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共通世界語エスペランテート(連載第16回)

2019-07-20 | 〆共通世界語エスペランテート

第2部 エスペランテート各論

(2)発音法則

 習得容易性という世界語の条件からすると、エスペランテートの発音法則は可能なかぎり簡単明瞭でなければならない。その点で、エスペランテートの発音法則の特徴はつぎの四点に集約される。

Ⅰ 母音はa e i o uの五つである
Ⅱ すべての単語はかかれたとおりによまれる
Ⅲ アクセントはつねに最後から二番目の音節にある
Ⅳ 声調は存在しない

 この四点はエスペランテートの祖語であるエスペラント語の発音法則と共通であるが、いくつか補足すべきことがある。

 まず一番目の五母音主義は、母音数をしぼることで、英語にみられるような区別の微妙な曖昧母音を排除する趣旨である。いずれの母音も明瞭に発音される。

 二番目の文字と発音の一致は、フランス語や英語にもみられるように、表記されているが発音されない黙字やおなじ文字が単語によりなんとおりにも発音されるといった変則が一切存在しないことを意味する。
 
 三番目の固定アクセントは、単語ごとにアクセントの位置がことなる煩雑さを排除する。たとえば、エスペランテート:ESPERANTETOのアクセントはTEのところにある。日本語でカタカナ表記するばあいは長音記号ーを付するが、発音に際しては日本語の長音ほど長く伸ばさない。あくまでもアクセントの問題である。 
 ただし、アクセントのある音節は明瞭につよく発音されるので、こころもちながめになるだろう。結果的に長音にちかくなるが、いわゆる長母音となるわけではない(長母音と短母音の区別は存在しない)。
 なお、固定アクセントのみさだめに関して、auのような二重母音は母音一個とみなされるので、たとえば、hierau(きのう)のアクセントの位置はhierauとなる。

 四番目は、中国語に代表されるような音の高低調が音節ごとにさだめられた声調言語ではないということで、結果として比較的平板な発音になるが、声調を習得する労は要しない。

 なお、子音に関しては、前回文字体系に関連してふれたように、エスペランテートにはF/fやV/vのような唇歯摩擦音、歯茎側面接近音L/lの音素が存在しないほか、P/pの音素は、その出現範囲が限定されている。


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