旭爪(ひのつめ)あかねさんの小説『稲の旋律』を映画化した「アンダンテ~稲の旋律」が公開される。
そこで、「しんぶん赤旗」日刊紙に、主演の千華役の新妻聖子さんのインタビューが掲載された。
それを紹介する。
人を救えるのは人だけ
新妻聖子さん 映画「アンダンテ~稲の旋律~」で主演
前に前に走り続ける人と、転んでうずくまる人。ミュージカル女優として活躍の場を開拓してきた自身は前者であり、23日公開の映画「アンダンテ~稲の旋律~」千華は後者でした。
対照的に見えても「人はどちらの側面も持っていて、自分は何とか踏ん張り、歩んでこれたけど、千華は我慢のタンクがいっぱいになって前に進めなくなってしまったんだと思う」といいます。
原作は2001年から2002年にかけ、「しんぶん赤旗」に連載された旭爪あかねさんの小説『稲の旋律』。音楽家の道に挫折し、家に閉じこもるようになった千華が、農家の晋平に出会い、希望を取り戻す物語です。
映画初出演で初主演。舞台との違いに戸惑いは大きかったものの、それが千華役にはプラスと監督は考えたのか、抜てきされました。けれど、当初抱いた役への思いは、いささか辛口だったと振り返ります。「私は毎日つらいことがあっても、えいって踏ん張て、何とか1日を乗り切っている。だから千華の心情を理解できるか不安でした」
原作を読み、原作者に会い、「引きこもり」の関連書籍に目を通し、誰より一番苦しみ、一歩踏み出したいと切望しているのは本人だと知りました。自身と千華を隔てる壁が崩れ、紙一重の印象を強くしたといいます。困難を乗り越えたいのに、自分に勝てない。人の期待に応えたいのに、うまくいかない。誰でも千華と同じ葛藤を抱えているから「この映画は自分を見つめ直す機会になるし、皆が無理のない範囲で優しく生きていけたらと思います」。
現実から逃げるように、ある日、電車に乗り込んだ千華は、車窓から見た一面の稲穂に癒やされ、やがて農業に従事する人の輪に入っていきます。「結局、人を救えるのって人しかいない。自分の殻に閉じこもっていては、何も進展しないし、大きな喜びも生まれない。それをこの作品は教えてくれるんじゃないかな」
千葉県横芝光町のロケ現場では、地元ボランティアの手料理でもてなされ、「地産地消」を体感しました。日々の食事を写真に収め、ブログで紹介するほどの「食いしん坊」。本作と出合い、日本の自給率の低さと、農家の窮状がリアルに身に迫り、「農業を危機にさらしたら、いけないでしょうと思うわけです」。
もともと歌手志望。大学時代、片っ端からオーディションに応募し、まずはテレビのリポーターとして活動を始めました。初舞台は2003年のミュージカル「レ・ミゼラブル」。
5000倍の競争率を勝ち抜いて、銃弾に倒れる悲劇のエポニーヌ役を射止めます。それまで、専門の歌唱指導を受けたことはありませんでした。「普通に歌が好きで、目立ちたがり屋で、声が大きくて。カラオケで初めて歌ったら、皆にうまいって言われたから、その気になったってだけの話なんです」と、ぶっちゃけたように笑います。
敷かれたレールの上を必死で走っていたという芸能の世界。転機は、ベトナム戦争の悲劇を描いた「ミス・サイゴン」のヒロイン、キム役でした。表現者として「欲と責任が芽生えて、世界が広がりました」。今年は歌手として初のツアーも控えています。
当たり前のように「人の役にたちたい、世の中を良くする歯車になりたい」と考えてきたから、自身の歌で誰かが救われることが原動力。「もう少し私が大きな人間になれたら、もう一歩進んで、社会に何か貢献したい」。そんな思いも秘めつつ、「29歳の女性として今後どうするの!って思いもありつつ・・・」、いざいざ、2010年代へ。
文 田中佐知子
にいづま・せいこ
1980年、愛知県生まれ。父親の仕事の都合で小学5年から7年間タイで生活。ミュージカルを中心に舞台で活躍し、菊田一夫演劇賞、文化庁芸術祭賞新人賞を受賞。2月20日に東京・有楽町よみうりホールでライブ開催。
『稲の旋律』の単行本を買って読んで感動しました。映画化されると聞き、撮影が始まり、ついに公開にたどりついたそうです。
「アンダンテ」とは、音楽のテンポの用語で、「歩くような早さで」の意味。
大阪や兵庫でも上映さるようです。ぜひ見てみたいですね。
