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年頭雑感1991

1991-01-01 | 年頭雑感

昨年は、20世紀最後の90年代の最初の年であった。まさに世紀末の始まりである。世紀末には変事の多い印象が強いが、今度の世紀末にはどんな出来事が待ち受けているのだろうか。

一昨年に始まる東欧の激動は昨年も継続し、年越しとなるようである。その行方はいまだ見定められないが、共産主義体制というものが壊れゆくことは間違いないようだ。このまま進めば、共産主義総本山・ソ連のゴルバチョフ改革にも少なからぬ影響が及ぶだろう。

ソ連が脱共産主義宣言―。もし、今年そんなことがあれば世界は激変するだろう。何しろ、戦後世界はここまで、資本主義と共産主義のそれぞれ超大国・米ソの手のひらで踊りを踊ってきたようなものだからだ。

日本の自由民主党と日本社会党の対抗関係も、そうした国際関係上の対立関係の移し替えである。その点、昨年の総選挙で社会党が躍進したことは(地方でも沖縄県で社会党系の革新県政が誕生した)、世界の状況と一見逆向きのようで、興味深い。

日本社会党は労組に支持基盤を置きつつ、元来、議会制を通じた社会主義への道を主唱してきたが、労組出身でなく、かつ初の女性党首である土井委員長の下で護憲平和路線に主張を薄めて党勢を回復したと言える。社会主義を棚上げしつつ、女性が進出する新路線が90年代にどう展開するのかは、注目点である。

総じて、90年代は皆が資本主義に流れる時代になるかもしれないが、自分自身としては、あえて流れに逆らってみたいとも思う。強い主義を持ち合わせているわけではないが、資本主義の道を邁進し、軍国戦士に代わって企業戦士が闊歩する現代日本にも本能的な違和感を覚える。

流れに逆らうことは勇気と犠牲を伴うだろうが、流れに乗ることでは得られない何かがあるかもしれない。自分にとっての90年代はそうした模索の時代となるという予感のする年頭である。

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