黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『千年の祈り』イーユン・リー(新潮社)

2007-09-01 | 読了本(小説、エッセイ等)
51歳にして独身だった林梅は、勤めていた工場が倒産し、事実上老人介護の為に後家に入る。しかし、その老人はなくなり、その息子の友人が経営する全寮制の私立学校で家政婦として働くことに……『あまりもの』、
重度の障害を持つ、28歳の娘を持つ蘇夫妻。蘇氏が1年前に知り合った方氏は、妻が汚職の罪で投獄されている間に若い愛人を作っていた。やがて体調不良の為、仮釈放された方夫人は、夫の浮気を疑い、たびたび蘇夫人に相談を持ちかけてきて……『黄昏』、
代々宦官を輩出してきた町。そんな町に、独裁者にそっくりの少年が生まれた。やがてその独裁者が亡くなり、その特型演員として選ばれるが……『不滅』、
ゲイの医師・伯深は陽という青年に思いを寄せていた。彼は、京劇の女役を演じる役者で同じくゲイ。何とかアメリカに陽を呼びたい伯深は、彼の女友達・薩沙の協力を得ようと試みるが……『ネブラスカの姫君』、
ミス・カサブランカ(授業で映画『カサンブランカ』ばかり見せていることに由来)と呼ばれる独身の女教師・三三。かつて彼女を裏切り、アメリカへと行ってしまった婚約者・土が離婚し、戻ってくるという。母は彼とよりを戻すことを勧めるが……『市場の約束』、
アメリカの市民権を持つ、同性愛者のハンが中国に住む母の元を訪れた。その母は、キリスト教系の宗教を盲信していて……『息子』、
父が留守の時にやってくる、炳おじさん。13歳の少女・若蘭は、彼の訪問を心待ちにしていた。やがて父母の離婚話が持ち上がり……『縁組』、
夏休みと冬休みの1週間を、厖夫妻の元で過ごす7歳の少女。翌年厖氏は、書斎に雄鶏と共に引きこもっていた……『死を正しく語るには』、
天罰の如き干魃に襲われる村。そこで起きた事件……17人もの男女を殺害した老大について語る人々。老大を犯罪に走らせたものとは……『柿たち』、
アメリカ在住の離婚した娘を案じ、中国からはるばるやってきた元ロケット工学者の父・石氏。しかし2人の仲はうまく行かず、石氏はたまたま公園で出会ったイラン人のマダムと話すようになる……『千年の祈り』の10編収録の短編集。

内容はちょっとバラエティに富んでる感じですが、文章は全体的にクールな印象。
『あまりもの』は切なくも、ちょっと微笑ましい雰囲気、『市場の約束』はラストが印象的でした。

<07/8/31,9/1>

† 新刊情報(07/09前半) †

2007-09-01 | 新刊情報
9/1
雪乃紗衣『彩雲国物語 白虹は天をめざす』角川書店(文庫:ビーンズ)

9/3
石持浅海『Rのつく月には気をつけよう』祥伝社

天野頌子『警視庁幽霊係 少女漫画家が猫を飼う理由』祥伝社(ノベルス)

鯨統一郎『なみだ学習塾をよろしく!』祥伝社(ノベルス)

伊坂幸太郎/石田衣良/市川拓司/中田永一/中村航/本多孝好『I LOVE YOU』祥伝社(文庫)

9/4
森絵都『カラフル』文藝春秋(文庫)

9/上
森博嗣『キラレ×キラレ』講談社(ノベルス)

9/7
図子慧『駅神』早川書房

9/10
天野頌子『陰陽屋へようこそ』ポプラ社

9/13
加藤実秋『モップガール』小学館

9/14
服部真澄『清談 佛々堂先生』講談社(文庫)