【アンダンテ~稲の旋律~(公式サイト)】
そこで、「しんぶん赤旗」日刊紙に、主演の千華役の新妻聖子さんのインタビューが掲載された。
それを紹介する。
人を救えるのは人だけ
新妻聖子さん 映画「アンダンテ~稲の旋律~」で主演
前に前に走り続ける人と、転んでうずくまる人。ミュージカル女優として活躍の場を開拓してきた自身は前者であり、23日公開の映画「アンダンテ~稲の旋律~」千華は後者でした。
対照的に見えても「人はどちらの側面も持っていて、自分は何とか踏ん張り、歩んでこれたけど、千華は我慢のタンクがいっぱいになって前に進めなくなってしまったんだと思う」といいます。
原作は2001年から2002年にかけ、「しんぶん赤旗」に連載された旭爪あかねさんの小説『稲の旋律』。音楽家の道に挫折し、家に閉じこもるようになった千華が、農家の晋平に出会い、希望を取り戻す物語です。
映画初出演で初主演。舞台との違いに戸惑いは大きかったものの、それが千華役にはプラスと監督は考えたのか、抜てきされました。けれど、当初抱いた役への思いは、いささか辛口だったと振り返ります。「私は毎日つらいことがあっても、えいって踏ん張て、何とか1日を乗り切っている。だから千華の心情を理解できるか不安でした」
原作を読み、原作者に会い、「引きこもり」の関連書籍に目を通し、誰より一番苦しみ、一歩踏み出したいと切望しているのは本人だと知りました。自身と千華を隔てる壁が崩れ、紙一重の印象を強くしたといいます。困難を乗り越えたいのに、自分に勝てない。人の期待に応えたいのに、うまくいかない。誰でも千華と同じ葛藤を抱えているから「この映画は自分を見つめ直す機会になるし、皆が無理のない範囲で優しく生きていけたらと思います」。
現実から逃げるように、ある日、電車に乗り込んだ千華は、車窓から見た一面の稲穂に癒やされ、やがて農業に従事する人の輪に入っていきます。「結局、人を救えるのって人しかいない。自分の殻に閉じこもっていては、何も進展しないし、大きな喜びも生まれない。それをこの作品は教えてくれるんじゃないかな」
千葉県横芝光町のロケ現場では、地元ボランティアの手料理でもてなされ、「地産地消」を体感しました。日々の食事を写真に収め、ブログで紹介するほどの「食いしん坊」。本作と出合い、日本の自給率の低さと、農家の窮状がリアルに身に迫り、「農業を危機にさらしたら、いけないでしょうと思うわけです」。
もともと歌手志望。大学時代、片っ端からオーディションに応募し、まずはテレビのリポーターとして活動を始めました。初舞台は2003年のミュージカル「レ・ミゼラブル」。
5000倍の競争率を勝ち抜いて、銃弾に倒れる悲劇のエポニーヌ役を射止めます。それまで、専門の歌唱指導を受けたことはありませんでした。「普通に歌が好きで、目立ちたがり屋で、声が大きくて。カラオケで初めて歌ったら、皆にうまいって言われたから、その気になったってだけの話なんです」と、ぶっちゃけたように笑います。
敷かれたレールの上を必死で走っていたという芸能の世界。転機は、ベトナム戦争の悲劇を描いた「ミス・サイゴン」のヒロイン、キム役でした。表現者として「欲と責任が芽生えて、世界が広がりました」。今年は歌手として初のツアーも控えています。
当たり前のように「人の役にたちたい、世の中を良くする歯車になりたい」と考えてきたから、自身の歌で誰かが救われることが原動力。「もう少し私が大きな人間になれたら、もう一歩進んで、社会に何か貢献したい」。そんな思いも秘めつつ、「29歳の女性として今後どうするの!って思いもありつつ・・・」、いざいざ、2010年代へ。
文 田中佐知子
にいづま・せいこ
1980年、愛知県生まれ。父親の仕事の都合で小学5年から7年間タイで生活。ミュージカルを中心に舞台で活躍し、菊田一夫演劇賞、文化庁芸術祭賞新人賞を受賞。2月20日に東京・有楽町よみうりホールでライブ開催。
『稲の旋律』の単行本を買って読んで感動しました。映画化されると聞き、撮影が始まり、ついに公開にたどりついたそうです。
「アンダンテ」とは、音楽のテンポの用語で、「歩くような早さで」の意味。
大阪や兵庫でも上映さるようです。ぜひ見てみたいですね。
【アンダンテ~稲の旋律~(公式サイト)】
これからも更新頑張ってください。