夏休み前に(下)
~「彼女たち」の選択~
☆初めに☆
今回の記事も「夏休み前に」ですが、夏休み始まりました。線香花火も夜空に開く大輪も、夏休み、です。
ところで、物議をかもした静岡県吉田町の「夏休みは16日間に!」を覚えてますか。保留になってるんですよ。「保護者の反対」が大きな理由です。
「夏休みも子どもをあずかってくれるなら助かる」
という保護者は少数だったのですね。
☆ ☆
教え子(中年の)から、
「子ども食堂やってみようと思うんだけど」
などという相談もあるのです。夏休み、給食が途絶えるこの時期に、切なく生きている子どもたちがいます。子どものことを気にしている人は少なくありません。何かしら声を上げることは大切ですね。
1 援助交際
2005年の春のことだ。卒業生が学校に来た。高校制服お披露目(おひろめ)の恒例イベントのようなものだ。中学校の制服には許可されない「ミニ」が、当然の顔して登場する。
その二人に、私は、
「かわいいね」
と言った。すると、
「なんか『客』のオヤジみてえ」
と言う。私はこういう時、感心なくらい速攻に反応する。
「オメエには言ってねえから」
実際そうだった。もうひとりのニコニコ笑っている生徒の方に、私は言っていたのである。オヤジをなめんなよ。
この「客としてのオヤジ」が、子どもたちの話題に堂々と上がり始めたのはこの頃だと記憶している。はやり言葉の「女子高生ほど素敵な商売はない」とは、本人たちの言葉だった。読者がびっくりしては困るので言うが、人数はそんなに多くはない。当たり前だ。しかし、居酒屋のバイトをしている子から、オヤジを連れて来る制服の女の子が必ずいる、という話もよく聞いた。女の子が注文する料理は、テーブルの上にどっさり手つかずのままだったという。そんな話に私は、もう「ブルセラショップ」に自分を売り込むような時代ではないのか、とも思ったものだった。
2 17歳
その前から、私の周辺でも充分な兆候(ちょうこう)は見えていた。
細かい部分は書けないが、女子生徒が出会い系サイトを利用し家出をし、相手(若い男)の家で数日過ごした。無事に保護された女子は、幸い「何もされて」おらず、
「毎日毎夜、着せ変え人形のように服を与えられた」
のだった。この事件がいわゆる「ごく普通の家」の生徒だったもので、私たちは一様に驚いた。よくある(と言っても本人には抜き差しならないことだったのだろうが)親子の衝突を原因としていた。
不満をためたら「我慢することはない」、善し悪しはともかく、とりあえず「行ける」、そして「ここではない」場所を確保できる社会になったのだ。
悪いことばかりではない。自殺防止サイトなどもそのひとつだが、それに便乗した殺人も行われている。
初めに断る。このグラフの2005年の落ち込み、四角枠の説明にもあるが、調べた方々&調べられた方々にじかに聞いたところでは、
「『未経験』を『恥じ』と思う」
「からかい半分で」
などを理由とする数字の「水増し」を避けるための調査法変更らしい。
20世紀を終わる頃、中学を卒業する女の子は、
「17歳まではしないとみっともない」
平然と言うようになった。同じ17歳でも、
「暴走族は17歳で卒業しないとみっともない」
という言葉は、この少し前に男から消えていた。男は走らなくなった。
3 「彼女たち」の選択
その後、コギャルが伝言ダイヤルやポケベルを産み落とし拡張させたのか、その逆なのか、ちまたには新しい「女の子」が続々登場する。
ガングロ
学校にやって来る卒業生の中には、このように一体誰なのかさっぱり分からない連中も押し寄せた。けばいコスチュームとメイクは派手な自己主張のように見えて、彼女たちは自分の姿を奥へ閉じ込めていた。
時代をはっきり区分する事態が起こっていた。
「守られるべき」
「自立してはいけない」
「少女」というカテゴリーが破壊されたのだ。ついでなのだが、宮崎駿の作品に出てくる女の子は、この「少女」像をまぎれもなく残している。それで一部の女子層から「保守的だ」と言われるのだと思う。そんな中で「女の子」「女子(中)高生」以外は「女子」と呼ぶようになる。
こんな時間に、こんなにも所在なげに、こんなにもたくさんの女の子がいる、そんな情景に出会わないだろうか。警察や学校や諸機関もパトロールにいとまがない。しかし、流れはとどまるように見えない。なぜか。彼女たちはとっくの昔に家を出ているからだ。初めの頃は、お互いの部屋から画面を通して、次は深夜のビルの谷間にいる友だちと、ある時は話し込み、ある時は家に帰れないから今日泊めてくれないかと頼まれる。彼女たちは、だいぶ前に家を出ていた。
