こんな人が過去にいたことにまず驚かされた。
数学に異常な才能をもった明治人。その人の名前は茂木学介。渡会県(三重県)N村で生まれた。明治6年生まれ。幼少のころから、幾何や代数に異常な関心をもっていた。上の学校に進学すれば、日清戦争に召集されることを避けられる可能性もあったが、そうしなかったため召集兵となる。九死に一生をえて帰還。
ほとんど独学で数学を学ぶ。その後、日露戦争に参加。一時、山梨県で数学の教員になるも、その後、N村の村長になる。晩年はフィエルマーの定理の証明にとりくむ。
著者は、この老人が定理を解いたとの記事に出会い、当人に直接話を聞いて本書をなした。「あとがき」によると、著者の父は数学の教師だったようである。父に医師になるようにさとされ、数学へ関心をむけるように言われたのであるが反発。しかし、著者は、後になって、その父が関東大震災のおりに事件にまきこまれ、医師の道を断念したことを知り、和解する。その和解の書が、本書だということである。
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