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共通世界語エスペランテート・総目次

2019-08-31 | 〆共通世界語エスペランテート

本連載は終了致しました。下記目次各「ページ」(リンク)より全記事をご覧いただけます。


序文 ページ1

第1部 エスペランテート総論

(1)世界語の意義① ページ2
(2)世界語の意義② ページ3
(3)世界語の条件 ページ4
(4)言語学的中立性 ページ5
(5)習得容易性 ページ6
(6)自然言語近似性 ページ7
(7)ジェンダー中立性等 ページ8
(8)エスペラント語の検証① ページ9
(9)エスペラント語の検証② ページ10
(10)エスペラント語の検証③ ページ11
(11)エスペラント語の検証④ ページ12
(12)エスペランテートの創出 ページ13
(13)エスペランテートの創出 ページ14

第2部 エスペランテート各論
(1)文字体系 ページ15
(2)発音法則 ページ16
(3)基本品詞① ページ17
    Ⅰ普通名詞 Ⅱ固有名詞 Ⅲ冠詞
   基本品詞② ページ18
    Ⅳ人称代名詞
   基本品詞③ ページ19
    Ⅴ動詞
   基本品詞④ ページ20
    Ⅵ形容詞・副詞
   基本品詞⑤ ページ21
    Ⅶ前置詞・相関詞
   基本品詞⑥ ページ22
    Ⅷ動詞の分詞
(4)接辞 ページ23
(5)種々の構文① ページ24
    Ⅰ 語順 Ⅱ疑問文
   種々の構文② ページ25
    Ⅲ 連辞文
   種々の構文③ ページ26
    Ⅳ 話法 
   種々の構文④ ページ27
    Ⅴ 関係構文 
   種々の構文⑤ ページ28
    Ⅵ 命令法と仮定法

第3部 エスペラントとエスペランテート
(1)名詞 ページ29
(2)冠詞
(3)形容詞
(4)数詞
(5)人称代名詞 ページ30
(6)動詞
(7)副詞
(8)前置詞
(9)発音 ページ31
(10)アクセント
(11)合成語
(12)否定詞の用法
(13)方向をあらわす語
(14)前置詞の用法
(15)外来語のつづり
(16)省略語

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共通世界語エスペランテート(連載最終回)

2019-08-31 | 〆共通世界語エスペランテート

第3部 エスペラントとエスペランテート

(9)発音

 すべての単語は、かかれたとおりによまれる。

 ⇒基本的に同様である。

(10)アクセント

 アクセントは、つねに最後から二番目の音節(最後から二番目の母音箇所)にある。

 ⇒基本的に同様であるが、二重母音は一個の母音とみなされる。

(11)合成語

 単純に単語をくみあわせることでつくられる(主たる単語は後置される)。その際、文法上の語尾は独立の語とみなされる。たとえば、蒸気船:vaporsipoは蒸気:vapor+船:sipoで合成されるが、全体で一語である。

 ⇒基本的に同様である。ただし、上記単語では、つづりはbwaporsipoに変形される(エスペラント語のvはbwに置換されるため)。

(12)否定詞の用法

 否定詞neは、他の否定語の前後では脱落する(二重否定文の禁止)。

 ⇒二重否定文も文章体の修辞上みとめられるが、口語体では使用が推奨されない。

(13)方向をあらわす語

 方向をあらわす語は、対格をとる。たとえば、Kien vi iras ?(あなたはどこへいくのですか)のこたえとして、Domon.(うち〔へ〕です)のように。

 ⇒名詞も疑問詞も格変化しないので、このような法則も存在しない。上例なら、Kie bo iri ?に対して、方向をしめす前置詞arをもちいてAr domo.と応答すればよい。

(14)前置詞の用法

 前置詞はいずれもさだめられた一定の意味をもつが、なんらかの前置詞が必要で、しかもどの前置詞もその意味をあらわすのに適当でないばあいには、特定の意味をもたない前置詞jeがもちいられる。前置詞jeをもちいるかわりに前置詞をともなわない対格をもちいることもできる。

