黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ビロウな話で恐縮です日記』三浦しをん(太田出版)

2009-02-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
ロシアの王様の濃厚フェロモン、(まだ生まれていない)孫の教育、海賊になった夢、ローストビーフの賞味期限、音大生の傾向、恋愛短編集のタイトル、息子さんと娘さん、一万年後の太陽の死、本日の殿、号泣する学生風男子、ブチャイクな猫、ファンタジーの波、紫色のバラの人たち、「つきあいたい」好きと「こうなりたい」好き、漫画の新文法、BL的「暗号濡れ場」、レジまわりに関する人称視点問題、ものすごく小声で喧嘩する三十代男女、焼きそば地獄、愛のなかの暴力的要素……等々、妄想炸裂な日々を綴る日記エッセイ。

同名のブログの書籍化。07年1月7日から08年9月20日までの分です。
ブログでもちょこっと読んでましたが、本になるとまた違った感じでおかしいです(脚注での自己ツッコミとか/笑)。
表紙の中村明日美子さんのイラストも可愛いv

<09/2/24>

『喋々喃々』小川糸(ポプラ社)

2009-02-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
東京の下町・谷中でアンティークきものの店“ひめまつ屋”を営む、栞。
周辺に住む、オリーブ少女のような老婦人・まどか、ゴシップ好きで栞の元にいらない靴を持ってやってくる・イメルダ夫人、彼女を可愛がってくれる老紳士・イッセイらに囲まれ、ささやかながら楽しい毎日を暮らしている。
そんな彼女の店に、初釜に着て行く着物が欲しいとやってきたのは、離れて住む父に似た声の男性・春一郎。
時が過ぎ、季節がうつろう中で、しだいに彼との心の関係を深めてゆく栞。しかし彼には妻子がいて……

アンティークのきもの屋さんをして暮らす栞の恋と、下町の四季。
描かれる衣食住の中から、情緒や風情が感じられるところは良いのですが、別の側面から見た場合の、彼の態度は如何なものかと、思わなくもなかったり……;

<09/2/23>


『架空の球を追う』森絵都(文藝春秋)

2009-02-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
少年野球の練習風景。真面目にやろうとしない少年たちに、必死に指導するコーチ。そんな光景を観ながら、少年たちの未来について語り合う母親たち……『架空の球を追う』、
定期的に飲み会を開催している、高校時代の女友達4人…忍、チャボ、知ちゃん、私。そしてふゆ美も参加…今回の主旨は離婚したふゆ美を励ますことだ。やたらと飲み会の場所を銀座に設定したがるチャボ。しかし今回の店はイマイチ…。銀座と新宿、どちらが集まりやすいのかで議論が始まり……『銀座か、あるいは新宿か』、
桜並木の遊歩道で私が出会った珍事。ホームレス老人と女性が接触し、老人が転倒。しかしその行動はわざとであることが見え見えで……『チェリーブロッサム』、
横暴なボスが歯医者に治療に出かけている間に、裏庭のハチの巣退治を言いつけられた社員4人…クリス、メグ、スー、私。それぞれに苦手な理由があるが、やらなければ会社をクビになってしまう。困った末に現実逃避した私は、母への手紙を何度も書き直し……『ハチの巣退治』、
スーパーマーケットで、私が購入をためらった高価なパパイヤを手にとった和風美人に遭遇。思わず私は彼女の跡をつけ、買うものを真似する。そんな中、お菓子コーナーで思わず“五家宝”を手に取ってしまい……『パパイヤと五家宝』、
100円コーナーで売っているカブトムシを“トトロの森”に放そうと、1匹を買った私。しかし夫や息子は冷たい態度。私はかつて“自由ホンポウな女”になりたいと作文に書いていたが……『夏の森』、
玉の輿を狙って、お見合いクラブで石油会社の御曹司を捕まえた私。結婚話は順調に進み、ドバイに婚前旅行にやってきたのだが、日差しは厳しく、ついいらだってしまい……『ドバイ@建設中』、
知人のバーのオープニングパーティーにかけつけるべく、タクシーに乗ったカップル・アズマと私。ところがその途中で、かつて常連だった店・まん丸が消えているのに気づく。折りしもタクシー運転手はそこで働いていた人間で、店がなくなっていることが、気になって前に進めないという。そんな彼に付き合い、店主・フクちゃんの家へと出かけることに……『あの角を過ぎたところに』、
親戚一同が温泉旅行にやってきた。そんな中、有紀が妹の真紀と一緒にお風呂に入るのを避けている様子だと相談を受けた従姉妹。やがて二人の中はぎくしゃく、決裂寸前までこじれるが……『二人姉妹』、
30代にして11人の孫を抱える難民で元女優である“私”。
そこへ族長の血を引く嫡男・アジムと娘婿・イエンツィらがNGOの外国人を連れてくるが、私はもう彼らを家には入れないと心に決めていた……『太陽のうた』、
スペインのバルセロナ空港内のリカーショップで、私が購入を悩んでいた同じワインを買ったイギリス人の老夫婦。しかし店員の太鼓判に反して箱が弱く、底が抜けた為にワインは割れてしまう。そんな様子をチョコレートの専門店で見ていた私と少年は……『彼らが失ったものと失わなかったもの』の11編収録。

