦です。
舌痛症の鍼治療に注目して頂き、ありがとうございます。
大学病院の口腔外科で、舌痛症の専門医と心療内科、鍼灸院で治療しています。

唾液や涙の量も少なく、胃弱、脂肪肝、頸椎ヘルニア、左肩に痛みがあります。

舌痛症に抗うつ剤や抗てんかん薬を使うのは、心身症だからではなく、脳が痛みと間違って伝達するのを阻止する目的で使われます。

顎下、喉のツッパリ感が強く、これが緩めば舌痛がなくなると言われました。

舌痛症の患者の多くは、顎関節症や首こり、坐骨神経痛をもっていて、腰の歪みが原因で、歯の噛み合わせが悪くなり、頭がい骨がずれるのが原因という歯科医もいます。

鍼治療して3年、今の鍼師の経絡治療で一年半です。肩ぐう、肝癒、腎癒、大腸癒、風池などに刺していて、肩井、肩ぐうで、痛みがなくなりますが、5分もしないうちに痛くなります。

先生の書き込みを拝見すると、脾臓や胃の熱がとれなければ、根本的には治らないということですね。
どのようなツボ、または方法で、それらは解消されるのでしょうか。

はじめての書き込みで、大変厚かましいとは思いますが、教えて頂ければ嬉しいです。


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Unknown (院長)
2012-03-28 23:52:44
ゆったんさん、はじめまして。

治療穴を拝見する限り、おそらくゆったんさんは肝虚証で治療をされているのだと思います。
私は直接ゆったんさんを拝見させていただいたわけではないので証が合っているかどうかは判断しかねますが、証が合っていてなおかつきちんと本治法と標治法を行えば、もう少し状態は改善するはずです。もしかしたら証が間違っているという可能性も考えられます。
無責任にああだこうだ言えませんが、1年半ほど治療を継続して今の状態というのは辛いですね。もう少し状態の改善がみられてもいいと思います。言い出しづらいかも知れませんが、証の再考をお願いしてみるのもひとつの方法です。真剣にゆったんさんの病と向き合ってくれる術者なら不快感は示さないと思いますよ。

>顎下、喉のツッパリ感が強く、これが緩めば舌痛がなくなると言われました。
>舌痛症の患者の多くは、顎関節症や首こり、坐骨神経痛をもっていて、腰の歪みが原因で、歯の噛み合わせが悪くなり、頭がい骨がずれるのが原因という歯科医もいます。

理由は長くなるので割愛しますが、この2点に関しては私は疑問を感じています。
あまり難しく考えなくてもいいと思いますよ。案外、病理は単純です。

早く苦痛から解放されるといいですね。お大事にしてください。
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