 ⇒基本的に同様だが、jeのつづりは、yeに置換される(発音は同様)。ただし、名詞は格変化しないので、前置詞yeを対格でおきかえることはできない。

(15)外来語のつづり

 外来語の大部分は、エスペラント語においてもその正書法にしたがう以外は変形することなくもちいられる。ただし、一個の語根からいくつかの単語がつくられるばあいは、基本語のみが変形せずにもちいられ、それ以外はエスペラント語の規則にしたがってそこから派生される。たとえば、日本語の地名・名古屋は、名詞としてもちいられるばあい、名詞語尾-oを付加され、Nagojoと変形される。

 ⇒外来語はその語をもつ言語のアルファベット正書法にしたがい、エスペランテート特有の派生もしない。したがって、名古屋はNAGOYAと表記される(このばあい、固有名詞であるから、全大文字表記)。ただし、アルファベット正書法がない言語のばあいは、エスペランテート固有の新語を造語する。

(16)省略形

 名詞および冠詞の最後の母音を脱落させ、アポストロフィーで代用することができる。

 ⇒このような代用的省略形は存在しない。

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共通世界語エスペランテート(連載第30回)

2019-08-30 | 〆共通世界語エスペランテート

第3部 エスペラントとエスペランテート

(5)人称代名詞

 人称代名詞はmi(わたし)/ni(わたしたち)、 vi(あなた/あなたたち) 、li(かれ)・ŝi(彼女)・ĝi(それ) /ili (かれら/それら)、si(~自身;性・数共通)、oni(ひとびと)である。

 所有代名詞は、形容詞語尾-aを付することでつくられる。語形変化は、名詞のばあいと同様である。

 ⇒人称代名詞単数形はmo(わたし)、bo (あなた)、jo(かれ・彼女・それ)の三種のみで、複数形は単数形に複数形語尾‐yを付し、moy(わたしたち)、boy(あなたたち)、joy(かれら・彼女ら・それら)とすることでつくられる。

 所有代名詞は、格による語形変化をしない。

(6)動詞

 動詞は人称および数については不変である。
  
 動詞の活用形として、現在時制では語尾 -as、過去時制では語尾 -is、未来時制では語尾 -os を、条件法では語尾 -us、命令法では語尾 -u、不定法では語尾 -i をとる。

 分詞は、能動現在分詞 -ant、能動過去分詞 -int、能動未来分詞 -ont、受動現在分詞 -at、受動過去分詞 -it、受動未来分詞 -otである。

 受動態は、いずれも助動詞estiの対応する語形と対象となる本動詞の受動分詞のくみあわせによって表現される。受動態の前置詞(~によって)にはdeをもちいる。

 ⇒動詞は人称および数のみならず、時制についても不変であり、原形と活用形の区別はない。ただし、ときをあらわす副詞または副詞句をそえない文では、動詞の定形に過去接尾辞-is、未来接尾辞-osを付して時制を表現することができる。ときをあらわす副詞または副詞句をそえずに動詞定形を単独でもちいるばあいは、現在の時制をしめす。

 条件法や命令法による活用変化もない。

 分詞は、能動分詞継続形-ante、同完了形-inte、同未然形-onte、受動分詞継続形-ata、同完了形-ita、同未然形-otaである。分詞の実質的な用法はエスペラントと同様であるが、名称がことなる。

 受動態の助動詞に転用されるestiが時制変化しないことは、一般動詞のばあいと同様である。

(7)副詞

 副詞はeでおわる。比較級および最上級は、形容詞と同様である。

 ⇒比較級および最上級でもちいられるbrin、brey、zanなど単語の相違は形容詞のばあいに準ずる。

(8)前置詞

 前置詞はいずれも主格を要求する。

 ⇒そもそも名詞は格変化しないため、法則としての意味はない。

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共通世界語エスペランテート(連載第29回)

2019-08-29 | 〆共通世界語エスペランテート

第3部 エスペラントとエスペランテート

 第2部では、筆者の創案にかかるエスペランテートの基本的なしくみについて、必要に応じて祖語エスペラント語と対照しながら説明してきたが、最後にあらためてエスペラント語との文法上の異同を総覧的にまとめておく。
 以前にものべたとおり、エスペラント語には変更不可とされる16箇条の基本文法則があるところ、エスペランテートはこれらに変更をくわえているため、別言語とみなされるのであった。そこで、以下では第2部の記述との重複をいとわず、16箇条がどのように変更されているか、対照しつつみていきたい。
 各項目において、青字でしめされた法則がエスペラント16箇条の概要(一部要約)であり、⇒記号とともに赤字で付記された記述はエスペランテートにおける異同点である。

