黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『架空の球を追う』森絵都(文藝春秋)

2009-02-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
少年野球の練習風景。真面目にやろうとしない少年たちに、必死に指導するコーチ。そんな光景を観ながら、少年たちの未来について語り合う母親たち……『架空の球を追う』、
定期的に飲み会を開催している、高校時代の女友達4人…忍、チャボ、知ちゃん、私。そしてふゆ美も参加…今回の主旨は離婚したふゆ美を励ますことだ。やたらと飲み会の場所を銀座に設定したがるチャボ。しかし今回の店はイマイチ…。銀座と新宿、どちらが集まりやすいのかで議論が始まり……『銀座か、あるいは新宿か』、
桜並木の遊歩道で私が出会った珍事。ホームレス老人と女性が接触し、老人が転倒。しかしその行動はわざとであることが見え見えで……『チェリーブロッサム』、
横暴なボスが歯医者に治療に出かけている間に、裏庭のハチの巣退治を言いつけられた社員4人…クリス、メグ、スー、私。それぞれに苦手な理由があるが、やらなければ会社をクビになってしまう。困った末に現実逃避した私は、母への手紙を何度も書き直し……『ハチの巣退治』、
スーパーマーケットで、私が購入をためらった高価なパパイヤを手にとった和風美人に遭遇。思わず私は彼女の跡をつけ、買うものを真似する。そんな中、お菓子コーナーで思わず“五家宝”を手に取ってしまい……『パパイヤと五家宝』、
100円コーナーで売っているカブトムシを“トトロの森”に放そうと、1匹を買った私。しかし夫や息子は冷たい態度。私はかつて“自由ホンポウな女”になりたいと作文に書いていたが……『夏の森』、
玉の輿を狙って、お見合いクラブで石油会社の御曹司を捕まえた私。結婚話は順調に進み、ドバイに婚前旅行にやってきたのだが、日差しは厳しく、ついいらだってしまい……『ドバイ@建設中』、
知人のバーのオープニングパーティーにかけつけるべく、タクシーに乗ったカップル・アズマと私。ところがその途中で、かつて常連だった店・まん丸が消えているのに気づく。折りしもタクシー運転手はそこで働いていた人間で、店がなくなっていることが、気になって前に進めないという。そんな彼に付き合い、店主・フクちゃんの家へと出かけることに……『あの角を過ぎたところに』、
親戚一同が温泉旅行にやってきた。そんな中、有紀が妹の真紀と一緒にお風呂に入るのを避けている様子だと相談を受けた従姉妹。やがて二人の中はぎくしゃく、決裂寸前までこじれるが……『二人姉妹』、
30代にして11人の孫を抱える難民で元女優である“私”。
そこへ族長の血を引く嫡男・アジムと娘婿・イエンツィらがNGOの外国人を連れてくるが、私はもう彼らを家には入れないと心に決めていた……『太陽のうた』、
スペインのバルセロナ空港内のリカーショップで、私が購入を悩んでいた同じワインを買ったイギリス人の老夫婦。しかし店員の太鼓判に反して箱が弱く、底が抜けた為にワインは割れてしまう。そんな様子をチョコレートの専門店で見ていた私と少年は……『彼らが失ったものと失わなかったもの』の11編収録。

短編・掌編集。
特に内容に統一性はないですが、ささやかなありふれた光景の中から描きだされるおかしみや、物事のタイミングの妙などが描かれています。
『パパイヤと五家宝』『二人姉妹』などの、それまでの流れがひとつの事がきっかけで変わってしまう感じが楽しかったです。

<09/2/22>