黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ジョーカー・ゲーム』柳広司(角川書店)

2009-01-03 | 読了本(小説、エッセイ等)
昭和12年秋、かつて各国をスパイとして飛び回っていた結城中佐の発案で、開設されることになったスパイ養成学校…通称“D機関”。そのための準備室へ出向を命じられた陸軍の佐久間中尉は、そこで自らの常識を覆されるような若者たちに出会う。
そんな中、親日家のアメリカ人ジョン・ゴードンに、陸軍が使用している暗号表を盗んだらしいという容疑が浮かび上がった。偽の憲兵隊としてD機関の面々とともに彼の家に乗り込み、家宅捜索をする佐久間だったが、証拠は見つからず……『ジョーカー・ゲーム』、
爆弾テロに関わりがあるのではないかと疑われている英国総領事アーネスト・グラハム。彼がチェス狂いであることを利用し、チェスのできるテーラー寺島の店員・蒲生次郎として近づき、身辺を調査することになった、D機関の卒業生。調査の結果、心証的にはほぼシロだが、情況証拠がほぼクロという微妙な状況で……『幽霊(ゴースト)』、
D機関第1期生出身で、前田倫敦写真館の前田氏の甥という触れ込みでロンドンにやってきた伊沢和男。しかし彼がスパイであることを新米外交官・外村均が英国のセックススパイにうっかり漏らしたことから、捕らえられてしまう。結城中佐を知る英国諜報部のマークス中佐により自白剤を使われながらも、何とか乗り切った彼は、逆に英国のスパイとなることを強要されるが……『ロビンソン』、
中国上海に派遣されて3ヵ月が経った憲兵軍曹・本間英司は、上司である及川政幸大尉に呼び出された。曰く、3ヵ月以上前から情報漏れが起きているらしく、その内通者を探って欲しいという。その仕事にはこれまで宮田伸照伍長が当たっていたが、3日前に何者かに銃撃され、亡くなっていたのだ。さらに及川の家も爆破される中、調査を進める本間は、上海の町で思いもかけず見知った顔を見つけ、その後を追う……『魔都』、
ドイツの有名新聞の海外特派員カール・シュナイダーが亡くなった。彼は、ドイツとソ連の二重スパイであり、日本での情報収集を仕事としていた。折りしも飛崎弘行少尉が、D機関の卒業試験として、彼をスパイとして身柄を押さえようとしていた矢先のことだった。遺書らしき手紙が遺されていた為、自殺とも考えられたが、スパイである彼が死を選ぶとは考えられない。その手紙の端には“XX”の文字が記されていて……『XX(ダブル・クロス)』の5編収録。

“魔王”ともいわれる引退した伝説のスパイ・結城中佐が作ったスパイ養成学校“D機関”の面々が活躍する、スパイミステリの連作短編集。
設定をうまく取り入れたミステリが、格好良く素晴らしかったですv

<09/1/3>