(1)冠詞

 不定冠詞は存在しない。いずれの性、格および数にも不変の定冠詞(la)があるのみである。

 ⇒冠詞は、不定冠詞・定冠詞ともに存在しない。

(2)名詞

 名詞は語尾-oをもつ。複数形をつくるには語尾-jをくわえる。格は主格と対格の二つのみである。対格は主格に語尾-nを付加してつくられる。その他の格は前置詞のたすけをかりて表現する。

 ⇒名詞は格変化をせず、したがって対格語尾も存在しない。主格および対格以外の格は、前置詞のたすけによる。結果的に、格を重視する必要はない。

(3)形容詞

 形容詞は-aでおわる。格および数については名詞のばあいと同様である。比較級はpli、最上級はplejでそれぞれあらわされ、比較級では接続詞olがもちいられる。

 ⇒形容詞は、格および数による語尾変化をしない。比較級、最上級はそれぞれbrin 、brejであらわされる(lがrに置換)。比較級の接続詞(・・・よりも)は、エスペランテート独自のzanがもちいられる。

(4)数詞

 基数詞(語形変化なし)は以下のとおりである。

 unu(一)du(二)tri(三)kvar(四)kvin(五)ses(六)sep(七)ok(八)naŭ(九)dek(十)
 cent(百)mil(千)

 十および百のくらいは単純に数詞をくみあわせてつくられる。

 序数詞をつくるには形容詞語尾-aをつける。倍数(二倍、三倍…)は接尾辞oblで、分数(二分の一、三分の一…)は接尾辞on、集合数(二人ぐみ/二個セット…)は接辞op、分配(二人ずつ/二個ずつ…)はpoという単語であらわされる。また、数詞を名詞として、または副詞としてもちいることも可能である。

 ⇒基数詞は、四以下がつぎのようにことなる(いずれも語尾が母音でおわり、vはbwに、lはrに、ŭはuに置換される)。

 kbwar(四)kbwin(五)sesu(六)sepu(七)oku(八)nau(九)deku(十)
 centu(百)miru(千)

 倍数接尾辞はobro、集合接尾辞はopu、分配数接辞はhwoである

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共通世界語エスペランテート(連載第28回)

2019-08-24 | 〆共通世界語エスペランテート

五 種々の構文

Ⅵ 命令法と仮定法

 三でものべたとおり、エスペランテート語の動詞は活用変化せず、祖語のエスペラント語にみられる命令形や仮定形の活用変化もない。

 命令法は、主語をはぶいた動詞文に感嘆符!を付すか、丁寧に命令するときは、文頭にBonborre(・・・してください)をおく。

 例;Ne diri !(いうな。) あるいはBonbwore ne diri ! (いわないでください。)となる。

 仮定法は、条件節を接続詞se(もし・・・ならば)でみちびき、動詞は主節・条件節とも活用変化しない。

 そうなると、たとえば、Se mo esti bo, mo ne diri.という文は、「もし、わたしがあなたならば、いわないだろう/いわなかっただろう」のいずれなのか、文面だけでは区別がつかない。
 
こうしたばあい、特に「いわなかっただろう」という過去の非現実仮定を表現したいときは、いわない決断をしたであろうときをしめす副詞または副詞句をそえるか、主節動詞diriに過去をしめす接尾辞-isを付することで実質的に表現できる。

 最後に、命令法と仮定法がくみあわさった応用文を一つ。Se bo bwori mardikiji, ekzercadi !(もしやせたければ、運動しなさい。)

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共通世界語エスペランテート(連載第27回)

2019-08-23 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論 

(5)種々の構文④

Ⅴ 関係構文

 エスペランテートに関係詞は存在しない。関係節は関係記号〈 〉でかこう。音声にたよる口語では、関係記号を音声化することができないため、先行詞と関係節の直前(下例ではbungoyとmoのあいだ)で一拍あける音声ルールを適用する。

 祖語のエスペラント語のばあい、英語と同様に疑問詞を転用した関係詞が存在し、しかも関係詞は先行詞の数・格(目的格)に連動して語尾変化するという英語以上に複雑な規則がある。
 しかし、エスペランテートに関係詞は存在しないので、文意の混乱をさけるため、補助記号をもちいる必要がある。たとえば、「わたしは、きのうかったはなたばを、こいびとにおくった」というばあい、「(わたしが)きのうかった」の部分を関係記号〈 〉でかこう。

 Mo donis ar moa amato bungoy <mo acheti hierau>.

