斎藤葉[Yo Saito] ”La source(泉 ハープ小品集)”
斎藤葉さんの初の本格的クラシックアルバムです。わたしにとってもハープ演奏だけを格納したCDはこれ1枚しかありません。
斎藤さんの演奏は、堅実でありながら、抒情的で、心に訴えかけてきます。ハープのやさしい音色が波紋のように伝わってくると、わたしの心が共鳴します。
フランスのハープ作品が中心です。聴きやすいハープの名作小品集です。
ドビュッシー(1862-1918)はハープを使った<フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ><神聖な舞曲と世俗的な舞曲>がありますが、独奏曲はありません。<アラベスク>はもともとはピアノ曲ですが、ハープの独奏曲に編曲されたものです。ドビュッシーの20歳後半の作品です。
トゥルニエ(1879-1951)は、パリ音楽院で学び、ハープ科を首席で終えました。1912年から48年までパリ音楽院ハープ科の教授をつとめ、後進の指導にあたるととともに、優れた楽曲を書きました。<朝に>はそのひとつです。<6つのノエル>はレッスン用の作品です。
カプレ(1978-1925)は近代フランスの作曲家で、指揮者。ドビュッシーに協力し、助ける役割を果たす一方、霊感にとんだ管弦楽曲、室内楽曲、歌曲をつくりました。
アッセルマン(1845-1912)は父のジョゼフから演奏を学び、パリ音楽院教授に就任、門下からアンリット・トルニエ、カルロス・サルゼード、リリー・ラスキーヌなどの名匠が輩出しています。<泉>は表題どおりにさわやか泉の様子を表現した名曲です。
フォーレ(1845-1924)は1904年、1918年にフォーレならではの柔らかく、深い情緒あふれる協奏曲2編を発表しました。<即興曲>はそのひとつです。
ベシェッティ(1704-1766)はヴェネツィアで生まれ、没した作曲家です。1739年に出版された鍵盤楽器のための<ソナタ集>に含まれる3楽章をもつハ短調のソナタは、サルゼードによってハープ用に編曲されました。
ナトラは(1924-)はルーマニアのブカレストで生まれ、1961年からイスラエルに「移住して音楽活動を展開しています。<ハープのためのソナチネ>は1964年に出版されました。微妙な情感をたたえた佳品です。
1 Claude Debussy: Premiere Arabesque(ドビュッシー/アラベスク 第1番)
2 Marcel Tournier: Etude de Concert “Au Matin”(トゥルニエ/演奏会用練習曲「朝に」)
3 Marcel Tournier: Six Noels op.32(トゥルニエ/6つのノエル)
4 Andre Caplet: Divertissements Ⅰ-a la francaise(カプレ/ディヴェルティメント~フランス風)
5 Alphonse Hasselmans: La Source op.32(アッセルマン/泉)
6 Gabriel Faure: Impromptu op.86(フォーレ/即興曲 作品86)
7 Giovanni Battista Pescetti: Sonata(ペシェッティ/ソナタ)
8 Sergiu Natra: Sonatina(ナトラ/ソナチネ)