【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

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竹村公太郎『日本史の謎は「地形」で解ける』PHP研究所、2014年

2014-04-14 22:48:00 | 歴史

              
  著者の経歴は、日本史の執筆者としては、いっぷう変わっている。土木工学関係の専門家で、建設省仕事をし、とくにダム・河川関係に詳しいようである。地形、気象にも造詣が深い、とある。歴史をその視点から分析、解明しようというわけである。いろいろな問いを掲げて、インフラの視点で論じている。


 いわく「なぜ日本は欧米諸国の植民地にならなかったか」「日本人の平均寿命をV字回復させたbのは誰か」「なぜ家康は『利根川』を東に曲げたか」「なぜ江戸は世界最大の都市になれたか」「貧しい横浜村がなぜ、近代日本の表玄関になれたか」「『弥生時代』のない北海道でいかにして稲作が可能になったか」「上野の西郷隆盛はなぜ『あの場所』に建てられたか」「信長が天下統一目前までいけた本当の理由とはなにか」「『小型化』が日本人の得意技になったのはなぜか」「日本の将棋はなぜ『持駒』を使えるようになったか」「なぜ日本の国旗は『太陽』の図柄になったか」「なぜ日本人は『もったいない』と思うか」「日本文明は生き残れるか」。番外編として「ピラミッドはなぜ建設されたか」がある。

 これらの問いに対する回答、またその回答が正当化どうかは、この本を読んで考えてもらうしかないが、随所に面白い指摘がある。
 いくつか例をひくと、日本人の平均寿命は世界でも有数であることはしられているが、平均寿命とはゼロ歳児の平均余命であるから、乳児死亡率の低下のもつ意味が大きい。日本の乳児死亡率は大正10年以降、激減した。なぜか? 水道の塩素殺気が、東京市で、この年から始まったのである。そして、その塩素殺菌はどのような契機で始まったのか。意外な事実が明らかにされている。他にも、鷹狩が好きだった家康は、それを遊興で行っていたのではなく、地形を観察することの一環でそれを行っていた。関東防衛にその知見を活用していたのである。といったように、従来の歴史の本でお目にかからなかった視点に、目からウロコがおちる。

 このような調子で、謎が解明されているので、最後まで興味がなえることなく、読み通すことができた。


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