 これによって、構文上は関係詞をもたない中国語や日本語にちかづくといえるが、関係節を後置する点では相違があることが留意される。
 すなわち、<mo acheti hierau> bungoyのように、関係節を名詞(このばあいはbungoy:はなたば)のまえに配列することはできない。その点では、英文で関係詞を省略したばあいの語順に類似するといえる。

 「うちのにわにさいているバラ」のように、関係句の主語が先行詞と一致するばあいは、関係句の主語に先行詞に対応する人称代名詞(下例では、三人称単数)をおく。このばあいの人称代名詞は実質的な意味をもたない形式主語である。

 rozo <jo bungi nun en moa gardeno>

  先行詞に前置詞がともなうばあい、前置詞は関係句のうしろに移動し、後置詞に変化する。

 たとえば、上例を変更して「あなたがはなたばをおくった女性はだれですか。」という文では、本来の語順ならdonis ar tiu hwemo(あの女性におくった)となるはずの前置詞arが、つぎのように後置詞化される。

 Kiu esti tiu hwemo〈bo donis bungoy〉ar ?

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共通世界語エスペランテート(連載第26回)

2019-08-22 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論

(5)種々の構文③

Ⅳ 話法

 エスペランテートの間接話法は、時制の一致を必要としない。

 英語などの間接話法にあらわれる時制の一致法則が存在しないことは、祖語のエスペラント語と同様である。ただし、この法則の意味するところは、エスペラントとはことなっている。
 エスペラント語では、動詞の時制変化を前提に、間接話法文の主節の動詞と従属節の動詞の時制がくいちがっていてもよいことを意味する。たとえば「わたしはきのう、太郎にあすくるつもりだった。」という例文では、この日本語文と同様に、主節の動詞は過去形、従属節の動詞は未来形でよいわけである。
 これに対して、エスペランテートにあっては、動詞は時制変化しないのであったから、時制の一致ということがそもそも問題とならず、動詞の形態は主節、従属節ともに一貫する。上例では、つぎのようになる。

 Mo diri ar TAROU hierau, ke mo bweni morgau.

 ただし、hierau(きのう)やmorgau(あす)のようなときをあらわす副詞をそえずに時制を表現するばあいは、動詞に時制接尾辞がつく結果として、つぎのように一種の時制の不一致がおこる。

 Mo diris ar TAROU , ke mo bwenos .

 ちなみに、上例を変更して、「太郎はきのう、あすわたしがくるつもりかとたずねた。」という疑問文を内包する間接話法では、疑問をあらわす従属節を「~かどうか」を意味する接続詞chuでみちびく。時制の一致が問題とならないことは同様である。 

 TAROU demandi mo hierau, chu mo bweni morgau.

 直接話法は、従属節を引用符で囲んだ会話文のかたちであらわす。

 前出二つの例文を直接話法でかきかえてみると、つぎのようになる。

 Mo diri ar TAROU hierau,“mo bweni morgau.”

 TAROU demandi mo hierau,“chu bo bweni morgau ?”

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共通世界語エスペランテート(連載第25回)

2019-08-15 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論

(5)種々の構文②

Ⅲ 連辞文

 「AはBである。」をあらわす連辞文では、連辞として動詞estiをもちいることを原則とするが、口語体では連辞を省略することができる。

 「・・・である」をあらわすエスペランテートの連辞は英語のbe動詞に相当するestiであるが、口語体ではこれを省略することができる。たとえば「わたしのなまえは、太郎です。」は文章体ではMoa nomo esti TAROU.となるが、口語体ではMia nomo TAROU.でよい。
 なお、「わたしの」という人称代名詞の所有格は、名詞のあとに後置することも可能であったから、Nomo moa TAROU.といういいかたもできる。ただし、推奨されるいいかたではない。

