【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

若尾文子特集④ 増村監督と若尾文子さんのコンビによる佳品「爛(ただれ)」

2010-02-01 01:26:00 | 映画

若尾文子特集④ 
増村保造監督『爛(ただれ)』東京大映、白黒88分、1962年
                          於:ラピュタ阿佐ヶ谷

                          『爛』写真


 増村、若尾コンビの代表作のひとつです。

 自動車の販売業に従事する浅井(田宮二郎)は、妻、柳子(藤原礼子)との間がうまくいっていません。それというのも浅井には増子という元バーのホステスであった愛人(若尾文子)いて、それを妻に知られて、三角関係になっています。増子に激しく嫉妬をもやす柳子。しかし、浅井の気持ちはすでに妻にはなく、家庭は破綻しています。

 結局、浅井は弁護士をたてて妻と離婚し(柳子はその後、実家で狂死)、増子を籍に入れるのですが、そこに増子の兄の娘である姪の栄子(水谷良重)が転がりこんできます。福島に実家がある彼女は家族から農園の息子の嫁になるよう、見合い結婚が予定されていました。栄子はそれに反発。土いじりで一生を過ごすのは厭で、都会に暮らしたいと思っていたのです。 

 栄子が浅井と増子のところに転がりこんできたまではよいのですが、そこは小さなアパート。男ひとりと女ふたりが一緒に暮らすのでは、問題が起こらないはずはありません。栄子は浅井のことが気になり始めます。なんといっても、浅井を演じる田宮二郎は精悍で眼がぎらぎらして男らしく、いかにももてそうな男性ですから・・・。

   増子の同僚(丹阿弥谷津子)は、三流歌手の青柳(船越英二)と貧しい流浪の家庭生活。それでも別れる気持ちはなく、男と女には一緒の生活がなくてはならないと考えています。他方老いた元将軍(永田靖)と一緒に暮らす芳子(弓恵子)は妊娠し、幸福に暮らしています。芳子の生活ぶりを見て、子供を産むことを決心した増子は、手術を受けるために入院します。

 さて、この結末はということになるのですが、栄子との怪しい関係を感じた(病室でカラスの鳴き声に不穏な事態をかぎとった)増子と栄子との大喧嘩、乱闘シーンがあります。増子の動物的嗅覚、乱闘の壮絶さたるや、演技とは思えません。

 増村監督らしい作品で、原作は徳田秋声、脚本は(?)と調べると新藤兼人さんでした。