黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ぽんこつ喜劇』浅暮三文(光文社)

2009-01-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
売れっ子作家のゴーストとして作品の企画案を提出するアサグレ。そんな案の数々を読みながら酷評する、光文社の編集者、鈴木と小口。その陰で、ある存在による、計画がひそかに進行していた……『第一話 プロローグ』、
その男はとてもよく知られている。世界中の人間が彼のことを知っている。没個性の代表ともいえる彼を“ミスター・サムワン”と呼ぶことにしよう。彼は、サラリーマン。入社6年目で同僚と結婚したが……『第二話 ミスター・サムワン』、
それはナスビの声だった。ほんの囁き程度の声。やがてキュウリやキャベツ、さまざまな野菜たちがそれぞれに同じ一言だけを呟きはじめ……『第三話 八宝菜は語る』、
隣同士に暮らす、よく似た家族構成の家庭……夫妻の間には高校3年の息子と、高校2年の娘。その片方に赤ちゃんが産まれたが、隣の奥さんも先に産んでいた。だがそこにはある秘密が。両家の人々は、掲示板や独白、ブログなどで自分の心の内を語り……『第四話 十指相関図』、
星占いの中で、密かに予言される世界の危機。それは宇宙へと拡大し……『第五話 星を巡る言葉』、
かつて火星に栄えていたらしい失われた文明の遺物である石板が発見された。全部で8枚あるというそれを順に解読してゆく中で、明らかとなる彼らの正体と滅亡の理由とは……『第六話 八枚の石』、
監察医である私が、これまで出会った変死者たちのファイル。ある男は、体をのけ反らせて手首を足首に届かせるような状態で死んでいた。ある老人は胡座を組み、手を合わせている状態で……『第七話 博士の事件簿』、
悩みの相談室に持ち込まれる、数々の相談。相談にやってきたのは、盗賊たちの岩戸を開ける秘密の言葉を思い出せない、たきぎ拾い、天啓で船を造れといわれた男……『第八話 こちら相談室』、
借金で首が回らなくなり、死に場所を探していた私は、歩き続ける中でおかしな貼り紙を見つける…“太安売り”“注意?”“およそ六”……『第九話 海へ』、
数ヶ月前からスパゲティが食べられなくなった私。渦が怖いのだ。10年ほど前にも同じ症状に陥ったことがあり、そこから考えるに、それはこれから起こるであろう不運な出来事に対する予兆らしいのだが……『第十話 渦』、
かつてロンドンのセビルロー通りの一本裏手にジャック・クックという男がいた。腕のよい施盤工だったが、やがてハンガーの開発にとりつかれるようになり……『第十一話 或る発明史』、
最後までこの本を読んでしまったあなたへの……『第十二話 エピローグ』を収録。 

設定的には、文字に乗っ取られたアサグレさんがこれらの話を書かされてる感じになってます。
図版を利用して展開する形になっていて(第四話は、見た目本当に雑誌の星占い風/笑)、ちょっと実験的。くすっ、と笑えます。

<09/1/22>