五嶋龍くんは、17歳になるという。
クラシック音楽好きで、ピアノの腕前もなかなかの頼近美津子さんが企画した、なかば趣味的なドキュメンタリー番組「五嶋龍のオデッセイ」が、第10回目をもって最終回を迎えた。「モンスター」とレナード・バーンスタインを驚嘆させた姉のヴァイオリニスト、五嶋みどりさんの幼少の頃の記録がなかったということから、母である五嶋節さんの協力をえて、1996年8月にはじまったこの番組。毎年夏休みの放映され、素直ですくすくと育つ男の子の成長の記録ドキュメンタリーを、毎年楽しみにしていた方も多いことだろう。
17歳年上の姉のみどりさんと龍くんは、姉弟といってもその生い立ちは少し違う。
みどりさんは読書以外はヴァイオリン一筋で、ものごころがついた頃から厳しい母とふたりで(経済的なことでなく)ぎりぎりの生活を送っていた。母と娘がNYに渡ったときも、将来の見通しも生活の余裕はなく、ただただヴァイオリニストになるために、文字どおりヴァイオリンだけを抱えて裸一貫で移住したのだ。12歳にして、パガニーニの難曲カプリス24曲をすべて完璧に自分のものにしている天才少女が、ドロシー・デュレイ女史のバックアップで、サプライズとしてデビューして大成功したのは、彼女の才能をもってして当然の結果だったのかもしれない。
「オデッセイ」に登場する龍くんには、このようなドラマチックな事情はない。
生まれたときから整ったバックボーン、元ジュリアード音楽院でヴァイオリン教師をしていた素適な父と、レッスンには厳しいが少しこころに余裕がある愛情たっぷりの母、そして何よりも音楽家としての身近なモデルケースとしての姉の存在。日本で育ったみどりさん以上に、生まれたときからNY育ちの龍くんの方が、日本語が流暢だという事情も、なかなかふたりの育ちに違いを感じさせる。幼い頃から、このような愛情が用意した一流指揮者との演奏会や、オーケストラと協奏曲を演奏するステージは、素晴らしい経験とキャリアを彼にもたらした。またチョーリャン・リンなどの指導を受け、今回も17歳にしてヴィオラ奏者の今井信子さんとの室内楽、リサイタルでのピアノ伴奏者がヨーロッパで活躍する児玉桃さん、指揮者がチョン・ミュンフとの共演など、すでにプロのヴァイオリニストとして充分順調な滑り出しともいえよう。
それに少年時代は小柄な印象だったが、今は外国人と並んでも見劣りしない身長、清々しい柔和なルックスは日本の女性軍を射止めるためには、重要だ。容姿にも恵まれ、頭脳も優秀な龍くんだから、日本の音楽界ではイチおしのフレッシュマン。CDだけでないっ、写真付きのエッセイまで売っている。
JR東海のCFを見ていると、彼の人気ぶりには納得がいく。あの音楽と背景の林と同じような瑞々しい翠の風が、彼の姿からたちあがってくる。それにバッハの無伴奏をこれほど、軽やかに楽しそうに弾く音楽家はめったにいない。楽器の持ち方はよく似ているが、姉と弟では全く違う音楽性を感じる。ジュニア・フィルとの演奏会の後、大事な楽器を両親に預けて、仲間と夜の街にくりだす”普通の高校生”らしいのびやかさにも、好感がもてる。
ただ、ブラームスのソナタを聴いた印象を遠慮なく述べたいが、”神童くん”なのかもしれないが、その天賦の才能を消費することなく育て、本物の”音楽家”になるべく道を、歩んでほしいとせつに願いたい。クラシック音楽のマーケットは、実に狭い。そんななか、龍くんだけでなく多くの若い実力のある芽が育ちつつある。
男性ヴァイオリニストは、老けるのが早い。20歳過ぎたら、何故かおじさん化が一気にすすむ。このような売りだし方をされるのなら、いつまでも若さを保つ覚悟はしていただきたい。
「英国の人気奏者、ナイジェル・ケネディの路線を目指す」
そう将来の抱負を語る龍くん。確かに、ナイジェル・ケネディはかっこいいぞ。
使用楽器は、永年貸与!のストラディバリウス製作「エクス・ピエール・ローデ」
今までと全然音が違っていたのは当然か・・・。
クラシック音楽好きで、ピアノの腕前もなかなかの頼近美津子さんが企画した、なかば趣味的なドキュメンタリー番組「五嶋龍のオデッセイ」が、第10回目をもって最終回を迎えた。「モンスター」とレナード・バーンスタインを驚嘆させた姉のヴァイオリニスト、五嶋みどりさんの幼少の頃の記録がなかったということから、母である五嶋節さんの協力をえて、1996年8月にはじまったこの番組。毎年夏休みの放映され、素直ですくすくと育つ男の子の成長の記録ドキュメンタリーを、毎年楽しみにしていた方も多いことだろう。
