大変な本に遭遇してしまった。
わたしは一旦読み始めた本を途中で投げ出すことはしない。わからなくとも、どんなに時間がかかっても最後まで読みとおす。そのわたしがこの本に入り込んだまではよかったのだが、難解で時間がかかり、長く抜け出せなかった。しかし、漸く完読した。
本書は、立花宗茂を、残っている文書などから推察して、その人となり、功績を描きだそうとうしているのだが、歴史家のそういう仕事にまず驚いた。古文書を読み込むことができなければならない(「立花近代実録」「立花家譜」「立花家記」「薦野家譜「立斎様御自筆御書之写」「寛政重修諸家譜」「宗茂公戦攻略記」「豊前覚書」など多数)。素人では、この理解が容易でない。字が読めなければ話にならないが、昔の人が書いた文字を読むのには、かなりトレーニングが必要なのではなかろうか。さらに、残っている文書は相当あるようだが、それらが断片であることにはかわりなく、それらから纏まった結論を出すには現実的な想像力がいると思うが、それは誰にでもそなわっているわけではない。
歴史家の仕事の成果物であるこの本は、いうまでもなく現在の人がわかるように工夫されているのだが(古文書には簡単な要約がついている)、難しかった。
と、前置きが長くなったがこの本は、わたしがいくつかの小説で読んだ立花宗茂の人物と功績をまとめたものである。その出生から死まで、文書から分かることだけが書かれている。宗茂入嗣の経緯、立花城のこと、宗麟、道雪、紹運、千代のこと、日向耳川の合戦、島津の脅威、筑後へ軍政の展開、、秀吉への援軍要請、高鳥居居城攻略の戦い、秀吉の国割、山門部拝領、柳川移封、家臣団形成、家臣への知行給付、直轄地の代官職補任、朝鮮渡海、全羅道経略、碧蹄館の戦い、関ヶ原合戦、牢浪生活、大坂の陣、秀忠の「御噺衆」、再封、「内儀」の隠居、忠成への権限移譲、天草・島原の乱、隠居「立斎」など緻密。
巻末に「戸次・立花家略系図」「吉弘・高橋・立花(三池)家略系図」「由布家略系図」「安東家略系図」「十時家略系図」「略年譜」「主要参考文献」。
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