CLASS3103 三十三組

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【読書】一橋桐子(76)の犯罪日記

2021-04-13 21:06:26 | 読書感想文とか読み物レビウー
一橋桐子(76)の犯罪日記  作:原田ひ香

読みやすいし面白い小説でした
身寄りのない高齢者である主人公の女性が、
同居していた女性との死別により、どうしたらいいか
路頭に迷いつつ、犯罪を起こせば刑務所に入れるのではないかと
そこに一縷の希望を見出すという
やりきれない内容なのでありますが、主人公が柔らかいというか、
とてもよい人という感じが滲み出ているので
不思議と、面白く読めてしまう
そんな小説でありました

正直な感想というか、個人的な感想としては、
結構堪えるところが多くて、
晩年、自分も身寄りがなくなったとき
こんなことになってしまうのかもしれないと
恐怖を覚えたのでありました、だからといって、何も起きないんだが
やだなという感じである
実際、年寄りが住むところを確保するだけでも大変で、
また生きていくだけでお金はかかるし、
働き口なんて、そんな年齢で用意されることはまれであろうと
思うほどに、とっとと引退したいとか思っている
現状を考え直さないといけないのではと怖くなったのである

個人的な創造的恐怖はさておき、
物語は、どの罪が重いのか、死ぬまで刑務所に入っていられないといけないと
そんなことを考えていくという過程が、滑稽でもあるけど
心配になるような感じもあって、面白いのであります
ただ、主人公がともかく人がいいといった感じで、
自然、まわりに色々な人が集まって、ほんわかするというか、
そういうつながりができていくのか、
老人ネットワークというか、色々考えさせられるものが
縁として存在するんだなと、人間嫌いというのも老齢を生きるといううえで
よろしくない性格的欠陥なんだと思わされたのでありました

助け合いによる救済のようなものも見える、
ほのぼのとしたエンドだったけども、
その対極にあろう老齢の男の背中が印象的で
素直に喜べるというか、ほんわかで終わる内容でなかったのもよかった
刑務所で介護されたいという気持ちにならないよう、
真面目に生きていこうと思うのである


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