17歳年上の姉のみどりさんと龍くんは、姉弟といってもその生い立ちは少し違う。
みどりさんは読書以外はヴァイオリン一筋で、ものごころがついた頃から厳しい母とふたりで(経済的なことでなく)ぎりぎりの生活を送っていた。母と娘がNYに渡ったときも、将来の見通しも生活の余裕はなく、ただただヴァイオリニストになるために、文字どおりヴァイオリンだけを抱えて裸一貫で移住したのだ。12歳にして、パガニーニの難曲カプリス24曲をすべて完璧に自分のものにしている天才少女が、ドロシー・デュレイ女史のバックアップで、サプライズとしてデビューして大成功したのは、彼女の才能をもってして当然の結果だったのかもしれない。
「オデッセイ」に登場する龍くんには、このようなドラマチックな事情はない。
生まれたときから整ったバックボーン、元ジュリアード音楽院でヴァイオリン教師をしていた素適な父と、レッスンには厳しいが少しこころに余裕がある愛情たっぷりの母、そして何よりも音楽家としての身近なモデルケースとしての姉の存在。日本で育ったみどりさん以上に、生まれたときからNY育ちの龍くんの方が、日本語が流暢だという事情も、なかなかふたりの育ちに違いを感じさせる。幼い頃から、このような愛情が用意した一流指揮者との演奏会や、オーケストラと協奏曲を演奏するステージは、素晴らしい経験とキャリアを彼にもたらした。またチョーリャン・リンなどの指導を受け、今回も17歳にしてヴィオラ奏者の今井信子さんとの室内楽、リサイタルでのピアノ伴奏者がヨーロッパで活躍する児玉桃さん、指揮者がチョン・ミュンフとの共演など、すでにプロのヴァイオリニストとして充分順調な滑り出しともいえよう。
それに少年時代は小柄な印象だったが、今は外国人と並んでも見劣りしない身長、清々しい柔和なルックスは日本の女性軍を射止めるためには、重要だ。容姿にも恵まれ、頭脳も優秀な龍くんだから、日本の音楽界ではイチおしのフレッシュマン。CDだけでないっ、写真付きのエッセイまで売っている。
JR東海のCFを見ていると、彼の人気ぶりには納得がいく。あの音楽と背景の林と同じような瑞々しい翠の風が、彼の姿からたちあがってくる。それにバッハの無伴奏をこれほど、軽やかに楽しそうに弾く音楽家はめったにいない。楽器の持ち方はよく似ているが、姉と弟では全く違う音楽性を感じる。ジュニア・フィルとの演奏会の後、大事な楽器を両親に預けて、仲間と夜の街にくりだす”普通の高校生”らしいのびやかさにも、好感がもてる。
ただ、ブラームスのソナタを聴いた印象を遠慮なく述べたいが、”神童くん”なのかもしれないが、その天賦の才能を消費することなく育て、本物の”音楽家”になるべく道を、歩んでほしいとせつに願いたい。クラシック音楽のマーケットは、実に狭い。そんななか、龍くんだけでなく多くの若い実力のある芽が育ちつつある。
男性ヴァイオリニストは、老けるのが早い。20歳過ぎたら、何故かおじさん化が一気にすすむ。このような売りだし方をされるのなら、いつまでも若さを保つ覚悟はしていただきたい。
「英国の人気奏者、ナイジェル・ケネディの路線を目指す」
そう将来の抱負を語る龍くん。確かに、ナイジェル・ケネディはかっこいいぞ。
使用楽器は、永年貸与!のストラディバリウス製作「エクス・ピエール・ローデ」
今までと全然音が違っていたのは当然か・・・。
TBありがとうございます。
クラッシックと株の話題を同時にしてるブログが他にもあるとは(笑)
僕も北斗ファンド注目です!
北斗の拳世代ですから!
っていうか、この記事にするコメントじゃないですよね。
そうそう、龍くん!
ケネディ路線はうってつけですよね。
ハチャトゥリアンの協奏曲なんか
ロック風に弾いてヒットを飛ばしそう。
これは、と思うヴァイオリニストを発掘するのも楽しみです。
株と一緒で成長が楽しみ?
北斗ファンドは、まさあきさま的にはbuyですか。
連日の大商いで株価も少々高騰気味の過熱感があると私は見ております。小判ざめのように、ノッテみるのもよしですが、タイミング遅しで、ちょっと後悔してます。
>ケネディ路線
皮のパンツなんかはいて、颯爽と弾いて欲しいです。
10代~30代までは自由なスタイルで飛ばして、40過ぎたらクラシックの基本にかえって欲しいなどと勝手な希望をいってます。
ただ龍くん自身も充分に自覚しておりますが、「エクス・ピエール・ローデ」を使用する大きな義務と責任をまっとうしていただきたいですね。