【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

若尾文子特集⑤ 木村恵吾監督「やっちゃばの女」

2010-02-08 00:44:24 | 映画
若尾文子特集⑤ 木村恵吾監督「やっちゃばの女」東京大映、91分、1962年                            於:ラピュタ阿佐ヶ谷

               『やっちゃ場の女』写真

 開巻、東京の築地市場。

 若尾文子さん扮する小田ゆき子は、ちゃきちゃきとした青果仲買店をしきる女性。その仲買店「小田新」の家族、そこで働く男たちの人間模様が描かれた作品です。

 そして、大きな流れは、ゆき子と妹の早苗(叶順子)がそれぞれに思いをよせる雇い人、精一(藤巻潤)との恋の道ゆきです。

 小田家の家族は少し複雑です。父親(信欣三)は家族のなかにはもういません。女性と家をでてしまって、別の暮らしを大川(隅田川)の向こうの佃島でしれいます。母親は持病をもっていて、3人の子を育て(ゆき子、早苗姉妹の2人と一郎という男の子)いましたが、仕事中に倒れ、あっけなく亡くなってしまいました。

 そんななか気丈にふるまうゆき子。叔母さんに紹介されたお見合いもありましたが、雇い人の誠実な精一を信頼しています。しかし、妹の早苗も精一に強く惹かれていました。

 夏の花火のお祭りの夜。ゆき子と精一は、自宅の2階の縁台でふたりきりになって花火を鑑賞していました。そこに早苗が帰ってきて、姉と精一のふたりを認め、逆上して家をでてしましいます。この後、早苗が行方不明になり、大変なことになります・・・。

 ゆき子は妹の気持ちを察し、自分は一度お見合いをしたのですが、付き合いをことわった男性(宇津井健)と結婚しようと考えます。しかし、この想いも結局は、うまく行きません。

 最後のシーン。昼間の屋台で、日本酒をコップいっぱいあおったゆき子。雑踏の中を小さく消えるように遠ざかっていきます。

 いろいろ楽しいこと苦しいことのある下町の生活のなかで、まじめに明るく、健気にいきる女性の姿が描かれて、さわやかです。