【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

加藤大介「南の島に雪が降る」(知恵の森文庫)、2004年

2017-12-12 11:33:16 | 小説

                

 作者の加藤大介は舞台俳優。明治44年生まれ。昭和4年に二代目市川左団次のもとに入門。昭和8年に前進座に入座。18年衛生伍長として応召、21年に復員。戦後は舞台、映画、テレビで活躍しました。


 この小説は、加藤さんが戦中、パプア・ニューギニアで兵隊生活をおくっていた最中、隊のなかに芸達者なものが多くいたこと、師団の隊長に理解があったことで、「マノクワリ歌舞伎座」を立ち上げ、兵隊生活で疲弊したいた男たちを精神的に支えたという実話です。奇跡のような話ですが、本当にあったことでした。

 戦闘の話は一切でてきませんが、食糧難、病気の蔓延、戦死の報などは出てきます。

 「マノクワリ歌舞伎座」には、加藤さんはじめ、浪曲をうなるもの、三味線をひくものの他、大道具、小道具、衣装、カツラを作る人がいました。加藤さんはかれらをたばね、稽古をかさねました。舞台は隊のなかで人気を博し、ニューギニアに駐屯していた兵士たちがかわりばんに観に来ていました。入場料は、お芋だったようです。

 タイトルの「南の島に雪が降る」はこの一座が、負傷した東北出身の兵士が「雪を見たい」と死の直前にもらしたのを聞いて、その場面を彷彿させる演目を披露したことから来ています。


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