実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

着席 実戦教師塾通信八百六十三号

2023-06-02 11:26:16 | 子ども/学校

着席

 ~力不足のなすこと~

 

 ☆初めに☆

五月場所で優勝した照ノ富士が、「自分の身体と向き合う」と言っていたのが印象的でした。「身体を作る」とは言わなかった。謙虚というよりは、悩み考えた時間を感じさせました。いつか見事な終幕を見せてくれるだろう、いや、すでに見事な最期を見せ始めていると思いました。周囲の雑音は、この世界では声援でもあります。難しいものです。

雑音との向き合い方を考えます。あわせて、窮屈な子どもたちの現状について考えます。

 

 1 体育座り

 千葉県・柏市市議会で、少し前だが「体育座り」について議論があった。やめて欲しいという議員の問い掛けだ。私は我慢できず、この議員を質(ただ)した。いけないのは「同じ姿勢を長い時間強要すること」だ。

「こら、何をあぐらかいてるんだ!」「集会の時は体育座りと決まってるんダ」

などと、強要することに問題がある。体育座りが良くないのではない。あぐらだろうがごろ寝しようが、「ずっとそのまま」がよくない。体育座りは腰に良くないとかいう反論もあるらしいが、重要ではない。ずっと同じ姿勢でいるのが良くないのだ。それでたとえば、人間は夜中に寝返りをうつ。それに、議会で取り上げるほどの現状ではない。その現場ないしは教員に直接注意した方が早い、というレベルである。

 さて、議会が終わったあとだが、現場から報告があった。学校名も特定の個人名も分かってるが伏せます。職員会議で、立場のある教員が「集会の時、生徒は椅子を持参する」という提案をして通った。学校は卒業式と入学式以外、特別でもない限り生徒は身体ひとつで入場する。生徒が、そして実は教員も大変だからだ。何よりその必要がない。それが始業式はもちろん、学年集会もだという。提案者がのたまった理由は、

「市議会で体育座りが良くないという議員からの批判があったから」

である。反省の弁ではないのだ。現象的には間違ってないように見えるので、周囲から批判されない。とばっちりを受けるのは生徒だ。邪魔な椅子のお陰で、見えなくなった階段(足元)を気にしながら入退場をする。渋滞するので椅子を下に置けば「持て」という指示が出る。片手で持っても同じ声が、あるいは「音をたてるな」という声が飛ぶ。いざ集会が始まれば、背もたれにしっかり上体をつけろ、椅子が斜めだ、前の椅子に触るんじゃない等々の声が飛ぶ。椅子にまつわる「注文」は上げれば切りがない。教員も自分で自分の首を絞める。

 あなたのしたことが、こんな事態を生んでる、何とかしなさいと議員に言ってる。どうやら動き始める様子。

 

 2 チャイム

 つい先日、もう40半ばを過ぎた教え子に、びっくりするような昔の話を言われた。

「先生はあの頃、チャイムが鳴るまで席に着いちゃだめだって言ってた」

それを聞いた周りは、自分の席で過ごしたい生徒たちもいるはず、という非難めいたことを私に言った。でも、そう言いながら彼らも、昔の私の姿にひどく興味を持ったようだ。30年以上も前のことなので確信はないが、私のことだから、恐らく学校の方針に職員室ばかりでなく教室でも反旗を挙げた。つまり「五分前着席の励行」って、良くあるやつが言われた。10分の休み時間だと5分しか休憩出来ない。授業を5分延長する先生と「約束の」5分前に教室で「待機」する先生が「協働」すると、休み時間がなくなる。労働基準法なんか持ってくると面白いんだけどね。

 こういう時、職員(会議で)は梅雨時の排水口のような言葉を放つ。けじめのある生活、自律性のある生活のどこがいけない等々の立派な言葉たちは、結構手ごわい。チャイムが鳴るまでは自由。これが大切。そして、この自由に終わりを告げるのがチャイムの役割。つまり「五分前着席」とは、この区分に不当な介入をするものである。これを第一に考えないといけない。二点目。自分の授業か自分自身が生徒から嫌われている時、チャイム着席は遅れる。同時に生徒は授業に集中しない。先生が指導者というプライドを保ちたいのなら、この生徒と向き合わないといけない。そうしないで、そんな生徒を許してはいけないからと、学校全体を「活用」して「チャイム着席」をはかるというのは大人げなく、かつ、みっともない。職員会議で私は、こんな主張をしたと思われる。でも、「席に着くな」とはねえ。

 実は、前項の「体育座り」でも、同じことが背景となる。集会で生徒が下を向いたりグダッとするのは、生徒に耐性がないとか集中力がないというのではない。「話がつまらないもんな」「その上、長いもんな」と思うのが、そんな生徒の姿を見る時の大人として望ましい態度である。こんな「耐えられない」生徒を見たら、せめて「こら、つまらないことでも我慢しなさい」と、壇上の人間に聞こえるような大声で言って欲しい。

 

 ☆後記☆

藤井君(未だに「君」づけで)やりました! 今回の終了図も、素人には難解でした。すごい戦いなんですねえ。この快挙の陰になってしまった感じですが、わずか三日前に藤井君は、岩手で叡王戦の防衛を果たしてる。なんてこった。防衛後に、三陸鉄道の一日駅長として運転を楽しんで言ったことが、

実際の車両でやると思ってなかったので、運転免許を持ってないのにいいのかなって。すごく緊張した」

だって。いいですねえ。日本中に元気を送ってくれるおふたり。これからもよろしく 

オオタニさん、今日も一発お願いしま~す

すぐ裏手の田植え前のひとコマです。

6月です。今月はから揚げ。授業参観が目白押しの第三土曜日ですが、頑張りま~す