エンタテインメント系文芸誌の中堅編集者・椎塚有美子が、駆け出しの冒険小説家・赤垣廉太郎に相談があるという。彼が以前、マイナーながらオカルト雑誌のライターをしていたことから、心霊超常現象研究家・中大岡百太郎教授と念力坊主・無田弥念を紹介して欲しいと頼まれたのだ。
昨年の夏。神奈川県某所にある人気ミステリ作家・山之上匡之丞の所有する瀟洒な別荘で開かれるパーティに出席する為、向かっていた有美子。同道するのは、有美子の同僚で、山之上の担当編集者・亀谷薫子と寺坂吉男。そして神奈川に詳しいと自称する“簾禿げ”こと、人気最低四流推理作家・南極夏彦。
しかし南極の所為で、最終バスを途中下車することになり、有美子たちは山中で遭難寸前。
そこへ通りかかったのは、椎塚が思いを寄せていた、文芸部の編集者・神崎五郎の車。同乗していたのはロートル探偵作家・吉良光太郎…またの名を“セクハラする生ける屍”。
彼らの車に同乗した一行は、山之上の別荘に到着するが、留守。皆でプライベートビーチへ向かったのでは?という推測の元、そこがよく見渡せるという悲恋岬にやってきた一行。ところがビーチの様子を見た吉良は待ち切れずに、そこからダイブ。その光景をカメラマンが写していたのだが、そこに写っていたモノについて、専門家に意見を聞きたいというのだった……消極的彦『海で乾いていろ!』、
中大岡の間抜けな企画で、島根県某所・宍道湖に程近い陣台湖に向かった廉太郎と有美子。そこでUMAの目撃情報があったという。目撃したのは、古屋兎丸が描くような美少女、大盛望。半信半疑な有美子だったが、望の友人・大石遥の撮ったビデオにはその姿が収められていた。
早速捕獲することになったのだが、やってきた業者は、片岡建設怪獣捕獲設備課課長・片岡太と、南極で……京極メキシコ『宍道湖鮫』、
ロス在住のベストセラー作家アーサー・駄二郎が、サイン会の為来日することになりノリノリな有美子。南極や廉太郎の担当を新入社員の貌井翔子に押し付け、彼を迎えに行ってしまう。
そんな中、廉太郎は、滋賀県のはずれにある寺・執金山法繞寺に翔子と共にやってきた。この寺では、奇跡の涙を流す仏像や、布に仏の姿が浮かび上がるという怪現象が起きているというのだ。ところがそんな彼らを出迎えたのは、何故か南極で……ナッチー京極『夜尿中』、
新葛飾署の大原大次郎は、部下の寺井洋一の案内で中野にやってきた。目的の本を手に入れる為、古本屋に行きたかったのだが、寺井が案内するのは、中野ブロードウェイ。
そんな中、寺井が買った“ぬらりひょん”のフィギュアを見た大原は、かつて学生時代に、中野の安アパートで暮らしていた時に遭遇した出来事を思い出す……秋本治×京極夏彦『ぬらりひょんの褌』、
10年が過ぎ、有美子は枢英社の『小説シュバル』編集長に昇格していた。そして日本野蛮小説大賞を受賞しつつも、やっぱり彼女に使われている廉太郎。ある日、有美子の元に、中大岡が“ガスノート”という怪しげなノートを持ち込んだ。そこに名前を記すと、その人物に放屁させることができるという。あきらかにパクリっぽい設定だが、実際にその被害にあった人物がいるらしい。
それは、民放某局の女性アナウンサーであった、甘味かのこ。海外からも大物ゲストを呼んだレセプションで、司会のアシスタントに大抜擢された折、その悲劇は起きて……『ガスノート』、
いまや辛口書評が人気のエッセイストとなった、北極星ヒカルこと大盛望。
『小シュバ』で全日本ミステリ作家協会結成50周年の特集記事で、彼女にも寄稿を依頼したのだが、どこかミステリを誹謗するかのような発言が気に入らない有美子。
