第2部 エスペランテート各論
(3)基本品詞①
Ⅰ 普通名詞
エスペランテートでは、名詞・動詞・形容詞・副詞という基本品詞にごとに統一された語尾(品詞語尾)がわりふられる。このような品詞語尾というしくみは、祖語であるエスペラント語からの継承である。
名詞は語幹に品詞語尾‐oを付加してえられる。名詞の複数形はoのあとに複数形語尾-yを追加してえられる。
例;orano(人)/oranoy(人々) mono(金銭)/monoy(資金)
なお、エスペラント語の名詞は唯一の格変化として目的格をもち、名詞語尾のあとに‐nを付加するが、エスペランテートの名詞は格変化しない。
例;Mo habi espero.(わたしは希望をもっている。)⇔ エスペラント語の場合:Mi habas esperon.
Ⅱ 固有名詞
固有名詞に関しては、つぎの法則にしたがう。
○固有名詞は、すべて大文字で表記する。
○固有名詞は、名詞語尾-oをともなわない。
○外来の固有名詞は、それが属する民族言語の発音に可能なかぎりちかい表記をする。ただし、ラテン文字での正式表記法があるばあいは、それにしたがう。
たとえば、日本は英語でJapan、エスペラント語でもJapanio(名詞語尾つき)と表記されるが、エスペランテートでは、NIHONまたはNIPPONと表記される。一方、ニューヨークのような固有名詞は英語の正式表記にしたがい、NEW YORKと表記される。
Ⅲ 冠詞
エスペランテートには冠詞は存在しない。ただし、普通名詞の頭文字を大文字で表記することによって定冠詞と同等の機能をはたさせることはできる。
たとえば、Jo esti Baramenteyo.(あれが、かの議事堂だ。)のようにである。しかし、おおくのばあい、tiu(その)/diu(あの)といった相関詞をつかうことでたりるだろう。