 連辞文の述部の補語が形容詞であるばあいは、口語体でも連辞を省略することはできない。

 たとえば、TAROU esti yuna.(太郎はわかい。)を、TAROU yuna.と表現することはできない。エスペランテートでは形容詞を修飾される名詞に後置する用法もゆるされることから、連辞を省略すると、「わかい太郎」という形容詞つきの名詞句との混同が生じるおそれがあるためである。

 動詞は連辞でつなげることにより名詞的に(××すること)もちいることができる。このばあいは、口語体でも連辞を省略することはできない。

 たとえば、Bidi esti kredi.(みることは信ずることである;百聞は一見にしかず)のようなばあいに、estiを省略してBidi kredi.ということはできない。このばあいは、二つの動詞相互の関係性を連辞で明瞭にいいあらわす必要があるからである。

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共通世界語エスペランテート(連載第24回)

2019-08-15 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論

(5)種々の構文①

Ⅰ 語順

 エスペランテートには、語順(文成分の配列)のきまりはなく、SVO、SOV、VSO、VOS、OVS、OSVのいずれも文法的になりたつ。ただし、文章体における推奨語順はSVOである。

 口語体においては、上記諸文型はすべて等価的であり、意味・ニュアンスの相違もなく、各自が母語とする民族語の基本語順によって語順を選択することができる。したがって、下記の各文はすべて等価的に「花子は茶がすきだ。」を意味する。

 HANAKO ami teo. :SVO

  HANAKO teo ami. :SOV

  Ami HANAKO teo. :VSO

  Ami teo HANAKO. :VOS

  Teo ami HANAKO. :OVS

  Teo HANAKO ami. :OSV

Ⅱ 疑問文

 エスペランテートでは、疑問文の語順も平叙文とかわらないが、諾否疑問文では文頭に疑問詞chuをおく。

 もっとも簡単な諾否疑問文は、たとえば、つぎのようになる(SVO型を選択)。なお、会話では、英語等と同様、諾否疑問文の文末は上昇調で発音する。

 Chu HANAKO ami teo ?(花子は茶がすきか。)

 ちなみに、これを理由をたずねる疑問詞疑問文に変更すると、つぎのようになる。なお、会話では、疑問視疑問文の文末は下降調で発音する。

 Kiar HANAKO ami teo ?(なぜ花子は茶がすきなのか。)

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共通世界語エスペランテート(連載第23回)

2019-08-10 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論

(4)接辞

 エスペランテートは、接辞体系がきわめて発達していることが特徴である。そのため、基礎的な語基に接辞を付加してさまざまな品詞を派生させることができ、習得すべき実質的な単語数をへらして学習を容易にする効果がある。この特徴も、祖語エスペラント語からの継承である。

 ただし、第1部でも言及したように、共通世界語としての意義をもつエスペランテートは、現代的な表現規準にしたがい、反差別の価値観をふかく内蔵させたものでなくてはならず、そうした観点から、上記接辞の運用に関して、いくつかの制限がかかる。
 なかでも、女性形の接尾辞-inoと反意の接頭辞mal-(l音のないエスペランテートではmar-と表記)はエスペラント語の代表的な接辞であるが、これらはエスペランテートでは排除ないし制限される。

 男性形から女性形を派生させる接尾辞-inoは、エスペランテートに存在せず、女性形には固有の単語をもちいる。

 たとえば、womo(男性)に対し、hwemo(女性)をもちいる。またpatro(ちち)に対し、matro(はは)をもちいる。

 反意の接頭辞mar-は差別的ニュアンスをおびるばあいにはもちいず、固有の単語をもちいる。

 たとえば、sano(健康)に対しmarsano(病気)とするのは、健康を基準として病気=不健康という差別的ニュアンスをおびるので、病気には固有の単語iroをもちいる。ただし、病気ではないが「不健康」という微妙な状態をしめす語として、marsanoをもちいることはみとめられる。
 また、yunuro(若年)に対しmaryunuro(老人)とするのは、若年を基準として老人=非若年という差別的ニュアンスをおびるので、老人には固有の単語erduroをもちいる。

