千の天使がバスケットボールする

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「情熱大陸」ヴァイオリニスト五嶋龍君登場!

2008-07-28 23:22:24 | Nonsense
昨日のTBSの「情熱大陸」に、ハーバード大学で量子力学を学びながら、ヴァイオリニストとして小学生の頃から演奏活動を行ってきた五嶋龍君が登場!彼を見てびっくり、、、20歳になり、すっかり青年の風貌と体格になっていたのだ。
20代で勢いのある期待できる大物予備軍日本人ヴァイオリニストは、何人もいる。世界的なコンクールに入賞経験者だけでも、もしかしたら両手で数え切れないくらいではないか。そんなひしめく玉玉混合の中でも、龍君はちょっと別格である。なにが、と言うと、殆どの音楽少女や青年たちが、音楽家になるためにたとえ勉強が好きだとしてもレッスンのための時間をとるために、学業はひとまずおいて、音大に進学しているのに、龍君は米国でもとびきり難しいハーバード大学に進学したのだ。そして、空手の稽古も熱心に続け、姉は、誇張もなく「世界的なヴァイオリニスト」。そんな幼い頃から環境に恵まれ、母から英才教育を受けてきた龍君だったが、せっかく入学した大学を1年間休学して、音楽活動に専念することになった。
今、彼は何を考えているのだろうか。そして、どこへ向かっているのだろうか。

2007年12月名古屋での演奏会。即日完売、満員の観客が待つ中、ステージの主人公は、携帯電話が見つからなくていらいらしていた。こんなたわいないことで神経質になりながらも、いち視聴者として彼をにくめないのは、すっかり年をとっておばあさんっぽくなった母親の節さんのキャラに負う部分もあるのか。華やかなスポットライトを一身にあびて演奏するのは、やはり華やかな技巧を求められるパガニーニ。やっぱり、うまい。龍君は、こんな技巧的で超難曲を好んで弾いているようだが、それも若さの挑戦なのだろう。演奏後のサインをもらうために行列で並んでいるファンたちにも、自然体で接する。
NYの自宅では、ストレッチをして体を鍛える場面が紹介された。身長176センチ、体重74キロ。小学生のように小柄で、いくつになっても肉体的には未成熟な印象を与える姉のみどりさんとは似ていなく、堂々たるりっぱな体格である。脱いでも魅せられるヴァイオリニスト?室内のドアによく学生がもつミニ・タオルをかけて、そこにつかまりながら懸垂をしている様子が微笑ましい。ドアが壊れないのか、と、ついつっこみたくなる。また、腹筋運動をしながら
「日本は腑抜けだ。自分の国も守れない」と辛口コメントをはきながら、日本は世界一美しい国だとも言う。
NYに生まれ、ふたつの国籍をもちながら、日本に対する思いは平凡な日本人学生とは少し違う印象をもった。ハーバード大学の日本人留学生の友人たちが、世界中からトップの優秀な頭脳が集まった授業で、印象に残るような発言をしなければ生き残れないと必死だと語っていたのを思い出す。この大学の量子力学の研究は、世界最先端のトップクラスである。人気もあり、世界中がしのぎをけずり、内外で競争の厳しく熾烈な戦いをしている研究分野で学びながら、毎日3時間の練習を欠かせないヴァイオリニストとの両立はかなり厳しいと思う。たとえ大学生でも、寝る間を惜しんで研究室にこもるのが、研究者となる道を志した者の当然の生活なのだから。

休学中なら、ということで、孟母の節さんは、たくさんのコンサートを入れた。客を楽しませるという音楽観をもつ母と別の解釈と哲学をもつ息子は、小さな机の上におかれた楽譜の前で向き合って激しく議論をする。実は、私が一番気に入ったのが、この親子が対立する場面だ。高校に進学したあたりから、子育ては卒業とゆるりと考える母親が多い。もったいない!その考え方が間違っているわけではないが、音楽について真剣に、真摯に熱く議論する母と息子の空間を好ましく感じた。かといって、節さんは龍君に必要以上に”音楽以外は”干渉したりするタイプではないと見受けられた。男の子だしね。結局、最後におれるのは龍君の方で、お母さんが大好き、と人からかわれやすいネタも堂々と公表する素直さが女性ファンの心をつかんでいると見た。男の子が、お母さんが大好きと言ってもOKだよ。ちなみに、ハーバード大学には可愛い女の子が全然いないっっと嘆いていた龍君の好みの女性は、黒木瞳さん。小雪さんも大好きで、本当にすっっごく綺麗とあつくあつく絶賛していた。

偉大なる姉のみどりさんの影響だろうか、社会活動にも関心が高く、東南アジアの小学校でも演奏会を開いた。生まれて初めてヴァイオリンの音を聴くこどもたちの大きな瞳が見開かれ、輝いている。打算も、功名心もなく、ただひたすら歩いてきた道が、今はヴァイオリニストに傾いている。
「肩書きは」と尋ねられて「今はヴァイオリニスト」と応えた龍君が、
今後変わる可能性はと聞かれたら、「あるんじゃない」と言い切ったところに、20歳の青年の将来へのおおいなる悩みと小さな迷いをみた。
量子力学の研究者、ヴァイオリニスト、そのいずれの道を選択しても、その道を極めるには高く険しい。ここ数年が、ひとつの正念場であろう。演奏会に家族ででかけ、帰りにみんなで食事をしている時に、英語で、英語だから、明確に今夜の演奏家と音楽に厳しい批評を姉にとうとうと語る生意気な龍君。そんな弟を黙って見守る誰も歩いたことのない道をすすむヴァイオリニストの姉。
彼は、本当にどこへ向かうのだろうか。彼の奏でる喜遊曲をこれからも聴きたい。

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