黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『魚神』千早茜(集英社)

2009-02-06 | 読了本(小説、エッセイ等)
遊女屋が軒を連ねる、文明から取り残された小さな島。昔、この島には絢爛豪華な一大遊郭があったが廃れ、今は身分証を持たない人間が住みつき、自分達の島を自治地域と称して、工業化した本土とは別個の文化を営んでいた。
その島で捨て子として育った美貌の少女・白亜…伝説の遊女と同じ名…と弟・スケキヨ。
そんな2人は、他人には心を開かず、お互いだけが感情を通じ合わせることのできる唯一の存在だった。
ある日、スケキヨは獏が棲むと恐れられている祠の中に大量に薬草の書物があるのを見つけ、その知識を身につける。そして、それを利用し、渡し守の男・蓼原を病から救ったことから、薬師として島の人間達に頼られるようになるも、育ての親である老婆により、悪評高い裏華町に売られてしまう。
突然、スケキヨと離れ離れになり動揺した白亜は、彼の行方を必死に捜索。ようやく再会したものの、あることから仲違いをしたまま、再び別れることに。
数年後、大きな遊廓・更津屋に売られた白亜は、島でも評判の美しい遊女に成長する。だが、スケキヨを忘れられず、心は虚ろな生活を送っていた。
そんな白亜は、ある時、同じ店の遊女・新笠から、スケキヨらしき謎めいた薬売りの男の話を聞くが……

第21回小説すばる新人賞受賞作。
江戸時代かと思いきや、この島以外は現代寄りな世界っぽい。廓の話は『花宵道中』的?
退廃的で妖しげな世界観が好み♪

<09/2/6>