原稿を書き直してもらってこいと怒られた編集者・祝田は、彼女の家にやってきた。折りしもそこには、広告代理店・悶通イベント事業部に転職した片岡太と、協会の50周年イベント担当幹部を務める人気作家・干菓子野ケーキが、彼女にイメージガールを依頼する為に訪れていた。
そして、50周年イベントに招待された廉太郎だったが、その場所はメイン会場ではなく、埼玉の奥地にある第2会場。そこで行なわれるのは“仮装リレー”。干菓子野の作品に登場する探偵のように、白衣を来た廉太郎と夏彦が、麦畑を走ることに……『探偵がリレーを……』、
全日本ミステリ作家協会団長・大握寿司昌の別宅に、幽霊が出るという。怯えるメイドたちの為に、ヒカルが除霊することになったのだが、それに張り合うべく、廉太郎を送り込んだ有美子。彼の知人であり、人気ホラー作家である箆山藷明から、霊能海胆・毒マッスルを借り受けた廉太郎だったが、対抗するヒカルは……『毒マッスル海胆ばーさん用米糠盗る』、
“目ン玉つながりのおまわりさん”こと白塚フチオは、彼が住んでいる世界に虚しさを感じていた。そこへ現れたのは祝田と有美子。彼に、今はマンガではなく小説の中だと説明する。南極が白塚たちの世界に逃げ込んだらしく、それを追って有美子たちはやってきたのだった……赤塚不二夫÷京極夏彦『巷説ギャグ物語』を収録。
『どすこい(仮)』の続編。
それぞれに、白川道『海は涸いていた』、大沢在昌『新宿鮫』、馳星周『夜光虫』、小畑健/大場つぐみ『DEATH NOTE』、東野圭吾『探偵ガリレオ』、平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』が元ネタですが、基本タイトルだけ(あ、本文に使われてる書体が同じですね…)。
『ぬらりひょん~』と『巷説~』はそれぞれ秋本治・赤塚不二夫両氏とのコラボ(?)作品。
栞ひもが何本もあるなぁと思ったら、これは“簾禿”を表現しているんですね~(笑)。
<09/1/25,26>
昨年の夏。神奈川県某所にある人気ミステリ作家・山之上匡之丞の所有する瀟洒な別荘で開かれるパーティに出席する為、向かっていた有美子。同道するのは、有美子の同僚で、山之上の担当編集者・亀谷薫子と寺坂吉男。そして神奈川に詳しいと自称する“簾禿げ”こと、人気最低四流推理作家・南極夏彦。
しかし南極の所為で、最終バスを途中下車することになり、有美子たちは山中で遭難寸前。
そこへ通りかかったのは、椎塚が思いを寄せていた、文芸部の編集者・神崎五郎の車。同乗していたのはロートル探偵作家・吉良光太郎…またの名を“セクハラする生ける屍”。
彼らの車に同乗した一行は、山之上の別荘に到着するが、留守。皆でプライベートビーチへ向かったのでは?という推測の元、そこがよく見渡せるという悲恋岬にやってきた一行。ところがビーチの様子を見た吉良は待ち切れずに、そこからダイブ。その光景をカメラマンが写していたのだが、そこに写っていたモノについて、専門家に意見を聞きたいというのだった……消極的彦『海で乾いていろ!』、
中大岡の間抜けな企画で、島根県某所・宍道湖に程近い陣台湖に向かった廉太郎と有美子。そこでUMAの目撃情報があったという。目撃したのは、古屋兎丸が描くような美少女、大盛望。半信半疑な有美子だったが、望の友人・大石遥の撮ったビデオにはその姿が収められていた。
早速捕獲することになったのだが、やってきた業者は、片岡建設怪獣捕獲設備課課長・片岡太と、南極で……京極メキシコ『宍道湖鮫』、
ロス在住のベストセラー作家アーサー・駄二郎が、サイン会の為来日することになりノリノリな有美子。南極や廉太郎の担当を新入社員の貌井翔子に押し付け、彼を迎えに行ってしまう。
