対談形式。スポーツの「品格」と標題にあるが、要するに「フェア・プレイ」精神を貫こう、ということである。当たり前のことなのだが、スポーツ技術を高めるためと称して、「暴力」が後を絶たない。日本のスポーツ界では、何度もその体質が取沙汰されたが、最近また、高校のスポーツクラブや女子柔道で、「暴力」が明るみになった。
元読売ジャイアンツの投手、桑田さんは小中学校時代、そうした「暴力」を受けたし、またみてきたという。チームのある一人がエラーや失敗をすると、メンバー全員が「鉄拳」を受けるということもあったらしい。勝利至上主義が背景にある。
著者たちに共通しているのは、スポーツの喜びは、勝利を目指すそのプロセスにあるのであって、「暴力」によっては技術は向上しないということである。
本書の後半は、現在、東大野球部で指導している桑田さんの体験記である。「自分で試行錯誤して、考えて、発見する」ことが大事なのである。桑田さんはまた、ロシアの少年、少女にも野球を教えている。その話も面白い。この話も含めて、スポーツの価値、真髄を示す、生きたエピソードが話題になっているのも、楽しい。
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