 一方、bwarmo(あつさ)に対しmarbwarmo(さむさ)や、hwermi(とじる)に対しmarhwermi(ひらく)などは、機能的な反意をしめしているだけで、特段差別的ニュアンスをおびないので、みとめられる。
 やや微妙なのは、ronga(ながい)に対しmaronga(みじかい)のような例である。これもながいことを基準にしてみじかいことを「ながくない」と表現する点に差別的ニュアンスをかぎとることはできるが、みかたによっては端的に「みじかい」と表現するより婉曲的ともいえるので、これもみとめられてよいだろう。

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共通世界語エスペランテート(連載第22回)

2019-08-09 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論

(3)基本品詞⑥ 

Ⅷ 動詞の分詞形

 エスペランテートの動詞の分詞形は態を基準とした能動分詞と受動分詞にわかれ、それぞれに継続形・完了形・未然形の活用変化がある。すなわち能動分詞は-ante、‐inte、‐onte、受動分詞は‐ata、‐ita、‐otaである。

 エスペランテートの動詞は分詞を派生するが、英語のような現在分詞・過去分詞といった時制を基準とした分詞ではなく、能動・受動という態を基準としつつ、時制変化にちかい活用変化をする。これは時制変化しない本来の動詞とことなり、分詞は主語の状態をあらわすのにもちいられるため、補足的にときを表現できることが要請されるからである。

 分詞は動詞の派生形であるから、動詞の定形語尾-iを除去して、上記の分詞形をつくる。たとえば、trinki(のむ)の能動分詞完了形はtrinkinte、kobri(おおう)の受動分詞継続形はkobrrataのようにである。

 能動分詞は副詞的にもちいられ、Trinkinte akbo, tiu kato hworkuris.(みずをみおえると、そのねこはたちさった。)のように分詞構文の従属節をみちびく。
 
 受動分詞は英語のbe動詞に相当する動詞estiとくみあわせて、Strato esti kobrata de nejo.(道路がゆきでおおわれつつある。)のように受動態をつくる。

 受動分詞の語尾は形容詞語尾と同等であるため、konstruota domo(建設前のいえ)のように形容詞的にもちいることもできる。

 完了形は、存在しない。

 簡素簡明をむねとするエスペランテートでは、複雑な完了形をもちいるかわりに、時間的な相をあらわす副詞ないし副詞句で実質的に完了を表現すればたりる。jam(すでに)が代表的な完了の副詞である

 Mo yam rerni ESPERANTETO.(わたしは、すでにエスぺランテートを学習した。)

⇔ Mo nun rerrni ESPERANTETO.(わたしは、いまエスペランテートを学習する。)

 進行形は、esti+分詞継続形であらわされる。

 エスペラント語には進行形が存在せず、文脈解釈によるが、単純な時制と時間の進行中をあらわす進行形は区別したほうが便利であるので、エスペランテート語では固有の進行形をつくる。
 たとえば、上例を進行形に転換するなら、Mo nun esti rernante ESPERANTETO.(わたしは、いまエスペランテートを学習中である。)となる。
 なお、現在進行形と過去/未来進行形の区別は、時間の副詞(句)をもちいるか、もちいないばあいは、estiに時制接辞-is/-osを付してあらわす。

 Mo hierau esti
rernante ESPERANTETO.(わたしは、きのうエスペラント語を学習していた。)

 Mo estis rernante ESPERANTETO.(わたしは、エスペランテート語を学習していた。)

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共通世界語エスペランテート(連載第21回)

2019-08-08 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論

(3)基本品詞⑤

Ⅶ 前置詞・相関詞

 エスペランテートは、おおくの前置詞をそなえた前置詞型言語である。

 この点では日本語のように名詞のあとに付加する助詞で単語をつなぐ後置詞型言語とはおおきくことなり、祖語であるエスペラント語の性質を継承している。
 代表的な前置詞として、ar(~に/へ)、de(~の、~から)、er(~なかから)、sur(~のうえに)、sub(~のしたに)などがある。

 一般に前置詞は種類がおおく、意味も多義的であるため、学習者はしばしばその選択にまようが、エスペランテートには特定の意味をもたない融通前置詞jeがあり、便利である。たとえば、Tiu chi romano meriti ye bremio.(この小説は賞にあたいする。)のようにもちいられる。これも、祖語エスペラント語からの継承である。

