黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『もろこし銀侠伝』秋梨惟喬(東京創元社)

2007-09-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
食べ物飲み物に至るまで、刺客に対する警戒の怠りがなかった商人・李小遊が毒殺された。唯一毒味をしなかった薬のせいに違いないと、薬屋を営む蒲半仙は囚われの身に。娘の公英が悲嘆に暮れていると、顔なじみの老人・雲游がやってきて、世話になっている御礼に助けてくれるというのだが……『殺三狼』、
科挙を受ける為、使用人・蔡徳と共に大都を目指し、旅をしていた青年・顔賢。ところが、たまたま泊まった宿で、いきなり殴られたように気を失い、気がつくと見知らぬ若い女が傍らで死んでいた。しかも状況は彼に絶対的に不利。蔡徳は自分がその場に残って顔賢を逃がし、昔なじみの老人たちを頼るようにいう……『北斗南斗』、
元軍人・単震雷が何者かに殺された。洛陽郊外の陳家村の村長・陳大公の食客であった孫淵は、その事件を調べる女道士・青霞の手伝いをすることに……『雷公撃』、
河北北京大名府の元締のひとりである魯玄達が刺客に殺された。しかし彼は死の間際に一矢報い、刺客は深手を負う。一方、大名の名物男で“浪子”とあだ名される燕青は、魚売りの韓六郎が昼間から酒を飲んでいる場面に行きあわせ、彼が病人から泥棒を働いたことを聞き出し、戒める。ところが韓六郎が惨殺され、その後も彼に関わった人々が次々殺害されて……『悪銭滅身』の4編収録の連作(?)短編&中編集。

主に水滸伝くらいの時代の中国を舞台にしたミステリ。登場人物は、基本的に別なので“連作”といっていいか微妙な感じもしますが、“あるもの(というか役目?)”が共通して出てくるので(笑)。
中国モノとしてもミステリとしても、うまく融合していておもしろいですが、中国の古典的大衆小説等の登場人物が元ネタになっているパターンが多いので(前日譚みたいな)、そちらを知っていた方がより楽しめるかな、という気はします(笑)。

<07/9/11>