そんな中、廉太郎は、滋賀県のはずれにある寺・執金山法繞寺に翔子と共にやってきた。この寺では、奇跡の涙を流す仏像や、布に仏の姿が浮かび上がるという怪現象が起きているというのだ。ところがそんな彼らを出迎えたのは、何故か南極で……ナッチー京極『夜尿中』、
新葛飾署の大原大次郎は、部下の寺井洋一の案内で中野にやってきた。目的の本を手に入れる為、古本屋に行きたかったのだが、寺井が案内するのは、中野ブロードウェイ。
そんな中、寺井が買った“ぬらりひょん”のフィギュアを見た大原は、かつて学生時代に、中野の安アパートで暮らしていた時に遭遇した出来事を思い出す……秋本治×京極夏彦『ぬらりひょんの褌』、
10年が過ぎ、有美子は枢英社の『小説シュバル』編集長に昇格していた。そして日本野蛮小説大賞を受賞しつつも、やっぱり彼女に使われている廉太郎。ある日、有美子の元に、中大岡が“ガスノート”という怪しげなノートを持ち込んだ。そこに名前を記すと、その人物に放屁させることができるという。あきらかにパクリっぽい設定だが、実際にその被害にあった人物がいるらしい。
それは、民放某局の女性アナウンサーであった、甘味かのこ。海外からも大物ゲストを呼んだレセプションで、司会のアシスタントに大抜擢された折、その悲劇は起きて……『ガスノート』、
いまや辛口書評が人気のエッセイストとなった、北極星ヒカルこと大盛望。
『小シュバ』で全日本ミステリ作家協会結成50周年の特集記事で、彼女にも寄稿を依頼したのだが、どこかミステリを誹謗するかのような発言が気に入らない有美子。
原稿を書き直してもらってこいと怒られた編集者・祝田は、彼女の家にやってきた。折りしもそこには、広告代理店・悶通イベント事業部に転職した片岡太と、協会の50周年イベント担当幹部を務める人気作家・干菓子野ケーキが、彼女にイメージガールを依頼する為に訪れていた。
そして、50周年イベントに招待された廉太郎だったが、その場所はメイン会場ではなく、埼玉の奥地にある第2会場。そこで行なわれるのは“仮装リレー”。干菓子野の作品に登場する探偵のように、白衣を来た廉太郎と夏彦が、麦畑を走ることに……『探偵がリレーを……』、
全日本ミステリ作家協会団長・大握寿司昌の別宅に、幽霊が出るという。怯えるメイドたちの為に、ヒカルが除霊することになったのだが、それに張り合うべく、廉太郎を送り込んだ有美子。彼の知人であり、人気ホラー作家である箆山藷明から、霊能海胆・毒マッスルを借り受けた廉太郎だったが、対抗するヒカルは……『毒マッスル海胆ばーさん用米糠盗る』、
“目ン玉つながりのおまわりさん”こと白塚フチオは、彼が住んでいる世界に虚しさを感じていた。そこへ現れたのは祝田と有美子。彼に、今はマンガではなく小説の中だと説明する。南極が白塚たちの世界に逃げ込んだらしく、それを追って有美子たちはやってきたのだった……赤塚不二夫÷京極夏彦『巷説ギャグ物語』を収録。
『どすこい(仮)』の続編。
それぞれに、白川道『海は涸いていた』、大沢在昌『新宿鮫』、馳星周『夜光虫』、小畑健/大場つぐみ『DEATH NOTE』、東野圭吾『探偵ガリレオ』、平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』が元ネタですが、基本タイトルだけ(あ、本文に使われてる書体が同じですね…)。
『ぬらりひょん~』と『巷説~』はそれぞれ秋本治・赤塚不二夫両氏とのコラボ(?)作品。
栞ひもが何本もあるなぁと思ったら、これは“簾禿”を表現しているんですね~(笑)。
<09/1/25,26>