 ちなみに、エスペラント語では名詞の目的格-nを転用して、「・・・へ」という方向をあらわしたり、上記の融通前置詞jeに代替させたりする後置詞的用法もある。これはこれで便利な用法ではあるが、エスペランテートの名詞は一切の格変化をしないのであったから、このような便法も存在しない。

 エスペランテートには、相関詞とよばれる一群の品詞がある。

 相関詞とは指示(この:ti-/あの:di-)、疑問(なに:ki-)、不定(ある:i-)、普遍(すべての:chi-)、否定(なにも~ない:neni-)をあらわす限定詞の総称であり、遠称指示詞diをのぞけば、これらも基本的にエスペラント語からの継承である。
 相関詞は実質的には指示詞、疑問詞、不特定詞、普遍詞、否定詞として独立の意義をになうが、上掲の共通語幹を基本に統一的な語形変化をするため、文法上はひとくくりにされる。
 相関詞の語形変化の法則は、指示詞ti-で代表させれば、tio(そのもの/こと)、tiu(そのひと)、tia(そのような)、ties(そのひとの)、 tie(そこに)、 tier(そのように)、tiar(それだから)、 tiam(そのとき)、 tiom(それほど)のように展開される。

 なお、エスペランテート語には冠詞が存在しないため、指示相関詞tiu(その)/diu(あの)や近称詞chiをくみあわせたtiu chi(この)といった指示表現で定冠詞の機能を代替させることができる。

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共通世界語エスペランテート(連載第20回)

2019-08-02 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論

(3)基本品詞④

Ⅵ 形容詞・副詞

 形容詞は、語根に‐aを付加してえられる。修飾される名詞の単複や格にかかわらず、一定である。

 形容詞の品詞語尾は、‐aである。品詞語尾‐oをとる名詞とくみあわせると、たとえばbona orano(よいひと)となる。
 この点、祖語のエスペラント語では修飾される名詞が語尾‐jを取る複数形のときは、形容詞も連動して複数形語尾‐yをとるという規則があるが、エスペランテートではこの規則を廃し、形容詞は名詞の単複に連動せず、一定である。したがって、たとえば上例ではbona oranoy(よい人たち)でよい。
 ちなみに、エスペラント語では形容詞が述語としてもちいられるばあいにも、主語が複数形なら形容詞も複数形となるが、エスペランテートではこの規則も廃される。したがって、たとえば「あなたたちは、よいひとたちである。」は、Boy esti bona oranoy.でよい。
 また、エスペラント語では修飾される名詞が目的格のときは、形容詞も連動して目的格語尾‐nをとるが、エスペランテートではそもそも名詞が格変化しないので、この規則も存在しない。

 副詞には、本来副詞と派生副詞とがあり、派生副詞の品詞語尾は‐eである。

 本来副詞とは他の品詞から派生したのでない本来的な副詞のことで、hierau(きのう)、hodiau(きょう)、morgau(あす)など、ときをあらわす副詞に比較的おおくみられる。
 これに対し、派生副詞とは他の品詞から派生した副詞で、たとえば形容詞bonaからbone(よく)が派生する。さらに、orane(ひとに)のように名詞から副詞を派生させる便利な用法もある。これらの規則は祖語のエスペラント語をひきついでいる。

 形容詞・副詞ともに、比較級はbrinを前置することで、最上級はbreyを前置することでつくられる。なお、比較級において「・・・よりも」という比較をしめす接続詞はzanである。

 エスペランテートでは、比較級・最上級特有の語尾というものは存在せず、すべて前置詞で表現される。たとえば、brin bona/e(もっとよい/よく)、 brey bona/e(もっともよい/よく)のようにである。

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共通世界語エスペランテート(連載第19回)