短編・掌編集。
特に内容に統一性はないですが、ささやかなありふれた光景の中から描きだされるおかしみや、物事のタイミングの妙などが描かれています。
『パパイヤと五家宝』『二人姉妹』などの、それまでの流れがひとつの事がきっかけで変わってしまう感じが楽しかったです。

<09/2/22>

『やまんば娘、街へゆく 由布の海馬亭通信』村山早紀(理論社)

2009-02-21 | 読了本(小説、エッセイ等)
山の神の娘・由布は13歳。
母が、7年に1度の山の神のよりあいで富士山に行っている10月から2月までの間、姉にも内緒で妙音山を下り、風早の街へとやってきた。
目的は10年前に消えた人間の父を探すこと。母がいうように父が彼女たちを捨てたのではなく、何か理由があって帰れずにいるのではと考えていたのだ。
そんな由布が街で初めて出会ったのは、万引きして追いかけられていた少女・千鶴。彼女が縁で、その祖母・お銀さんが管理人をする下宿屋“海馬亭”に下宿することに。
人ではない存在も見ることのできる由布は、千鶴のそばに、他の人には見えないらしい、くまのぬいぐるみの姿があることに気づいていて……最初の手紙*ごめんねのくまさん、
姉の元に、手紙と共に送った写真を見ながら、千鶴の行方不明事件を思い出す由布。
お祭りの日。おたふく風邪を引いた千鶴は、学校を休んでいた。海馬亭の中のレストランの専属歌手・リリーと言い合いになった彼女は、そのまま飛び出してしまい、みんなでその行方を探すことに……二通目の手紙*とりあえず記念写真、
12月。
海馬亭に住むゲームデザイナー志望の大学生・加藤玲子の様子がおかしい。彼女がバイト先の会社で開発に携わっていたゲームのメインプログラマーが逃げてしまい、開発中止になったのだという。
404号室の幽霊の純子曰く、玲子は幽霊をしょっているという。それは男の子だというのだが……三通目の手紙*虹色タイルと宇宙船、
クリスマスも終わった、12月28日。由布がひどい風邪を引いた。しかも、どうやら住人みんなが風邪引きらしい。
そこへお銀さんの親友だという海馬亭のオーナーである老婦人・竜野優美子が療養にやってきた。ところが彼女が生霊となって抜け出ていたところに遭遇した由布。
そんな中、思いもかけない話をレストランのピアニストの伊達から聞かされて……最後の手紙*大みそかはこたつみかん を収録。

やまんば(山の神。やまんばといってもギャルではありません/笑)の娘・由布が、父を探す為街へと降りてきて下宿で暮らす日々を、山に残っている姉に送る手紙で報告する形で綴るお話。
この作品も風早シリーズ。微妙に手にタイトルとりにくい気がするのは、大人の感覚で考えるからでしょうか…(笑)。

<09/2/21>

『利休にたずねよ』山本兼一(PHP研究所)

2009-02-20 | 読了本(小説、エッセイ等)
天正19年2月。秀吉からの不興を買い、理不尽な理由により切腹を命ぜられた千利休。
そんな彼が最期の時まで肌身離さず持ちつづけたのは、かつての思い人の形見である、緑釉の香合……その中には、香と共に、わずかな骨のかけらと、桜色の小指の爪が入っていた。
魚屋の息子として生まれ、茶人として大成してゆく利休。彼の貫き通した美学と、その生涯の原点となるひとつの恋とは……

第140回直木賞受賞作。
最後には切腹させられることになった人生を遡りながら、本人や秀吉、周囲の人々など様々な視点により語られてゆく、利休像とその美学。
構成もうまく、とても惹きつけられるお話でした。
利休の秘められた恋を辿るお話でもあるのですが、何だか秀吉との“らぶすとーりー”っぽくもあり…(笑)。

<09/2/19,20>


マカロンショコラ@メテオール

2009-02-18 | スイーツ
“しっとりしたマカロン生地で、チョコレートガナッシュをサンドしました”…と三越のHPには書かれていたのですが、あまりしっとりはしてないような…;しかもガナッシュでもない気がする…(笑)。
 かなりサクサクカリカリな食感。

 メテオール(ユーハイム):東京 ※新潟三越の催事で購入。

『珈琲屋の人々』池永陽(双葉社)