家を出てしまう子ども(女子)の報告を、毎年受ける。出先は大学生や若いサラリーマンのアパートだったりする。どう見ても子どもたちは「仕方なく」そうしている。探し当てて「もとの家」に戻すことが、彼女たちの幸福になっていない。
4「わけえのも年寄りもよ~」
「まだ治(なお)ってないのに、来なくなるんですよねえ」
とこぼすのはお医者さんである。わけありの家の子どもは、そんなわけで「おおごとにならない」と、やって来ないという。心配している人は多いのだ。
学校で問題が発生した時、
「子どもと一緒に家までいかないとダメ!」
「連絡帳じゃダメ!」
「電話じゃダメ!」
と同僚に言い、そして、
「児相(児童相談所)もやる気がない!」
「役所は『自分たちの管轄(かんかつ)じゃない』だって!」
と怒る。学校/役所/児相という「現場」に対して、なんらかのアクションを起こした先生たちの言葉だ。自分たちの「責任外」のことだが、気になって仕方がないとアクションを起こした先生たちの言葉だ。
「力がねえよ~ わけえのも年寄りもよ~」
そんな言葉が、たまらなく頼もしい。
☆後記☆
関東では猛暑が一休み、助かります。昨夜はぐっすり眠れました。なんて言ってると罰が当たるかも知れません。西日本で続く猛暑と台風の進路、気になります。
そうだ、土曜と日曜は柏でお祭です。明日は中止になりそうですね
恒例、手賀沼の蓮。まだ花はこれからです。
☆ ☆
今夏のドラマ、「ラストチャンス」と「ハゲタカ」見てます。原作は、方や江上剛、一方が真山仁だったんですねえ。それだけでも内容は軍配上がってる感じですけど。
「ラストチャンス」の初回インタビューで、劇中の奥さんのことを、
「あんな奥さんがいるわけがない」
「あれを見て、結婚したいなんて思われたら困る」
とは、仲村トオルと長谷川京子が言ってましたね。面白かった。
オウムのことも書きたいのですが、少し控えます。
~「彼女たち」の選択~
☆初めに☆
今回の記事も「夏休み前に」ですが、夏休み始まりました。線香花火も夜空に開く大輪も、夏休み、です。
ところで、物議をかもした静岡県吉田町の「夏休みは16日間に!」を覚えてますか。保留になってるんですよ。「保護者の反対」が大きな理由です。
「夏休みも子どもをあずかってくれるなら助かる」
という保護者は少数だったのですね。
☆ ☆
教え子(中年の)から、
「子ども食堂やってみようと思うんだけど」
などという相談もあるのです。夏休み、給食が途絶えるこの時期に、切なく生きている子どもたちがいます。子どものことを気にしている人は少なくありません。何かしら声を上げることは大切ですね。
1 援助交際
2005年の春のことだ。卒業生が学校に来た。高校制服お披露目(おひろめ)の恒例イベントのようなものだ。中学校の制服には許可されない「ミニ」が、当然の顔して登場する。
その二人に、私は、
「かわいいね」
と言った。すると、
「なんか『客』のオヤジみてえ」
と言う。私はこういう時、感心なくらい速攻に反応する。
「オメエには言ってねえから」
実際そうだった。もうひとりのニコニコ笑っている生徒の方に、私は言っていたのである。オヤジをなめんなよ。
この「客としてのオヤジ」が、子どもたちの話題に堂々と上がり始めたのはこの頃だと記憶している。はやり言葉の「女子高生ほど素敵な商売はない」とは、本人たちの言葉だった。読者がびっくりしては困るので言うが、人数はそんなに多くはない。当たり前だ。しかし、居酒屋のバイトをしている子から、オヤジを連れて来る制服の女の子が必ずいる、という話もよく聞いた。女の子が注文する料理は、テーブルの上にどっさり手つかずのままだったという。そんな話に私は、もう「ブルセラショップ」に自分を売り込むような時代ではないのか、とも思ったものだった。
2 17歳
その前から、私の周辺でも充分な兆候(ちょうこう)は見えていた。
細かい部分は書けないが、女子生徒が出会い系サイトを利用し家出をし、相手(若い男)の家で数日過ごした。無事に保護された女子は、幸い「何もされて」おらず、
「毎日毎夜、着せ変え人形のように服を与えられた」
のだった。この事件がいわゆる「ごく普通の家」の生徒だったもので、私たちは一様に驚いた。よくある(と言っても本人には抜き差しならないことだったのだろうが)親子の衝突を原因としていた。
