黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『夜明けの縁でさ迷う人々』小川洋子(角川書店)

2007-09-19 | 読了本(小説、エッセイ等)
河川敷に広がる原っぱの片隅で、椅子を積み、その上に逆立ちで乗る練習を続ける曲芸師の女性と、そんな彼女の存在が気になる野球少年は、密かに友情を育んでいた。ところがある日……『曲芸と野球』、
住んでいたアパートが火事になり、焼き出されたD子は、国立大学の食堂の賄い婦。おりしも教授が研究の為、半年間海外へ行くこととなり、その間、彼の家の留守番を引き受けることで、提供してくれることに。そんな彼女の元に遊びに行った、同じ大学の用務係として働く私。やがて教授が権威ある賞を受賞したと電話が入り、受賞祝いが次々と届くが……『教授宅の留守番』、
エレベーターで生まれ、E.B.(エレベーターボーイの頭文字)と呼ばれていた少年は、中華料理店・福寿楼のエレベーターで働いていた。その店でウェイトレスとして働くことになった私は、やがて彼と親しくなるが……『イービーのかなわぬ望み』、
瓢箪の為に存在している家“瓢箪屋敷”、人間チェスを楽しむ為の家“チェス館”、先端や角が苦手だった人が作った“丸い家”……その不動産屋の仕事は、物件が求める住人を探すことで……『お探しの物件』、
18歳まで涙を売って暮らしていた私は、ある一人の男と出会い、恋をした。彼は、人体楽団…一切の道具を使わず自らの身体のみを使い、音を奏でる人々…の一員で、“関節カスタネット”奏者。彼の為に高品質な涙を流そうと決めた私は……『涙売り』、
両親が忙しく、ベビーシッターに預けられていた私と弟。ある日、いつも過ごす喫茶室ルークから、シッターの家へストーブの火を消す為に引き返した私は、見知らぬ老人に出会い……『パラソルチョコレート』、
作家M氏の孫だという老嬢“ラ・ヴェール嬢”(住んでいたアパート名に由来)の元へ、たびたび呼ばれていた出張専門の指圧師である私。指圧をしている間、彼女はM氏の作品を語って聞かせ……『ラ・ヴェール嬢』、
洋品店の女主人から、かつて事故があったという、F銀山の山奥にある狩猟小屋を買わないかと勧められた老女流作家は、秘書の青年・J君とその場所へ出かける。そこへ隣人だという男が現れ……『銀山の狩猟小屋』、
17歳になったばかりの夏。私の通う高校の野球部は、甲子園に出場し、決勝戦へと進んだ。レフトの選手に思いを寄せる私が彼を見つめる中、スコアボードにはどこまでも0が並び、なかなか決着がつかない……『再試合』の9編収録の短編集。

全体的に幻想色の強い作品集。個人的に、小川さんの作品はこういった系統の方が好きです♪
この中でのお気に入りは『イービーのかなわぬ望み』と『ラ・ヴェール嬢』かな。

<07/9/19>