【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

日本・日本語・日本人

2010-02-18 00:09:54 | 言語/日本語
大野晋、森本哲郎、鈴木孝夫『日本・日本語・日本人』新潮社、2001年
                       
               

 大野晋さん、森本哲郎さん、鈴木孝夫さんの鼎談、都合3回、約20時間にわたり「日本人とことば」という話題で、談論風発を行った記録です(p.199)。

 融通無碍の国=日本の特殊性、日本語の起源など縦横に議論が展開されています。圧巻は、日本人が英語とどのようにつきあい、学んでいったらよいのかが話題となった後半部分。一気に盛り上がりをみせ、故小渕首相の私的諮問機関「21世紀日本の構想」懇談会が2000年に提出した「英語第二公用論」を糾弾しています。この文書は、英語を小学校から教え、英語を第二の公用語にすべきという内容のものらしいですが、小学生に英語など教えても結局、日本語も英語もダメな子供しか育たないと、三氏ともあきれ返った様子です。

 あわせてアメリカ追随の戦後日本の姿勢を批判しています。日本・日本語・日本人を歴史的に考察し、日本の文化、伝統にもっと関心をよせ、愛さなければならないというのが終着点です。

 偏狭なナショナリズムではない、正当な日本人論がそこにあるように思いまます。

 三氏の主張は簡単に言うと・・・・。
「大事なことは、ものをよく見るということではないか。感じるのではなくて、見る。日本人は、見ることについてもっとよく考えて実行する必要がある」(大野)。

「母国語である日本語は日本文化の根幹である。それゆえ、私たちは、日本とは、日本人とは、そして日本語の本質とは何かを、くり返し問わなければならないのである」(森本)。

「日本がこのままアメリカについていって本当にいいのか。むしろ、世界の過度なアメリカ化の危険を指摘して、もっと日本化せよと言えるのではないか」(鈴木)。