2019-08-01 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論

(3)基本品詞③

Ⅴ 動詞

 動詞は人称、数、法による変化を一切しない。

 エスペランテートの祖語であるエスペラント語も人称、数による変化をしないが、命令法、条件法による活用変化がある。しかし、エスペランテートでは、それらの法による活用変化もない。
 命令法は、英語と同様、Doni ar mo akbo.(わたしにみずをくれ。)のように、主語を省略した動詞文でしめすことができる。
 条件法は、Se mo nun habi mono, mo tuy acheti domo.(もし、いまわたしにかねがあれば、すぐにいえをかうだろう。)のように、条件(もし)をしめす接続詞seで従属節をみちびくだけである。

 動詞は時制による変化をせず、原形(不定形)と活用形の区別もない。

 そうなると、たとえば、Mo iri ar kineyo.と表記しただけでは、「わたしは映画館にいく/いった/いくだろう。」のいずれなのか判別できない。そこで時制を表現するにはhodiau(きょう)、hierau(きのう)、morgau(あす)などのときをあらわす副詞(または副詞句)をそえなければならない。
  このことは一見不便にもおもえるが、実際のところ、ときの表現には微妙なはばがあって、現在・過去・未来といった画一的な時制によって表現しきれるものではなく、副詞や副詞句のたすけを一切かりずに表現することのほうが不自然であるので、動詞の活用変化が存在しないことは決して不都合ではない。代表的な自然言語でも中国語やマレー語の動詞は時制変化しないが、これら言語の話者間で不都合は生じていないのである。

 ときをしめす副詞ないし副詞句をともなわない文中の動詞は原則として現在をしめすが、過去接尾辞-is、未来接尾辞-osにより、過去や未来をしめすことができる。なお、これら時制接尾辞つきの動詞は、アクセントの位置が接尾辞直前の母音に移動する。

 エスペランテートではときをしめす副詞ないし副詞句をそえることが構文上のぞましいが、あえてそえずに過去や未来をしめすには、動詞の語尾に時制接辞を付加する。たとえば、上記例文では、Mo iris ar kineyo.(わたしは映画館にいっ。)/Mo iros ar kineyo.(わたしは映画館にいくだろう。)のようにである。
 これは動詞の時制的不変化法則の例外ともいえるが、時制接辞は動詞の活用語尾というよりも、副詞や副詞句の代用として時制をしめす助動詞にちかい機能をもつといえる。

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共通世界語エスペランテート(連載第18回)

2019-07-25 | 〆共通世界語エスペランテート

(3)基本品詞②

Ⅳ 人称代名詞

 人称代名詞の一人称はmo(単数)/moy(複数)、二人称はbo(単数)/boy(複数)、三人称はjo(単数)/joy(複数)である。

 最大の特徴として、エスペランテートでは三人称単数がジェンダー中立的にjo一語に包括されることがある。つまり、英語やエスペラント語にもみられるという男性・女性・中性のジェンダー分岐が存在しない。したがって、人称代名詞のみでは、主語の性別は判明しない。
 たとえば、Jo barori ESPERANTETO.(joは、エスぺランテートをはなす。)では、主語joが男性か女性か、あるいは性別をもたないロボットなのか、これだけでは不明であるが、たいていは前後の文脈上判別できるだろう。
 しかし、当該の文脈上性別の明示が必要なばあいは、それとわかるよう実質的に表現する。たとえば、Jo esti matro.(彼女は、ははおやである。)のようにである。このばあい、述語の「ははおや」は女性にきまっているから、主語joも女性と判別されるのである。

 人称代名詞の複数形は、単数形に複数形語尾‐yを付加してえられる。

 エスペラント語の二人称は英語と同様、単複同形であるが、二人称においても「あなた」と「あなたたち」の区別は語彙上明瞭であるほうがわかりやすいので、エスペランテートでは語彙上区別されるのである。

 人称代名詞の所有格は、上記人称代名詞の末尾に品詞語尾‐aを付加するが、人称代名詞を後置する用法もみとめられる。

 所有性を強調したいときは前置することがのぞましいだろう。たとえば「わたしのいえ」というとき、「わたしの」という所有を明示したければmoa domoと前置するが、とくに強調しないならばdomo moaと後置してもよい。

 所有代名詞は人称代名詞の末尾に名詞語尾-oを付加してえられる。なお、発音は「モー」と長音化せず、「モ・オ」のように、明瞭にくぎって発音する。

 例;Boa domo esti simira arn moo.(あなたのいえは、わたしのものとにている。)

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