本のタイトルから単純に中身を想像して、読み始めると予想ははずれます。しかし、読み始めると、ぐいぐいと引き付けられます。正史にとりあげられない、そこに住んで暮らしていた人にしかわからない、満州の歴史の一齣です。
最初の「大連阿片事件」から、こんなことがあったのかと、驚かされます。拓殖局、関東庁阿片総局、民生署、そして阿片小売人、特売人がからんだ事件の真相です。阿片(ペルシャ産上質阿片)の密売による厖大な利益がどうして、どのように生み出されたのか? 当時の日本政府との関連は? 著者は複雑なその仕組をさばきながら、事件の謎を解いていきます。
標題に「ダンスホール」という語が入っているのは、満州国が出現した昭和7年頃、ここでバンド演奏つきのダンスホールが許可され、ダンスが流行したことがあったからです。「ダンスホールをめぐる医博児玉誠邸殺人事件の怪」にそのことが書かれています。
目次は次のとおり。
・「大連阿片事件」
・「阿片王・石本鏆太郎(いしもとかんたろう)」
・「男装の麗人・川上芳子をめぐるある誤解」
・「張学良の抗日決意を知った男」
・「もう一つの関東軍謀略事件」
・「ダンスホールをめぐる医博児玉誠邸殺人事件の怪」
・「碧山荘・苦力たちの夢のあと」
・「大連のパトロンとテロリスト」
・「敗戦前夜の大連」
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