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共通世界語エスペランテート(連載第1回)

2019-05-31 | 〆共通世界語エスペランテート

序文

 筆者はおよそ一年まえ、代表的な計画言語エスペラント語をベースに、これをより簡略化された標準世界語として考案した「エスペランテート」の概要を公表した。その際、つぎのような序文でその趣意をあきらかにした。

冒頭略

・・・・・・・・・簡略化されたエスペラント語は本来のエスペラント語とは相当に異なるものとなったため、エスペラント語の名称をそのまま使用することへの疑念が生じかねない。そこで、ここに改めて「エスペランテート」なる新たな世界語の創出を宣言することにした。  
 エスペランテート=ESPERRANTETOとは、エスペラントに小さなものを意味する接尾辞-etoを付した造語であり、直訳すれば「小エスペラント語」となるが、ここでは簡略化されたエスペラント語という含意を持たせる。  
 その場合、本来のエスペラントとエスペランテートは別言語なのか、それとも後者は前者の転訛言語なのかが一つの問題となるが、両者は文字体系や重要な文法にもかなりの相違が生じるため、同語族の別言語とみなすことにした。  
 その点、後に本論で検証するように、エスペラント語には16箇条にわたる変更不能な文法鉄則が存在しているところ、エスペランテートはこの16箇条にも変更を加えていることから、本来のエスペラントとは区別したほうが妥当と考えられる。  
 そのうえで、エスペランテートを世界中で共通の公用語として普及させるべく、いささか僭越ながら「標準世界語」と冠することとした。すなわち、連載タイトルの「標準世界語エスペランテート」である。本連載は、この新言語について、母体となったエスペラントと対比しながら概説していく。

 このような趣旨は現時点でも基本的にかわらないが、「標準世界語」なる命名はまさに僭越と感じられるため、「共通世界語」にあらためることにする。そのうえで、前回連載当時にしめしたエスペランテートの体系に一部変更をくわえる必要性を認識したことから、ここにあらためて新版を公表することとした次第である。

 そのこととは別に、当連載では―当連載限定で―日本語の表記に関しても一つの実験をこころみてみたい。それは、日本語のおおきな特徴である漢字の訓読を廃止することである。周知のように、日本語の標準的な表記法は漢字に二種類の仮名文字を併用するという異例の三文字併用主義である。  
 しかし、このことが外国人はもちろん、ときとして日本人自身にとっても文章表現上の障壁となっていることにかんがみ、特に法則性をかくおくり仮名の表記が個人によってまちまちとなりやすい訓読を廃することで、日本語表記法をいささかなりとも簡明なものとするこころみである。ただし、訓読廃止ルールには、つぎの三つの例外をもうける。

例外①: 「重箱/湯桶」「大文字/小文字」のような音訓折衷よみの漢字単語では、訓読漢字を表記する(「重ばこ/ゆ桶」「おお文字/こ文字」のような漢字仮名まじり表記はしない)。

例外②: 一つ・二つ・三つ・・・・のような和数詞は、漢字+おくり仮名で表記する。

例外③: 人名・地名のような固有名詞は、その固有の表記にしたがい、訓読を維持する。

 なお、このような訓読廃止の原則にも、難点がないわけではない。すでに既述部分にもあらわれているように、たとえば「かく」は「書く」「描く」「搔く」「欠く」のいずれなのか、同音異字語の判別が文字からはできず、文脈の解釈に依存することである。このような問題の検証は、日本語表記法を主題とするわけではない当連載の論外となるため、別の機会にゆずることとしたい。


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