不満をためたら「我慢することはない」、善し悪しはともかく、とりあえず「行ける」、そして「ここではない」場所を確保できる社会になったのだ。
悪いことばかりではない。自殺防止サイトなどもそのひとつだが、それに便乗した殺人も行われている。
初めに断る。このグラフの2005年の落ち込み、四角枠の説明にもあるが、調べた方々&調べられた方々にじかに聞いたところでは、
「『未経験』を『恥じ』と思う」
「からかい半分で」
などを理由とする数字の「水増し」を避けるための調査法変更らしい。
20世紀を終わる頃、中学を卒業する女の子は、
「17歳まではしないとみっともない」
平然と言うようになった。同じ17歳でも、
「暴走族は17歳で卒業しないとみっともない」
という言葉は、この少し前に男から消えていた。男は走らなくなった。
明日の外泊ちょっぴり恐いけど
バージンじゃつまらない
おばんになっちゃう
『セーラー服を脱がさないで』(作・秋元康)が大ブレイクしたのが1985年。暴走族かげりの象徴と思える、初代「ナメ猫」登場は1980年だ。新しい時代の始まり。バージンじゃつまらない
おばんになっちゃう
3 「彼女たち」の選択
その後、コギャルが伝言ダイヤルやポケベルを産み落とし拡張させたのか、その逆なのか、ちまたには新しい「女の子」が続々登場する。
ガングロ
学校にやって来る卒業生の中には、このように一体誰なのかさっぱり分からない連中も押し寄せた。けばいコスチュームとメイクは派手な自己主張のように見えて、彼女たちは自分の姿を奥へ閉じ込めていた。
時代をはっきり区分する事態が起こっていた。
「守られるべき」
「自立してはいけない」
「少女」というカテゴリーが破壊されたのだ。ついでなのだが、宮崎駿の作品に出てくる女の子は、この「少女」像をまぎれもなく残している。それで一部の女子層から「保守的だ」と言われるのだと思う。そんな中で「女の子」「女子(中)高生」以外は「女子」と呼ぶようになる。
こんな時間に、こんなにも所在なげに、こんなにもたくさんの女の子がいる、そんな情景に出会わないだろうか。警察や学校や諸機関もパトロールにいとまがない。しかし、流れはとどまるように見えない。なぜか。彼女たちはとっくの昔に家を出ているからだ。初めの頃は、お互いの部屋から画面を通して、次は深夜のビルの谷間にいる友だちと、ある時は話し込み、ある時は家に帰れないから今日泊めてくれないかと頼まれる。彼女たちは、だいぶ前に家を出ていた。
家を出てしまう子ども(女子)の報告を、毎年受ける。出先は大学生や若いサラリーマンのアパートだったりする。どう見ても子どもたちは「仕方なく」そうしている。探し当てて「もとの家」に戻すことが、彼女たちの幸福になっていない。
4「わけえのも年寄りもよ~」
「まだ治(なお)ってないのに、来なくなるんですよねえ」
とこぼすのはお医者さんである。わけありの家の子どもは、そんなわけで「おおごとにならない」と、やって来ないという。心配している人は多いのだ。
学校で問題が発生した時、
「子どもと一緒に家までいかないとダメ!」
「連絡帳じゃダメ!」
「電話じゃダメ!」
と同僚に言い、そして、
「児相(児童相談所)もやる気がない!」
「役所は『自分たちの管轄(かんかつ)じゃない』だって!」
と怒る。学校/役所/児相という「現場」に対して、なんらかのアクションを起こした先生たちの言葉だ。自分たちの「責任外」のことだが、気になって仕方がないとアクションを起こした先生たちの言葉だ。
「力がねえよ~ わけえのも年寄りもよ~」
そんな言葉が、たまらなく頼もしい。
☆後記☆
関東では猛暑が一休み、助かります。昨夜はぐっすり眠れました。なんて言ってると罰が当たるかも知れません。西日本で続く猛暑と台風の進路、気になります。
そうだ、土曜と日曜は柏でお祭です。明日は中止になりそうですね
恒例、手賀沼の蓮。まだ花はこれからです。
☆ ☆
今夏のドラマ、「ラストチャンス」と「ハゲタカ」見てます。原作は、方や江上剛、一方が真山仁だったんですねえ。それだけでも内容は軍配上がってる感じですけど。
「ラストチャンス」の初回インタビューで、劇中の奥さんのことを、
「あんな奥さんがいるわけがない」
「あれを見て、結婚したいなんて思われたら困る」
とは、仲村トオルと長谷川京子が言ってましたね。面白かった。
オウムのことも書きたいのですが、少し控えます。
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