2009-02-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
東京の下町の商店街で、父が始めた喫茶店・珈琲屋を営む宗田行介。そんな彼には、殺人を犯し服役していた過去がある。
バブル期、地上げ屋による商店街への立ち退き要求が激しかった折、自転車屋の娘・智子が何者かに暴行を受け、自殺に追いやられていた。そんな中、地上げ屋の男・青野が珈琲屋に現れ、自分が犯人であることを仄めかした事から、殺意を覚えたのだった。しかし8年の実刑を甘んじて受け、出所後はわずかな売上の中から、青野の妻・朱美と息子・和人に月々10万の金を運ぶ行介。
彼には当時、幼馴染で恋人になった蕎麦屋の娘・辻井冬子がいたが、彼が服役中に見合いで結婚。そんな彼女は、行介が刑期を終えるのと共に、最近実家へ出戻っていた。彼女は浮気をして離婚したのだという噂があり……『初恋』、
23歳に嫁いで25年間、2年前に店を閉じた丹羽クリーニング店で働いてきた元子。今は段ボール工場に働きに出ている夫・直道の浮気が判明。元子は、自分も同じように浮気をするべきか、それとも彼と離婚するべきかで悩み、冬子に相談するが……『シャツのぬくもり』、
商店街の和菓子屋・笹屋の高校2年生の娘・省子。彼女の家は、今資金繰りで苦しんでおり、両親は自殺するか自己破産するかで、話し込んでいる。弟も新聞配達のバイトをはじめる中、彼女は援助交際に手を染めようとしていた……『心を忘れた少女』、
趣味のカラオケ仲間に新たに加わった、一回り若い女性・志麻子が気になる秋元英治。彼の十八番は、杉良太郎の“すきま風”。しかしそんな彼には寝たきりの妻・悦子がいた。彼女と付き合うようになった英治は、次第に妻の存在がうとましく感じはじめ、寝ている彼女に向かい、恨み言をいう……『すきま風』、
自殺した智子と以前つきあっていた保彦。自分が殺すべき相手・青野を行介が殺したことから、9年たった今もわだかまりを抱えていた彼は、それらを振り払うために行介と闘いたいと申し出る……『9年前のけじめ』、
行介の幼馴染で、洋品店・アルルを営む島木はプレーボーイ。自分の店の若い店員・千果にも手を出している。そんな彼女には島木の他に恋人・司郎がいたが、彼女の計算高さを見抜かれ、別れを切り出される。そんな彼をつなぎ止める為、島木と別れて手切れ金を貰い、旅行資金に当てようと考えるが……『手切れ金』、
冬子の存在を知った朱美から、自分が結婚するまで結婚しないようにといわれた行介。
そんなある日、朱美に思いを寄せている男・小坂が店に現れた。彼女から行介と命がけの勝負をしたら、勝っても負けても結婚を考えても良いと言われたという……『再恋』の7編収録の連作短編集。

下町の喫茶店・珈琲屋に集まる人々の人間模様。
行介も冬子も、それぞれ背負っているものが重く、それ故にその言葉には含蓄があるような気がします。
個人的にはお茶の方が好きですが、この作品はやはり珈琲と共に味わうのが良いでしょうね~(どのお話も珈琲同様、ほろ苦テイストなので)。

<09/2/18>

『Y氏の終わり』スカーレット・トマス(早川書房)

2009-02-17 | 読了本(小説、エッセイ等)
大学時代はデリダの哲学を専攻し、科学全般を扱う雑誌にコラムを書いていたアリエル・マントは、その取材活動の中で知った、19世紀の英作家トマス・E・ルーマスを唯一研究する教授・バーレムに誘われ、彼の大学で大学院生となる。しかしその後、肝心のバーレムが失踪してしまい、戸惑う彼女。
そんなある日、大学の建物が倒壊したことから帰宅することになったアリエルは、たまたま立ち寄った古本屋で、思いがけずルーマスの『Y氏の終わり』という本を見つける。それは、ドイツの銀行の貸金庫に1冊存在が確認できているだけだという、超希覯本……しかも、読んだ者は死に至るという“呪われた本”という、いわくつき。
その内容は、主人公Y氏がある男からもらった薬で、他人の心の中に移動する能力を持つ冒険譚のようなもの。
内容を読み進めるアリエルだったが、その本には肝心な1ページ…その薬の処方箋が欠けていた。落胆するも、偶然バーレムの蔵書の間からそれを発見したアリエルは、その薬を作ることに成功し、Y氏同様の能力を手に入れる。
しかし、そんな彼女を狙う謎の男たちに追われるはめになり……

1冊の本(というかその内容)を巡り、繰り広げられる冒険SFといった感じ?
哲学、物理学、量子力学…等々、さまざまな学問も登場して、かなりペダンチックですが(おまけに厚い;)、その割には読み易いかも。

<09/2/17>